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死後、人間の魂はどうなるのか? 肉体から切り離され、それ自身存在するのか? 永遠に不滅なのか? ソクラテス最期の日、獄中で弟子たちと対話するプラトン中期の代表作。魂の存在を哲学し、威厳をもっておだやかに死を迎えるソクラテスの姿は、「知を愛し求める人」そのものと言えよう。ソクラテスが死を迎えるその瞬間は、その簡潔な描写で美しい一幅の絵画のようであり、感動のラストシーンでもある。
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Posted by ブクログ
「このようなことを呪い歌のように自分自身に謳い聞かせる必要があり、それゆえに、私はもう長いこと物語(ミュートス)を語ってきたのである。」p.114 「人間の言葉(ロゴス)は十全な真理に達するほど信頼できるものではありえない以上、哲学の探求は自己反省を加えながら、生ある限り続けられなければならない」...続きを読むp.313
哲学史の教科書でプラトンの教説とされているイデア論。 それをもっともまとまった形で示している著作。 ソクラテス最期の日、肉体と魂とが切り離される死の直前という舞台設定にふさわしく、 魂が対話の主題として扱われる。 「魂と肉体」という対比を軸として、思考と感覚、不変と変転、絶対と相対、イデアと事...続きを読む物、真の原因と自然学的な原因など、さまざまな対比が重ねられて語られる。 この対比によって、いわゆるイデア論が図式的に提示されている。 魂についての論証は、当時の自然学の知見を意識して行われているので、今日の我々にとっては説得的ではない。 また、対話相手の提示する話も、それを承けたソクラテスとのやり取りも、他のプラトンの中長編と比べると少し精彩を欠く印象を受ける。 中期プラトンの考察をもっとも整った形で受け取ることができ、 これを読まずしては他のプラトンの著述の理解も浅くなるかもしれない重要な著作ではあろう。 しかし、魅力的な論敵を欠き、プラトンの他の著述に含まれるような奥行きや豊かさを感じない議論に少し興醒めな読後感を覚えてしまった。
これまでプラトンの著作を有名どころから色々読んできた上で、これがあのイデア論か!と思った後に、ついにソクラテスの死の場面が描かれて、なんだかショックを受けてしまった…。 論理展開は?と思うところや時代背景の違い、おそらく今よりもっと神話が思考と切り離せないくらい身近であったころということで、違和感が...続きを読むあって、ついていけなかった。 小説的に読んでしまった。 残りの作品と国家論、解説書を読んでいきたい。
ユングは「夢はあるがままの姿で、内的な真実を事実を表現する」(みすず書房 ユング夢分析論)と言っている。そしてプラトンで語られていることは、夢で捕らえようとすることと似た印象を受けた。 少し混乱。森の中。 他の訳も読んでみよう。 この本は注釈がちょっと自分には向かなかった。光文社古典新訳の他の...続きを読むではあまりこんな風に感じなくて、むしろいいなあと思っていただけに残念。 対話に参加するための注釈であるだけでない、注釈者の意図を持ったものが多くて。一度注釈に目を通してしまうと、思考が中断されてしまって本文に戻りにくかった。授業などでプラトンやソクラテスについて学ぶと言う目的には良いのかもしれないけども。
いよいよ処刑当日のソクラテスは、特に哲学者は死を恐れる必要はないのだと魂の不滅と輪廻転生を説く。その中で想起説やイデア論が本格的に論じられる。 先に読んだ「饗宴」とは打って変わって、正直すごく退屈に感じてしまった。話のほとんどがソクラテスの一方的な演説と弟子の「そのとおりです」という肯定だけの相槌で...続きを読む進んでいくのと、「反対」という謎概念がずっと幅を利かせているので話がなかなか頭に入ってこない。注と解説に助けられてなんとかついていける感じだけど、やっぱり議論が有効だとはあんまり思えなかった。研究者間でも否定的な意見が多いらしいけども。 魂の不滅という概念が現代にそぐわないという意見は私自身はどうでもよいが(別に哲学議論を現代の自分の生に役立てようと思ってプラトンを読んでいるわけではないから)、断定的に進む割にソクラテスの論立てに穴があるように思える方が気になる。むしろ最後の神話的な死後の魂の行く先の話などのほうが面白く感じた。
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