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氷河期が終わった約1万年前.農耕や家畜飼育が始まり,やがて家畜のミルクを主な食料とする,牧畜という生活様式が西アジアで始まった.ミルクを保存食とする工夫から,ヨーグルトやチーズ,バターなど乳製品も生まれた.ユーラシア各地に牧畜民をたずね歩く人類学者が,若い読者を牧畜と乳文化の雄大な歴史へと案内する.(カラー口絵2ページ)
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Posted by ブクログ
乳のとりかたや加工の仕方が長い年月で開発されてきたもので伝達されてくる間に地域の環境で少しずつ違ってきた ミルクって人類の歴史とともに語れるほど身近で奥深いものだったのがわかって知れば知るほどおもしろい
良い意味で期待を裏切られた一冊。ミルクの加工の伝播とその歴史を豊富なフィールドワークから分析する。伝播の過程の論理も分かり易く、なぜ?という点にきちんと応えているのも良。
昔は乳製品が薬扱いされていたり、ヨーグルト食べてれば不老長寿になる説なんかもあったりで、もう少し乳製品の摂取量を増やそうかと思うなどした。乳は偉大。
世界各国のミルクの加工方法や歴史を体系的に知れて、良い学びを得られる本だった。 モンゴルの暮らしに、私もいつか少し参加してみたいなと思う。 インドならではの乳製品も、今後もっと試す機会を得てみたい。
西アジアで牧畜が始まり搾乳技術が各地域に独自の広がりを、見せた経緯や理由の大枠が理解できた。ミルクをヨーグルト、チーズ、バター等に加工することで人類はミルクの風味や品質を高めながら長期保存できる術を同時に実現したのはすごい知恵だと思う。
普段飲んでいる牛乳や、食べているチーズやヨーグルトなどの乳製品。 今や日本の食卓にはなくてはならない存在となっているが、こうして食卓に乗るのはごく最近のこと。 しかも、ヨーロッパ文化の影響を強く受けているため、実は私たちは乳文化のごく一部しか知らない。 1万年の歴史があり、しかも文化圏ごとに全く違っ...続きを読むた表情を見せる乳文化の美味しくて不思議な世界を辿ってみよう。 まず、ヒトの母乳を考えてみよう。 あの真っ白なほのかに甘い液体は、母親の血液で作られている。 どこでどうやって赤が白になるんだ! ウシは1リットルの乳を出すのになんと500リットルもの血液を必要としているという。 著者が感じたように、私も偉大さと尊さを感じる。 この乳というものは、人間のように年中繁殖期ではないので、ある一定の期間しかとることができない。 それをどうやって保存していくか、ということが課題となる。 西アジアではヨーグルト、バター、バターオイルの順に加工され、チーズはカチカチの塩辛いものが出来上がる。 対してヨーロッパでは熟成の方向へ向かう。 カビを使用するという、高温多湿のアジアとは全く異なる方向へ! その一方、双方の技術が重なり合った地域も存在するのだ。 この文化の広がり、技術の広がりは歴史を考える上でとても面白く、興味を惹かれる。 搾乳とは素晴らしい発明だった(ヒトにとっては!)。 母が子にしか許さない行為を利用して、それを自らの栄養にして、さらに子孫を繁栄させる。 この発明があって、いまの「おいしい」があるのだ。 私がミルクを飲んで、それが血液になって、さらにそれが子に与える乳となる。 命の営み、生命のつながりを考えるととても感慨深い。
家畜の肉利用と比べて、乳利用は餌から食料を生みだす効率は3.7倍に向上する。牧畜民が肉を食べるのは祝い事や客を迎えた時くらい。ケニアのトゥルカナやマサイの牧畜民は、食料の60%をミルクに依存している。 トルコ南東部の紀元前8700~8500年の遺跡から出土したヒツジとヤギの骨は野生種に比べて小さく...続きを読む、幼獣の比率が高く、家畜化の最も古い時代を示している。紀元前7500~7300年には西アジアの広い範囲で本格的に飼われるようになた。ウシやブタの家畜化は、紀元前6400年頃。 西アジアでは、ミルクをヨーグルトにして保存性を高め、ヨーグルトから乳脂肪と乳蛋白質を分離してバターからバターオイル、バターミルクからチーズを作る。西アジアでは、極度に乾燥させたハード系チーズしか作らない。 北アジアや中央アジアでは、ミルクからクリームとスキムミルクを分離し、クリームからバターやバターオイル、スキムミルクからヨーグルトを経て乳酒やチーズを作る。 冷涼なバルカン半島では、チーズを塩水の中で熟成させて食べる。冷涼、湿潤な西ヨーロッパでは、カビを利用した熟成ソフトチーズが発達した。 南米のアンデス山脈では、リャマは荷物運びの使役動物として、アルパカは毛の生産用に飼育されており、搾乳は行われていない。保存食としては、ジャガイモを乾燥させたチューニョが用いられている。
