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Posted by ブクログ
心象のはひいろはがねから
あけびのつるはくもにからまり
のばらのやぶや腐植の湿地
いちめんのいちめんの諂曲(てんごく)模様
(正午の管楽よりもしげく
琥珀のかけらがそそぐとき)
宮沢賢治の小説は苦手だが、詩は好きだ。「雨ニモマケズ」や「永訣の朝」もいいが、「春と修羅」が一番好きだ。何を言っているのかはわからないのに、何が言いたいのかはなんとなくわかる、この不思議な言葉の連なりが好きだ。
いかりのにがさまた青さ
四月の気層のひかりの底を
唾(つばき)し はぎしりゆききする
おれはひとりの修羅なのだ
(風景はなみだにゆすれ)
『銀河鉄道の夜』から連想される、聖人君子みたいな賢治はここにはいない。ここにいるのは、潔癖さゆえのフラストレーションに悶える、ひとりの孤独な青年だ。遠くに聞こえる雷鳴のような、青白い炎のゆらめきのような、何かひとつでもバランスが崩れれば今にも荒れ狂いそうな、破滅的なエネルギーの予兆。
ああかがやきの四月の底を
はぎしり燃えてゆききする
おれはひとりの修羅なのだ
(玉髄の雲がながれて
どこで啼くその春の鳥)
荒ぶる魂は、ときに文法や文脈をも破壊する。しかしその逸脱に、私はほとんど本能的な悦楽を覚える。形式上は破綻しているそれらの言葉は、交響曲のように重なりあい、響きあって、ひとつの世界を形成しているのだ。これが計算に基づくものなのか、感性によるものなのかは、私にはわからない。しかし賢治のように、既存の言葉を破壊してなお、言葉によって人に感銘を与える者がいるとすれば、それは「詩人」と呼ぶよりほかないではないか。
まばゆい気圏の海の底に
(悲しみは青々ふかく)
ZYPRESSEN しづかにゆすれ
鳥はまた青ぞらを截(き)る
(まことのことばはここになく
修羅のなみだはつちにふる)
………
………
Posted by ブクログ
雨ニモマケズ、はとても有名な作品ですが
ほかにも素敵な作品がいっぱい収録されています。
言葉の使い方が繊細で
こういう表現があるんだ、とはっとさせられる作品がたくさんあります。
その中で特に気に入ったフレーズを抜粋します。
「グランド電柱」から
「雲と雨とのひかりのなかを」
真っ黒い雲のなかでキラキラ光る雨の様子が目に浮かびとても素敵な情景に感じしびれました。
「停留所にてスヰトンを喫す」から
「あゝ友だちよ
空の雲がたべきれないやうに
きみの好意もたべきれない」
この表現がなんとも気持ちを絶妙にあらわしていて
ぐっと心を掴まれました。
ほかにもいい詩はいっぱいありますが
特に気に入った作品です。
宮沢賢治は、素敵な詩人だと改めて思いました。
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