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スズメバチにうまく擬態しきれないアブ、他種のメスに求愛してしまうテントウムシのオス。一見不合理に見える生き物たちのふるまいは、進化の限界を意味しているのか。それとも、意外な合理性が隠されているのだろうか。1970年代に生物学に革新をもたらした「ハンディキャップ理論」「赤の女王仮説」から、教科書には載っていない最新仮説までたっぷり紹介。わたしたちの直感を裏切る進化の秘密に迫る!
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Posted by ブクログ
昆虫の一見すると不思議に見える生態も進化の自然淘汰の結果、こうなったというような事例がいろいろ紹介されていて、まさに進化って凄いなと思わされます。 有性生殖よりも無性生殖のほうが種の個体数を増やすのには2倍も有利なのに、有性生殖が広く採用されている理由についての仮説が目からウロコでした。
生物には自然淘汰による適応が働いているにもかかわらず、なぜか不合理に進化しているように見える場合がある。これを、進化による適応が「制約」によりうまく働かなかった結果である、と断ずるのはたやすいかもしれないが、著者はそうではない、という。「一見すると不合理」に見える生物も、実は進化による適応として説明...続きを読むできるのではないか、そういう立場から研究を進めれば明らかになる適応もあるのではないか、というのが著者の立場である。その観点から、様々な具体例が説明される。例えば、捕まえにくく美味しくもないマツオオアブラムシに特化したクリサキテントウは、実はマツオオアブラムシ以外のアブラムシを食べても成育できる。その観点からクリサキテントウの生態を説明することはできないのだが、著者は、クリサキテントウがナミテントウに混じると、異種を見分けることができず交尾してしまい繁殖できなくなってしまうという仮説を説明する。それに至るまでの過程は大変にスリリングである。 その他、オスという子孫を増やすのに役に立たない個体を持たなければならない有性生殖に対して無性生殖は2倍の効率で子孫を増やせるが、それにもかかわらず有性生殖が優勢なのはなぜか、擬態が完全なものにならないのはなぜか、と興味深い進化の事例が、具体的に説明されている。非常に面白い科学読み物だった。
不合理に見える生物の生態を、実は合理的なのでは、と仮説立てする本。面白かった。仮説だから確実にどの説が正しいかは分からないけど、色々な仮説を立てて実験して、生物の合理性を確かめるのは楽しそうだと思った。ほんとに「すごい」進化を生物は遂げてるなあと思った。
全ての章が面白いが、とりわけ生殖の章が面白い。 なぜ、性があるのか。オスがいるから仕方なく維持される。この目的よりも結果的にそうなった。いかにも生物が選択しそうな生き方です。しかし、オスは不便な存在です。
自分は分子生物学の研究してるので、ちょっと専門外の進化とか生態とかに興味を持って手に取った一冊。 「一見不合理な形質や行動をする生物も、別の見方をすればとても合理的に進化している」という仮定のもと、色々な昆虫の進化について紹介されていて、非常に面白かった。
「一見すると不合理に見えて、つい制約のせい(進化するにも制約があるから、これが進化の限界なんだよ)にしてしまう現象についても、データを集め深く思考することで、実は進化による適応の結果でその不合理に見える現象が維持されている」ということを扱った本。
『ざんねんないきもの事典』の大人バージョン的な本。 一見不合理に見える生き物たちの振る舞いにも訳があることを教えてくれる。 「初期の生物は無性生殖をしたはずなのに、なぜ有性生殖は無性生殖に卓越したのか。」という、進化生物学の未解決の大問題を主テーマとして新しい説を解説しているのが特徴的かな。
一見すると不合理な点も、丹念に調べれば合理的(進化論的)であることを説明している。思っていたほど、興は乗らなかった。最後に出てくる、有性生殖の理由は、まだ未解明なんだな。最後のまとめがよかった。あえてありきたりの説明を避けたのが本書だったのか。 ・進化の過程は消えてしまっている。
なかなか面白い。(扱っているのが虫なのが残念だが) 生殖や捕食のために生物が進化していくが、必ずしも最適とは思えない形態や生き残るのに不利な外見を取るのは何故か? その歴史、生殖や捕食による生存圏の拡大や遺伝子の伝達、生殖が何故あるか? など、解明し切れている訳ではないが、あり得る可能性の数々に、タ...続きを読むイトルの意味を見る。
クリサキテントウが栄養が多い普通のアブラムシを食べないで、栄養の少ないアブラムシを食べるのか。その理由が分かっていく過程が楽しい。
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鈴木紀之
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