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平安末期に大流行した「今様」を集大成し、歌詞集十巻・口伝集十巻、現存すれば五千余首を数え『万葉集』にも匹敵したとされる大歌謡集「梁塵秘抄」。このうち、後白河院が生涯を通しての今様習練、今様の歴史、傀儡女たちとの交流、編纂の意図等を綴った『梁塵秘抄口伝集』こそが主流であった。全訳、懇切な注釈に加え、今様の基礎知識も詳しく解説。
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Posted by ブクログ
梁塵秘抄口伝集巻第一(断簡)と巻第十にその全訳注。 後白河院自身が語る今様熱狂の半生、乙前と出会い師弟の契りを結び、 彼女こそが今様の正統な継承者であることに紙幅を割く。 傀儡女たちの今様談義・正統争いの様を彼女らの口吻も交え生き生きと描写。 乙前の病気見舞いで今様を披露するところから、一周忌に際...続きを読むして院女房の夢に 彼女が現れ院の今様を褒めるに至るまでの場面は感動的。 熊野・賀茂・厳島参詣などでの今様奉納に対する神仏の様々な形態の示現談、 今様の徳、今様往生論などが続き、今様修行は仏道修行でもあることが分かる。 そして文字に残せない口承文芸の悲しさや皆伝すべき弟子がいないことを歎く。 『亡からむあとに人見よとて、いまだ世になき今様の口伝を作りおくところなり』 原文の語り口が現代語訳・詳しい語釈・補論でより身近なものになり、 従来の後白河像とは違った複雑な魅力を持った姿が浮かび上がってくる。 訳注者の『…今様が院の思考回路を感性もろともに領導しているのがわかる。 言い換えれば、感性をも培った今様の表現なくしては、後白河院は自らの極楽往生 への希求も、今様往生観をも語れなかったというべきか』という指摘は印象に残る。 平安中期から末期にかけて上下の人々を熱狂させた今様を知るための、 人物一覧・今様関係系図・今様辞典・今様伝承資料集等も収録されている。
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梁塵秘抄口伝集 全訳注
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馬場光子
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