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無戸籍の日本人、1万人以上。「偽装ランドセル」で通学しているふりをしていた冬美。生まれて以来、「家」というものに住んだことがない明。身分証明書無しでも就ける仕事を掛け持ちしてきたヒロミ。あまりに過酷で不条理な無戸籍者の現実。なぜ無戸籍になるのか? なぜこの状況は改善されないのか? 制度上は「存在しない」彼らに光を当て、この国が抱える歪みに迫る衝撃のノンフィクション。
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Posted by ブクログ
ねほりんぱほりんという番組で知った、 無戸籍者の実態をもっと知りたくて手に取った。 読んでみると、さまざまな事例が挙げられていた。 育児放棄や貧困が主な原因なんだろうと、無知な私が持っていたイメージよりもずっと根が深く、親や祖父母の代まで原因が遡るケースも。 そのせいで、親子で無戸籍の連鎖が怒るケ...続きを読むースも少なくないということに衝撃を受けた。 一番ショックだったのが、本来ならば彼らを救うためにあるはずの日本の法律が、無戸籍者が戸籍を取得することを拒否する壁となっているということ。 離婚後300日問題、 日本人である証明がないから取得が困難で、それを証明したくても親が亡くなっている、 学校に通っていないはずなのにコミュニケーション能力や文章力が高いのは疑わしい等、 なぜここまで何の罪もなく生まれてきた彼らが苦しみを持たなければいけないのか、あまりに理不尽だと感じた。 確かに生きているのに、制度上「存在しない者」として生活している人たちの声が届いてほしい。
無戸籍で苦労している方々が少なくない事実は知らなかったし、大変驚いた。 ストーリー性があってとても読みやすく、法律問題の説明もわかりやすい。 法や政治に関する様々な本が、この本くらい読みやすければ、もっと色んな人(自分も含め)に政治に触れるきっかけができそうなんだがなあ。
小説かのようなストーリー性があり、とても読みやすかった。 さらに内容に関しても小説、フィクションではないかと疑うようなものばかりで自身の無知さを実感した。 無戸籍は遠いようで身近。そして身近であってはならない。そのための法制度や、戸籍の目的を今一度考え見直さなければいけない。 誰しも生まれたくて生ま...続きを読むれてきたわけではないのだから、当たり前の人権くらい与えてよ!
難しい内容ですが、整理されていて大変読みやすかったです。 これは年齢、性別問わず多くの人に読んでもらいたい本だと思いました。
無戸籍の日本人が存在する。様々なケースがあるけれど、最も多いと思われ、かつ本書でも中心的に取り上げているのが、民放772条が妨げになるもの。DNA鑑定で親子関係が判明するこの時代にあってなお、離婚後300日以内に生まれた子は婚姻中に懐胎したものと推定するという「嫡出の推定」なんてことがまかり通ってい...続きを読むて、そのために義務教育も受けられず、まともに世のなかで暮らしていけない人がいる。 著者も772条のせいで子どもが一時的に無戸籍の状態に陥った。その後、裁判を経てわが子は戸籍ができたけど、そのとき夫が自分たちのことが片づいたから手を引いてしまうのは「ずるい気がする」と言い、以来NPOを立ち上げるなどして無戸籍者の支援活動や政策提言を行っている。 著者は相手の立場に思いを寄せる気遣いと想像力があればと述べていて、そこに深くうなずけた。今の時代、四角四面で想像力をはたらかせず、その先を見ていない所業の何と多いことか。 この問題の解決法って、772条が改められることだろうか。いや、暫時的にはそうでもよりよい解決って戸籍がなくなることだろう。一人ひとりが生きている、存在する証が認められればいい。戸籍なんてものがあるから それこそ旧弊な体制でのうのうと生きていられる人たちの気遣いや想像力の欠如のために、この国では人扱いされない人たちがいる。