人類のミルク活用の歴史はおよそ1万年にわたる(と予想される)。この本は世界におけるミルク活用の結果を紹介したものである。所変わればミルクも変わる。どうしてそのようなミルク文化が生じたのか、主に気候の観点から説明がされていく。ジュニア新書なので簡単に読める。 ミルク文化はミルクの加工方法によって分類...続きを読むすることができる。この本の良いところは、著者が実際に世界各地へ調査に行き、どのように加工・利用しているかを取材しているところにある。これにより、様々なミルク文化を体系的に理解することができるのだ。
ハズレの無い岩波ジュニア新書からです。 ひとはいつ人間以外の動物のミルクを 飲食に利用するようになったのでしょう。 考古学的な証拠から推測すると、 1万年近く前から、になるそうです。 そして、搾乳(乳しぼり)はどこで始まったのか。 それは、西アジアのシリアあたりが有力だそうです。 と、まあ、 ...続きを読むそういった起源を明らかにしつつ、 乳文化について、その種類や系統を説明して、 ヨーロッパや北アジア、南アジアなど各地域での 乳利用や加工のいろいろについて紹介・説明してくれます。 やっぱり、「気候」がミルクの利用方法に大きく影響している。 乾燥地帯なのか冷涼湿潤なのか、などなど、 ミルクの発酵の仕方、保存の仕方、 もっといえば、搾乳時期なども関わってくるようです。 それで驚いたのは、 ミルクというものが血液からつくられるものだ ということは知っていたのですが、 1リットルのミルクのために、 たとえばウシならばどのくらいの血液から作られているか、 というところ。 なんと、500リットルの血液から作られているそうです。 著者はだからこそ、大事に頂かねば、 という気持ちにさせられると述べています。 また、大人が牛乳をたくさん飲んだがために、 おなかがごろごろしてしまう原因についても書かれていました。 その犯人は乳糖なる成分。 乳糖を分解する酵素が、子どもにはあるのですが、 大人にはないんですって。 一部の地域では大人も乳糖を分解できるそうです。 しかし、日本人にはそれはないようですね。 そんな乳糖が多い馬のミルクを利用して、 モンゴルのひとたちは乳酒を作るのだそうです。 というように、 さまざまな乳文化にこの本を通してふれるだけで、 世界の広さを知るかのようです。 ミルクは完全食ともいえるもので、 多くの人間は、生き延びていくために大事に利用してきたんですねえ。 日本でも、貴族は室町時代くらいかその前くらいまで、 濃縮乳なるものを食していたそうです。 ミルクは、ぼくたちの身近な製品でありながら、 その化学的な部分も、歴史的な部分も、 実はよく知られていません。 ミルクにかかっている無知のベールを、 ぼくたち自らがはがして知ってみる機会を、 与えてくれる本になっています。
帯広畜産大学の歌って踊れる(笑)文化人類学者・平田先生の子供向け…と油断させておいて、大人も専門家も満足できる充実した内容のご著書。 氷河期が終わった約1万年前.農耕や家畜飼育が始まり,やがて家畜のミルクを主な食料とする,牧畜という生活様式が西アジアで始まった.ミルクを保存食とする工夫から,ヨーグ...続きを読むルトやチーズ,バターなど乳製品も生まれた.ユーラシア各地に牧畜民をたずね歩く人類学者が,若い読者を牧畜と乳文化の雄大な歴史へと案内する.(岩波書店案内文より) 次会ったら数十年後の古書価値を見込んでいるのでサインして下さい。と言ったら、下げるかもよー下げちゃうよー。と返して下さる(笑)気さくなお人柄が文章にも表れていると思います。
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人とミルクの1万年
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平田昌弘
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