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天地の理をしなやかにあやつったひとりの男――安倍晴明。芦屋道満との確執、伴侶・息長姫との竜宮での出会い、そして宿命的な橋姫との契り。知られざる姿が、今、明かされる!
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Posted by ブクログ
最初に言っておくと、この本は「幻想文学」です。ファンタジーです。歴史の勉強をしようと読む本ではありません。 「今は昔」で始まるような、少し不気味で訓戒じみた昔話を彷彿とさせる短編連作。 読むごとに時代を下り、その中で受け継がれていく陰陽道の系譜や、安倍晴明に至る流れが、まるで一本筋のように...続きを読む綺麗にできているように思います。 「因果」という言葉が全体を通して感じられる物語です。 厩戸皇子(聖徳太子)や吉備真備など歴史上の人物や、茨木童子といった有名どころの鬼の名前が章タイトルとして上がっていて、一見関連のなさそうな彼らがどのように安倍晴明という人物に結びついてくるのかな、と疑問に思いながら読んでいましたが、見事に繋がりました。 歴史を齧っていたり、昔話の雑学を少しでも心得ていれば、随所で首を傾げたり突っ込みたい部分はあるかと思いますが、史実と混同せずに大嘘のフィクションだと割り切るべきでしょう。 そしてなにより、安倍晴明はじめ、人間がいかにも俗物に描かれているのが怖いところでもあり、痛快なところでもあります。 あやかしをセコい手段で謀って退治したり、同じ人を陥れるために汚い手を使ったり……。人を騙すあやかしなんてまだまだ可愛いものだと思えてくるほどです。 そして、その末に報いを受け、過去を清算させられるといった、昔話にお決まりのブラックユーモアな因果応報がまた面白い。 「幻想文学」の中でも、含蓄ある作品だという印象を持ちました。 よく勘違いされるのですが、ファンタジーだから無責任にあれこれ設定を作って書いていい、というわけではなく、やはりある程度現実を踏まえなければ設定としては突拍子すぎて成り立たず、話も面白くはなりません。 知識がなければ、新しく作り出すことなどできないものです。 だから、この物語は、正しい歴史にしろ眉唾ものの伝承にしろまったくのフィクションにしろ、あらゆる豊富な知識によって紡がれた、壮大な嘘(フィクション)だと理解して読んで下さい。
安倍晴明の生い立ちと陰陽師の由来が簡単に分かる一冊。 安倍晴明は冷静でかっこいいと思っていたが顔は赤顔で目が細いと異形の顔立ち、そして妻の尻にひかれているという全然印象が違う。 陰陽師鬼談なので鬼を退治する話なんだけど、最後安倍晴明と妻がどうなったのか知りたい。。。
聖徳太子や吉備真備と安倍仲麻呂の話から、さらに安倍清明が仲麻呂の子孫だったという話もあり楽しかった。安倍清明の遺跡をめぐるツアーに参加したこともあり、場所もイメージできたのでさらに楽しかった。
副題に安倍晴明物語とあるが、最初から最後まで晴明が主役というわけではない。 前半は、厩戸皇子、吉備真備、藤原秀郷。 後半は、緊那羅、茨木童子、橋姫、丑御前。 ――等が主役である。つまりこれは、陰陽道を軸とした日本文学史を、小説という形で著した物なのだ。 収められている話は著者の完全なる創作...続きを読む、というわけではない。全て古典を基として再構成しているのだ。 古典と陰陽道(民間信仰)の関係を調べるに当たって、この書籍は素晴らしい入門書である。
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