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北アルプスの山小屋の中でも、黒部川の岸辺という特殊な環境にある源流の小屋、薬師沢小屋。
電波も届かない山奥で、どのような暮らしがあり、どのような出来事が起こるのか。
薬師沢小屋で働いて12年目になるイラストレーターのやまとけいこが、
小屋開けから小屋閉めまでの時間軸に沿いながら、
リアルな山小屋ライフを楽しい文章とイラストで紹介します。
(内容)
はじめに
黒部源流概念図
薬師沢小屋見取り図
第一章 黒部源流のこと
黒部源流と薬師沢小屋/山小屋創成期
第二章 薬師沢小屋開け
入山/水事情/電気と電波/クマの被害/従業員十人十色/国立公園と山小屋/物輸ヘリ一回目/ネズミとの攻防/登山道整備と大東新道/増水と鉄砲水/布団干しと布団事情/傾く小屋
第三章 ハイシーズン到来
ハイシーズンと厨房事情/物輸ヘリ二回目/バイオトイレと五右衛門風呂/遭難事故と山岳警備隊/常連さんと居候/釣りと岩魚と私
第四章 秋の源流と小屋閉め
イワナの遡上/上ノ廊下と赤木沢/同居人ヤマネさん/物輸ヘリ三回目/魔のシルバーウィーク/ご近所さん雲ノ平/秋の実りとキノコ中毒事件/薬師沢小屋閉め
おわりに
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
先日、薬師沢小屋に二日間滞在して、やまとけいこさんとお会いして本当に素敵な方であり場所だった。元々書籍は知っていて行く前に読み終えておきたかったが、読み終えられず。でも今思うと、薬師沢小屋や黒部川のせせらぎ、イワナ釣り、集まる人々を実感してから、この本を読むことができて良かったと感じる。あ〜そういうことだったのか〜、へ〜そうなのか〜とより納得感と好奇心を持ってまやとけいこさんの暖かい文字と向き合うことができた。20年もの間、薬師沢小屋で働かれていて、町では凡ゆる変化が自身で起きているはずなのに、毎年小屋に来ると20年前と何ら変わらない気持ちになる、それは自然の時間軸による影響なのかもしれない。そんな言葉が自然の力であり人が求める一面なのかもしれないと感じさせられた。そしてこの本を読み、薬師沢小屋に関わりたいと思う人も多いだろう。紛れもなく僕がそうなのだから。
Posted by ブクログ
黒部源流にある薬師沢小屋。6月から9月まで12年連続この山小屋で働くイラストレーターが描く、情緒豊かな黒部源流の四季。
標高1920mの薬師沢小屋は山小屋としては珍しくすぐ横を黒部源流が流れる。小屋の開くのは毎年6月から9月の末まで。
黒部の風景に惚れ込んだイラストレーターがこの小屋で働くようになってから12年。山小屋を取り巻く自然環境と訪れる多くの登山者。多様なエピソードが楽しめる。
食材の輸送は歩荷(ボッカ)のほかヘリ輸送が年に3回。特に山開きの際の搬送は少ない人数で急いで荷物を片付けピストン輸送の次の便のスペースを開けなければならない。またハイシーズンに食材が不足しカレーが次第に薄まったり缶詰ばかりになったりすることもあるという。
なんと言っても山小屋は大自然の中にある。フトンにヤマネが入ってくることもあるし、食材を狙ったノネズミとの戦い。冬の間にテンやクマが小屋に入り込み、片っぱしから食料を漁っていくこともある。人の食材の味を覚えてしまったクマはヒトとは共存できない運命。
美しい自然を描く一方で時に悲しい事故もある。時に捜索に時間を要する山岳遭難。なぜか親族や親しい人が探すと出てくることがあるという。
薬師岳では1963年にサンパチ豪雪で愛知大山岳部学生13名全員が死亡した大量遭難があったという。
本書は何よりもイラストが魅力。筆者が惚れ込んだ土地を描くだけあって魅力的なイラストが満載。
よほどの山好きな人以外なかなか行けない小屋ではあるが、山の魅力を余す所なく伝えた楽しい1冊。読めば山に行きたくなること間違いなしです。
Posted by ブクログ
今までも、山小屋スタッフをはじめ山で働く人々への感謝の気持ちを持ってはいたが、どこか漠然としたものであった。でもこの本を読んで、山で働く人の視点で山の営みを疑似体験することができたように思い、感謝の気持ちは漠然としたものからより鮮明かつ具体的なものへと昇華した。
山が好きで、趣味で山を歩かせてもらっているが、整備された登山道で快適に山歩きを楽しんだのになるべく飲食物を持参してお金を使わずに楽しんでいる自分の身勝手さに気付いたり。もちろんゴミなんて絶対落としていかないけど、そんな次元じゃないなと。自分にできることはゴミ拾いくらいですが、もっと山小屋でお金使うようにしようっと。いやしかし過剰に飲食物を消費しても迷惑だし…
この本を読んでいてずっと頭の中でモヤモヤしていたことは。昨今のクマ事情。かなり増えたクマと、山を歩きたい人間。共存は無理なのだから、答えはなんなんだろう?山に行かないのが身の安全にはベストだが、山小屋は困るだろう。政府がクマ対策にちゃんとお金使ってくれることを切に願いつつ、薬師沢小屋に行く日を夢見て地図をみる。
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