無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで100万冊以上配信中!
6人の自閉症者と文学教授が、『白鯨』『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』『心は孤独な狩人』などの名作をともに読んだ読書セッションの記録。自閉症者は「心の理論」を持たない、想像による遊びができないといった偏見は早々に覆されるが、それだけではない。「カテゴリー化以前」の感覚を通して物語と関わることで、自閉症者がユニークで鮮烈な読書体験をしていることが明らかになる。それぞれ独特の症状や経歴をもつ彼らの、物語への感受性はときに痛切とも言えるほど鋭敏だ。たとえば『白鯨』を読む第一章では、言葉を話さない自閉症の青年ティトが、どの登場人物よりも鯨に自分を重ねながら小説世界を「泳ぎ」、その感覚を詩に綴りはじめる。『白鯨』のモチーフはやがて、ティトと著者の生活全体を呑み込んでいく。著者は近年の脳科学的知見にもとづいて、「神経多様性(ニューロダイバーシティ)と読書」というテーマをかつてないほど掘り下げている。そこでは、自閉症者と定型発達者、双方の読み方の特性が互いを照射し合い、読むという行為の尽きせぬ可能性を浮かび上がらせる。だからこそ、本書の読後に強く体感されるのは、多様な脳と交感する文学の力の無辺さだ。
...続きを読むPosted by ブクログ 2022年10月19日
脳科学に興味を寄せる文学教授が、自閉症者と一緒にアメリカ文学を読んでみた記録。
面白かった、という感想は、本文中で「僕が本気で傷ついた会話を楽しみのために消費してほしくない」と語る人がいるので憚られるのだが、それでも面白かったと言わせてほしい。ニューロティピカル(脳神経的なマジョリティ)が「自閉...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年03月19日
自閉症と文学の相性。
文学とは、心のモヤモヤを、あえてそのまま
表現しようとする試みである。
「知覚可能な抽象」
自閉症者は、超具体の世界に住む。
今ここに生き、情報を選択しない。
抽象が理解できない。
文学は、知覚可能な抽象として、
自閉症者に抽象のあり方を指し示す。
例えば、詩のリズムは...続きを読む
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。