なるほどな、民法772条か。特に貧困やら親がいい加減だったりしなくても、現夫の名前では出生届が受理されずに無戸籍になるパターンがあるんだ。よくわかってなかった。俺みたいな素人が考えても、誰かが生まれた時に戸籍の無いままで放置しておくことと、整合性の取られた出生届と、どっちが大事なんだよバカか?と思う...続きを読むような問題なので早急に法改正しろよ、思うけどな。無戸籍は離婚のペナルティ、ってのはすげえと思った。いやいや、19世紀の法律なんだってよ?しかし無戸籍の人の母親の元夫がその母親と肉体関係があったとか、鎌投げられたとか、この辺りはダラダラと冗長だったなあ。
離婚後300日以内に生まれた子供は前夫の籍に入る。たとえ再婚後早産で生まれたとしても。 それが受け入れられず、出生届を出さずに無戸籍となる子供がいる。それはテレビで見て知っていた。しかし無戸籍になるのは様々な理由があり人数もかなりいる、というのが衝撃的だった。 戸籍がないから実態が把握できない。生き...続きを読むているのにいない者となってしまうというのはいたたまれない。しかしやはり親の責任は大きいのでは、と思ってしまう。 著者のように早産で生まれた子供の場合でも裁判で現夫の戸籍に入れるのは大変というのは理不尽に思う。 法改正がされたのは少しは良くなったのかもしれないが、DNA鑑定さえも考慮されないケースがあるいうのは問題があるようにも思える。 DV夫から逃げて離婚できないまま新しい人と暮らす。そういったパターンは多いだろう。 逃げられたのは良かったと思うし、いい人に巡り合えたのも良かったと思う。だがせめて子供を産んであげたい、と思う心情が理解できない。 無知に対する代償は大きい。そしてその代償は全て子供がかぶるのだ。 最初に役所に届けた時に言われたという「離婚のペナルティだ」との言葉には憤りを覚えた。 何故そのペナルティを子供が背負わねばならないのか。というか、そもそも何故離婚にペナルティが必要なのか。 離婚後に生まれた子供の存在も、女性が再婚できない期間があるのもDNA鑑定が容易にできる現在では無意味に思える。 男性側にしても、自分の子ではないのに自分の籍に入ってしまうリスクがある。 ましてやそれを否定するための調停も屈辱を受けるものだそうなので男性にもペナルティになるという。 であれば余計に元夫には頼みずらいだろう。円満離婚だったとしても。 離婚後母親の方が親権を取ることは多いが、生まれた時は父親の籍に入れられるのが前提としてある。 子供は家のものであるが、育てるのは女性の役割であるという昔のままの法律なのだ。 親を責めても現状が変わるわけではないので、無戸籍の人たちの助けになるようなことは必要だろうというのはわかる。 成人してから戸籍を作るのも大変な手間がかかってしまうのも、悪用されるリスクを考えれば仕方のないことかもしれない。 無事に戸籍ができればいいとは思う。しかし生活保護を受けている話を聞くと、今まで税金を納めていなかったのにずるいとも思ってしまう。本人のせいではないのは重々にわかってはいるのだが。 少子化と言われるこの時代、こういった人たちはどれぐらいいるのだろう。 このような人たちを放置するのは国力の低下の一因となるのかもしれない。 何よりも、人として生まれたならば真っ当に生きる権利があるはずで、隠れるように生きてきた人々が普通に過ごせるようになればいいと思う。 この本には様々な事情で無戸籍のまま成人した人たちの事例がいくつか載っている。 しかし細切れでちりばめられているので途中で混乱してしまった。 政治の動き方も興味深い。 このような現状の一端を知るだけでも現状の改善につながるのかもしれない。
