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僕たちが生まれる少し前、ひとつの感染症が世界を変えた。
マスクで顔を覆い隠すことは、義務となり、常識となり、そして、文化となった。
僕たちはお互いの顔をまだ知らない。
こんな一文から始まる『ニューノーマル』は、強力なウイルスが人類を襲い、人々の生活様式や価値観が一変したあとの世界が舞台です。
ある日、主人公の秦遥人(はた はると)は、ひょんなことがきっかけでクラスメイトの夏木さんの口を見てしまいます。
そして、その代わりに秦の口も見せてほしいという夏木さんの発言から、二人でこっそり会ってはお互いの口を見せ合う、そんな奇妙な関係が始まります。
この作品の魅力は、その世界観に共感できること、そして自分がもしそこにいたら…、など想像力を掻き立てる描写が散りばめられているところにあります。
ソーシャルディスタンスを守らない生徒に行われる感染予防講習動画を視聴させる特別指導
グラビア雑誌を開いて、鼻と口が薄い布で覆われたお姉さんに興奮する男子生徒
他人のマスクを剥ぎ取る反マスク集団と、それを制圧する防疫隊
こんなシーンに出会うたび、「一歩間違えたらこんな世界になっていたかもな」「こんな世界にならなくてよかったな…」と思わずにはいられません。
また、人と接触することをよしとしない環境で育ってきたからこそ、誰かと一緒に過ごす時間や触れ合いに喜びを感じ、人間関係を深めていく登場人物たちの姿を見ると心がキュッと締め付けられます。
もしかしたら、現実でありえたかもしれない世界のお話。
是非読んでみてください。
以前「斉木楠雄のΨ難」で、もし鼻を日常的に隠す世界だったら、という例え話を見たことがあり、この作品を読んで思い出した。しかし、ヒロインが2巻の時点で3人も出ていてこの面白さ。先が気になるばかりである。
青春モノとしては今のところありきたりだが
SFといいつつも妙にリアルな時代背景が、
あったかもしれない現実として想像できてしまうので
没入感は半端ない。
続きをどう描いていくのか凄く気になる作品です。
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