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Posted by ブクログ
全盛期のAKBのドキュメンタリーは「10年後彼女たちはどんな夢を見ているのだろう」といったタイトルだったように思う。
これは、ある種のその答えのような一冊。
AKBファミリーでもやや異色だったSDNに所属していた筆者の取材による、AKB姉妹グループに所属していた元アイドルたちの「その後」の物語。
クリエイターとしてもいまも(ステージこそ違えど)表舞台に立つ佐藤すみれさんから始まり、選抜に選ばれないまま裏方になった三ツ井裕美さん、スタッフ仲間の篠田麻里子さんが瞬く間にスターに駆け上がっていく中でAKBのメンバーになることを諦めた小栗絵里加さんで終わるところがなんとも印象的。
「なあんだみんな結局新しい道で輝いていて、元アイドルの看板を堂々と出してる人ばっかりじゃん」という印象は残るだろう。
それはもっともなことで、一般職についたのちにSNSなどを一切やらずに静かに暮らしている人たちはそもそも取材を断っているのだろうと思う。(中にはアダルト作品で再デビューされて引退された方も複数いますが、勿論こうした場に出られるわけがないので)
心と身体を壊すほどの過酷なアイドル稼業の裏側になんだか苦しくなったり、皆が一様に語る「セルフプロデュース能力ありきの世界なので、ルックスが良いことや技術力が高いことが人気に繋がるとは限らない」という言葉が印象的。
10代20代の女の子たちにそんな苛烈な競争社会に身を置かせることの是非を思うと苦しくもなるも、「あの経験がなければ今の自分はない、後悔してはいない」と語る彼女たちは、磨き抜かれてダイヤモンドになり、アイドルとは異なるステージで輝けるようになったことが窺い知れる。
ピラミッドの頂点に立つことは出来なくとも、自分の強みや好きなことを見つけ、「推してくれる」人たちに励まされることで新しい夢を見つけた人、アイドルとして完全燃焼して次の夢に・現実に向き合った人など、立場は様々。
目指していたものになれなかったことを受け入れたことから次の人生が始まる。
200人の中の一人として紅白に出たけれど画面に映ることは一度もなかった、という大木さんの胸の中に残っていた「元アイドルであることへの未練」という名の呪いが、取材を通して断ち切られたというのがとても印象的。
今作の発表後、小説家としても活動の場を広げた大木さんにとってのターニングポイントになった一冊なのだと思う。
余談ですが、山田麻莉奈さん・梶原岳人さん、ご結婚&第一子おめでとうございます。
時間が経つと当然ながらそういったこともあるんだな。
Posted by ブクログ
フリーランス・ステージアクト・クリエイター・その他ありとあらゆる専門職が色々と不安に思う「**をやめたあとのセカンドキャリア」について、元48グループで現在ライター大木亜希子氏が同「元48グループ」の方々へ様々な「やめた後のセカンドキャリア」をインタビューした本。
げに恐ろしきは彼女達のタフネフとバイタリティ、そしてメンタル的に潰れた・潰れかけた際の総じての驚異的な回復力(恐らくここが最重要)には驚くばかりです。中には実際に身体を壊してしまいドクターストップがかかりそれが人生を左右される決定を選ばざるを得なくなってしまった方もいるのですが、その後の活動も決して止まることのない「どうしてそこまで出来るの」という驚愕の活動力に恐れ入りました。
私はアイドルの世界に明るくないので彼女たち一人一人がアイドル業界においてどのぐらいのポジションに居た人達なのかをよく掴めていないのですが「なんだか分からないうちにとんとん拍子に正規メンバーとして活躍していくようになった人の卒業」から「オーディションには合格したものの結局一度も正規メンバーにはなれなかった人」や更には「AKBカフェっ子だったのだけれど結局一度もオーディションに合格していない人」まで幅広くインタビューされているのが大変興味深かったです。
