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言葉を尽くして生徒たちと向き合う辰巳センセイの姿に、円城咲耶は惹かれていた。彼女がアメリカへ短期留学することになったのと入れ替わりに、美貌の補助教員、シャーロットが現れた。シャーロットは辰巳との距離を縮めてきて……。
高校生活が巡り、人間関係が変化していくなかで、辰巳の「こころ」を縛る鎖が見えてくる。
日本の名作文学とリンクする、人間ドラマの行き着く先は……。
<WEBにおいて読者より寄せられた声>
●お話を読んで、本気で泣いて感動しました。本気で泣いたのは数年ぶりです。
●色んな小説を読んできましたが、「小説家になろう」の内外問わず、おすすめできる作品を教えてくれと言われれば、全く全ての自信を持ってこの作品を紹介します。
●開幕早々階段の踊り場で、血まみれで横たわる女生徒。 駆けつける辰巳先生。
ここから始まるお話で、まさか後半ボロボロと泣いている自分がいるとは想像もできませんでした。
●本作のヒロインたちが心に抱いた透き通った恋心は、読み手の心を揺らします。心が揺らされたのなら、それはもう、この物語に「恋」をしているといってもいいのかもしれません。
●誰もが経験する学校という環境を題材にし、現実に起こりえる物語だからこそ――感情移入しながら読み進め、同じ目線・等身大の世界を楽しめると思います!
●辰巳先生から授業を受けた生徒たちも、私と同じように心揺れ、人生を重ね、前を向いて歩むことを学んでいったのだろうと思う。
そして本書を読み進めるうち、そうした生徒たちの姿に、私はまた、自分の人生を重ね、心の底から応援せずにはいられなかった。
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Posted by ブクログ
三章竹取物語の時間
四章山月記の時間
終章こころの時間
『こころ』って高校のときなんか凄く興味を惹かれるけど暗い話だと思っていました。
『こころ』の後日譚の解釈はすごく面白かったです。
裏切りと罪の物語に見える『こころ』を希望の物語として読み解くのは面白かったです。
罪深い大人が若者へ希望を託す物語。
途中、高校生と先生の恋愛物はちょっとなあと思いながら読んでいましたが、この『こころ』の新解釈がわかったのはすごくよかったです。
なぜ、高校生と先生の恋愛だったのかも辻褄が合います。
高校の先生をしながら小説を書いているという作者ならではの独自の視点があったと思いました。
Posted by ブクログ
下巻では竹取物語(後半)、山月記、こころが取り上げられている。辰巳と過去と「こころ」。たびたび夢に出てくる水のイメージ。それらが、ラストに向かって収斂していく。辰巳の「こころ」を縛る鎖を解き放てるのか。そしてラストは、タイトルにこめられた「辰巳センセイ」の仕掛けがわかる。
いやー、「こころ」を全編読みたくなった。現在、K川文庫夏のフェアが開催中で、書店で新装版として販売中だし。それにしても、「山月記」をBLにしてしまうのは笑えた。
文学作品を作中にネタとして登場させる小説というと、「ビブリア古書堂」シリーズが思い出される。このシリーズのファンであれば、本書も気に入る人が多いのではないだろうか。なお、本書の外伝のアイデアがあるらしい。
Posted by ブクログ
上巻で繰り広げていた辰巳先生の転勤騒動の完結編に加え、辰巳先生の苦々しい過去や生徒たちの様々なことに対する心の揺れ動きが描かれています。
下巻での名作では、「山月記」と「こころ」が紹介されています。
「山月記」は、あれ?内容なんだっけ?と思いましたが、あらすじを聞き、確かに習った記憶はあるなと思いました。
「こころ」は、新たな解釈が紹介されていて、目から鱗でした。
まずは、「竹取物語」の章の続きですが、ドタバタラブコメのような展開でした。咲耶の帰国や教師の嫉妬といったありえない展開で思わず笑ってしまいましたので、その後もそんな傾向なのかなと思っていました。
ところが、その後の展開が全然違く、生徒の心理描写が丁寧で、そのギャップに驚きました。
「山月記」の章では、心と体のズレによる苦悩、「こころ」の章では、相手への嫉妬が渦巻く心の闇が描かれていて、上巻とは違った「色」がありました。
特に「こころ」の新たな解釈が興味深かったです。
「こころ」に登場するそれぞれの人物について、先生が自殺した時の年齢を推理せよ。
色んな情報や文を駆使して、答えに導いていきますが、答えの背景にある行間の解釈が、なるほどと勉強になりました。
あくまでも一人の意見として紹介してましたが、卒業論文が作れるんじゃないかと思うくらいインパクトがあって、興味が湧きました。ちょっと、もう一回「こころ」を読んでみようかなと思わせてくれます。
「こころ」の解釈も面白かったですが、先生の辛い過去も印象的でした。
そこには東日本大震災も絡んでいて、辛すぎな気持ちになりました。
「山月記」の内容と「こころ」の内容が、それぞれの章で、上手いぐらいにリンクしていきます。原作の解説は上巻と同様に授業形式に学んでいくので、勉強にもなりました。
様々な隠していたことが明らかになっていくにつれて、重かった心が段々と軽くなっていきます。それと同時にホロリと感動が増していき、温かい気持ちになりました。
前半でのドタバタ騒動はなんだったんだと思うくらい、別の作品を読んでいる感覚にもなりました。
Posted by ブクログ
この話を上巻だけ読むと(というか逆になぜ上巻の方はあんなにラノベっぽいんだろう…?) みんなに愛されて俺困っちゃうよ系のセンセイ、という評価しかなかったんだけど、下巻を読むと評価が一変した。
特に、「こころ」を裏切りと罪の物語ではなくて、希望の物語として読み解く、「罪深い大人が、若者へ希望を託す物語」であるのだ、という考察が非常に印象に残っている。教科書に載っている一部のみだけで判断するのではなく、全体を見て初めて理解しうるものもあると思う。
この話は、自分自身のした行為や過ちをずっと引きずって後悔している人は、何か響くものがあるんじゃないかなと思う。やってしまったことは取り返しがつかないけれど、どんなに償いたくても、それをすることができなくなってしまったという人もいるだろうけど、もしそれを悔いているのなら、せめて今自分の目の前にいる人たちには誠実に向き合って、誰かのために自分の人生を生かすのも一つの贖罪なのではないか、と考えた。
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