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怪奇作家・黒史郎が全国の郷土資料から「知られざる妖怪」を発掘し、甦らせる怪異拾遺集。密かに語り伝えられる「不思議なできごと」には、名も無き、姿も知れぬ妖怪たちが隠れていた……。京極夏彦との「妖怪対談」も収録。
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Posted by ブクログ
これぞ妖怪研究といった名著。 ムーブックスであり、その名前からもカジュアルなイメージになりそうですが、中身は専門書にも引けを取らない充実感があります。 かなりの妖怪ファンで、個人研究をしているレベルの人間が読んでも、「こんな妖怪がいたのか!」と新たな感動を得られることは間違いないでしょう。 読み進...続きを読むめればどんどんと新たな妖怪の説明が出てきて、有名な妖怪との関連も考察され、豊富な知識に裏打ちされた説明は知的好奇心をくすぐります。 一つ一つの妖怪に参考資料が付けられ、調べようと思った時にも便利な資料となってるところも好ましい点です。 色んな資料を読みあさり、気になるところをスクラップして……を繰り返し、自分なりの妖怪図鑑を作ることを夢みたことはありましたが、それを図で言ったのがこの本でしょう。 説明の中に、著者がどこを気がかりに思ったか、そこからどう調べたかも書かれているため、在野の研究家として活動したい人の参考書としても使えるんじゃないでしょうか。 文中に京極夏彦氏と著者の対談があるのですが、その中で京極氏がこの本を「日本妖怪大事典」「日本現代怪異辞典」などの名著を補完するものとして上げています。補遺というタイトルにある通り、かなりニッチな面を攻めているということからも補完するものとして扱っているのだと思いますが、もしこれが新書でなく大判で、ページ数も多ければ必ずその二書と並べられていたと思われます。 むしろ新書として小さい薄い本ながらも、その情報の質は日本妖怪研究の二大巨頭とも言える2冊に匹敵しているというのは驚愕すべきことでは無いでしょうか。 妖怪が好きなら常に持ち歩きたい1冊です。 私は左ポケットにこれを、右ポケットに21世紀日本怪異ガイドを入れています。幸せです。 個人的には、「イジコ」という妖怪が、さよなら絶望先生の1巻に出てきた創作怖い話シーンの物と類似していて、オカルトのシンパシー的な面白さを感じられました! 新たな発見ができた良い本です!
マイナー妖怪にも名前の挙がらない、民俗誌の片隅にひっそり載っているような、主流派の研究者が目もくれないような、地元の人すら忘れているような怪異がこれでもかと押し寄せてくる。著者の想像ではなく、ちゃんとした出典付きで。著者が好きで集めたモノの一部とのことだが、地元の人すら忘れている怪異だけでなく、タ...続きを読むブーとして語られていないモノまで収集されており、しかも出典付きということもあり、民俗学の観点から見たときに結構貴重な情報源にもなっている。もしかすると本書が民俗学の資料として挙げられることがあるかもしれない。
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黒史郎
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