特に印象的なのはインタビュー第1ページ目は必ず「元***48で現在職業***の***さん」という大きな写真で始まるのですが、皆が皆一様に各々の「職業***」らしい目つきに成っていることにとても驚きました。ただ一人「え?この人はまだ現役ステージアクトに見えるんだけど?」と思う方がいらっしゃると、その方の現在の職業が「声優」だったりして実に深く納得します。とにかく人によって職業***として一人前であるかはさておき(中には就活がただ内定済みでインタビュー段階ではまだ大学生の方もいる、でもそれがまた実に「それらしい」顔つきをしているのですね)、皆さんが持ち前のタフネフ・バイタリティそして回復力(←もう一度言いますが、もしかしてここが一番重要かもしれない!)を持ってそれぞれ「職業***」らしい顔つきになっていることにとても驚きました。
読み始める寸前までよく分かっていなかったのですが、考えてみればアイドルというお仕事のセカンドキャリアはとても特殊ですね。最も中心的なアイドル本職の活動期間が中・高(遅くとも大)学生の就学時期に集中しているわけです。「元***」としてセカンドキャリアを歩む時に一般的な新卒の年齢に達していないことも往々に有り、これは随分他のセカンドキャリアとは違うなと思いましたが、そうはいってもフリーランス系は皆それぞれの「職業***に特有の事情」を抱えているのでよく考えてみればそりゃそうかと思いました。そしてこのインタビュー本が素晴らしいのは完全に「新卒」という年齢を過ぎてからのセカンドキャリアの方まで網羅していること。そしてどの方も一言「頑張った」ではとても済まない経歴が書いてあります。
私はインタビューされている元アイドルの方々について名前を知っているわけでもなく、現在のアイドルの業界事情も分かっていない人間なので、かなり大雑把な感想になってしまうのですが「さすが誰もが知っているメジャーなアイドルグループのオーディションを通過する女性達は、間違いなく何かしらの面で非常に優秀である」と感じました。
一番新鮮だったのは菅なな子さんが「元アイドル」となり難関受験勉強に振り切った時、
【勉強は、自分が頑張った分だけ学力が上がって点数が獲得できる、っていう事実がシンプルで、自分にとっては救いでした。アイドルって顔が可愛ければ売れるわけじゃないし、活動していくなかでも『こんなに自分がかなわない人たちがいるんだな』っていう敗北感の連続で。自分に歌やダンスの武器があっても、それで人気が上がるわけでもなかったので、勉強の世界が新鮮に感じて】
と感想を述べていることでした。これ、逆の体験をするのが普通じゃないでしょうか?突き抜ける(そしてその突き抜け方はちょっと尋常じゃない)経験としてのアイドルという「キャリア」は、かなり強烈な経験なのだなと感じました。
Posted by ブクログ
元SDN48の著者がAKBグループを引退した元メンバーたちを追ったドキュメンタリー。
アイドルを辞めた人たちと言っても何千倍のオーディションを勝ち抜いてきた外見の良い人たちな訳で、普通の人と比べると華やかな業界で活躍している人が多い。
そんなうがった見方をしてもなお感動を呼ぶのは、アイドル時代の不遇な時期から現在に至るまで、彼女たちが前を向いて努力を続けている姿が等身大で描かれているからだと思う。
それぞれの人柄を知らなくても、アイドルになるまで→アイドル時代→現在って構成がとても分かりやすく、どっぷり感情移入出来てエモい。
読んで元気をもらえた。
自分も頑張ろうと思える。
Posted by ブクログ
AKBのセカンドキャリア、とありますが、取り上げた人たちはAKBグループの人たちではあるものの、本当にAKBだった人は1人もおらず、そういう意味では、看板に偽りありだと思います。
が、アイドルのセカンドキャリアという意味では、その観点に立った本になっています。
アイドル時代は、自分の強みを探すこと、そしてその強みを磨くことにとても苦労したけれども、セカンドキャリアにおいては、その点が役に立った、と多くの人が述べています。
それはそうだろうな、と思いつつ、「アイドル」という言葉や存在は、ここ20~30年の間に、随分と陳腐な、というか、安っぽいもの、というか、とにかく、価値が大きく下がったな、と思いました。
うすうすと感じていていたそのことを、改めて確認できた本でした。
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