書店員のおすすめ
資産家・雨宮家の跡取りとして、何不自由なく暮らしてきたα性の雨情(うじょう)は、ひょんなことから孤児の四葩(よひら)を引き取ります。αの子を宿せるΩ性の四葩は、使用人としても閨(ねや)の相手としても、雨情にとって欠かせない存在になっていきます。
本作の推しポイントの一つが四葩の健気さ。オメガバース作品には、優秀なαとそれに反発するΩという設定が多く見られます。αの雨情は多分に漏れず有能で資産家というチート設定ですが、Ωの四葩は自分を引き取ってくれた雨情に対し非常に素直。望まれれば体を差し出し、優秀な使用人として熱心に付き従います。根を張る土地によって花の色を変えるハイドランジア=アジサイのように、雨情の元で美しく開花する四葩はかわいいの一言です。
最初こそ将来の後継者争いを見越して四葩を引き取った雨情も、四葩のおかげで人間らしい穏やかな表情に。例えば雨情はそれまで何人もの女性と関係を持ち、セックスについて冷めた考えを持っていました。そんな雨情が初めて四葩を抱いた時に見せた、がっつく姿はDTそのものです(断言)。
魂で結ばれた2人の結末を見守った暁には “家族”のつながりの大事さを想うことでしょう。