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二千年以上にわたり重ねられてきたインドの思想的営みから,私たちは何を学ぶことができるのか.世界のなりたち,存在と認識,物質と精神,業と因果,そして言葉それ自体についての深い思索の軌跡を,具体的なテキスト読解をふまえながら学ぶ.難解と思われがちなインド哲学のおもしろさと広がりをとらえる,刺激的な入門書.
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Posted by ブクログ
これは面白い。これまでインド哲学=仏教思想程度の認識しかなかったが、実のところその実態はもっと広大なもので、仏教は寧ろ異端の扱いであることがわかった。 この世界や様々な物体は何からどうやってできたのか(生成と存在)、人の運命は何によって決まるのか(因果と業)、が本書で扱われている主なテーマだが、これ...続きを読むだけでも古代インド人の思考スケールの大きさに驚く。 運命に関することは現代でも答えがないが、世界の成り立ちや物質世界の構造は2000年の時を経て科学があらかた解明してしまった。それらを知っている我々から見るとブラフマンによる創世とか前世の業など『たわごと』の類にしか見えないが、当時としては最新の科学だったのだろう。 あとがきで著者自身が自賛している通り、テーマを絞った上で重層的に物事を解説するスタイルも成功していると思う。また、哲学書は往々にして「上から目線」で語られることが多いが、躓きやすい部分で「この説は奇妙だ」と読者目線に降りてきてくれるので大変理解しやすい。「そうそう、そこが奇妙だと思ったのよ」ど同意するとこが多かった。良書。
インド哲学の講義を大学時代履修していたが、あまり分からなかったことを思い出しつつ読んだ。決して難解に書かれてはいないのだが、やはり基礎的な世界観を把握するのに時間がかかり、本を読み通すのもダラダラしてしまったが、後半やっと、インド哲学で議論になっていることが見えてきたような気がする。果たして入門書に...続きを読む相応しいのかというと分からないが、これ以上に平易にすると却って不適当になるのだろう。
同じ哲学でも、ギリシア哲学とインド哲学では、後者の方が圧倒的に触れる世界が少ない。本書では、インド哲学の主要な考えを10の講義に分けている。1つ1つの講義は短いページで終わるので、コツコツ読み進めることができた。
著者も述べているように、インド哲学の概説書ではない。存在に対して考察している。アプローチが比較的慣れている西洋的なものとかなり違っていて、なかなか難解である。人の名前すら戸惑ってしまう。後半になってようやく仏教との接点が出てくるとすこしわかりやすくなる。何度も行きつ戻りつ読んではみたが、十分理解でき...続きを読むたとはいいがたい。概説的なものを読んで、全体像をつかんだうえで、再度挑戦してみたい。評価は暫定的なもの。
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