久々のノンフィクション。 とても重く深いテーマを、読みやすい文章で 分かりやすく伝えてくれる一冊。 様々な理由で「戸籍がない」まま生きてきた人々の、 理不尽に苦労をせざるを得ない暮らしぶりに泣ける。 役所も政治家も「世間様」も、基本は「親が悪い」と。 だが、明治に制定された民法の規定が、 百年以...続きを読む上経った今も変わらず「生きている」異常さに、 気づかぬ(振りをしている)インサイダーの責任は重い。 著者は、自身の子供が一時期「無戸籍」になった経験から、 無戸籍者の「人生を取り戻す」手伝いを精力的に続ける。 その視線はあくまで優しく、「誰も悪者にしたくない」と。 一冊通してそのスタンスは変わらないので、 かなり悲惨な話でも何とか読み進められる。 いや、読みにくい文章だ、という話でもないし、 テーマが重すぎて疲れるという訳でもない。 不謹慎を承知で言えば、とても「興味深い」テーマ。 「こんな、まるで昭和の小説のような」と、 読中何度も思ってしまった。 だが、これが現実に起こっていることである。 諸般の事情により、無戸籍者は毎年何千人も 生まれ続けているのだ。 役所や政治家が、この問題に対して「後ろ向き」なのも ある一面では分からなくもない。 「某国のスパイが、無戸籍者の振りをして申請し、 日本人として登録されてしまったら一大事だ」 という公安的な危惧もあるのだろう。 が、その問題は、分けて考えるべきだ。 日本人の子として日本で生まれ育ち、 「DV夫から逃げてきたが、離婚してもらえない」 などの理由で、出生届の出されない子供は増え続ける。 義務教育も受けず、保険もなく、住民票も取れない。 当然「真っ当な職」に就くわけにも行かず、 常に貧困と隣り合わせの暮らしを強いられる。 この状況は、容易に「犯罪」の魔の手に狙われる。 弱者を食い物にする輩に狙われることもあれば、 自身が「生きるため」に犯罪に手を染める者も。 すると、「無戸籍者 = 犯罪予備軍」みたいな 分かりやすいレッテルを貼られる悪循環。 もはやどこから手を付けて良いのか分からないほど、 問題はこんがらかっている。 幸い、もの凄くゆっくりではあるが、動きはある。 NHKが「クローズアップ現代」で取り上げ、 大きな反響を呼んだことも後押しして、 世間にも国会にも「無戸籍問題」は意識づけられた。 まだまだ先は長いが...歩みを止めるわけにはいかない。 著者と、そのお仲間の献身的な活動には 頭が下がるばかりである。 ...で、「読み物」として純粋に評価すると... 正直な感想は「ちょっと長い」(^ ^; もの凄く興味深い内容で、作者の熱意も伝わるが、 正直、後半ちょっとダレてくる...と言うか、飽きる(^ ^; さらに尻上がりに「作者の自画自賛」が目につく(^ ^; ような気がしてくる(^ ^; 作者と、登場人物たちの熱量は充分評価するが、 もうちょっと情報を取捨選択し、ブラッシュアップし、 この問題に明るくない読者でも、最後まで 緊張感をキープしながら読めるようになれば、 より大きい反響を呼べるのでは...と思いました(^ ^; 私は、「読書脳」の持久力が足らんかった(^ ^;
ふとしたことで戸籍の無い人が居ることを知りこの本を購入した。 全く意識したことがないことで予想外の驚きだった。 ドキュメンタリーだけに事実の表面をすくい取ったりオブラートをかけたりしながら書いたのだろうと苦衷がしのばれる一作だろう。文章が上手。 後半は著者の政治家としてのPRめいた部分が多くて少しひ...続きを読むいた。 が、戸籍や住民票を取得する手段や役所の窓口係の無知や横柄ぶりが書かれているのは勉強になった。 もし、無戸籍の人に出会ったらこの本を教えてあげたいと思う。
社会ネタとしてのドキュメンタリーとしてでわなく、政治本としてカテゴライズされるだろう。かなり面白いテーマとリアリティある進め方なのに、政治の苦労話の部分だけやたらツマラナイ。
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無戸籍の日本人
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井戸まさえ
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