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「機械学習」「ディープラーニング」ってなに? 人工知能(AI)がイチから分かる本!
プロ棋士に初めて勝利した将棋プログラム「ポナンザ」の開発者が、コンピュータと将棋との関わりを通して、人工知能をやさしく語った本です。難しい理論や数式は登場しませんし、将棋をよく知らなくても大丈夫。そもそも人工知能とは何なのか、から出発し、コンピュータはどうやって将棋を学んでいるのか、あるいは、最近ニュースになることが多く、急速な発展を遂げている「ディープラーニング」は何がすごいのかなど、人工知能の基本が自然にするっと入ってきます。
将棋よりハードルが高いといわれる囲碁の人工知能にも言及。世界トップクラスの棋士に勝利したアルファ碁はいかにして強くなったのか、分かりやすく解説します。さらに、画像認識の人種差別問題など、これからの人工知能活用の話題も幅広くカバーしています。
知性とは何か、これから人と人工知能はどう関わるべきなのか、プロ棋士がコンピュータ将棋を参考にするまでになった将棋界の変化を見てきた筆者だからこそ、その近未来観は必読です。
Posted by ブクログ
将棋界のトップ棋士を倒した人工知能「ポナンザ」。本書はポナンザ」を開発した山本さんが、わかりやすくポナンザの仕組みを解説しています。(簡単な表現で書かれているけど、そもそも内容が難しいから、理解できたとはいいがたい)
もともとは、人間が完全にプログラムを組むことで、将棋を覚えさせていたのですが、将棋は最新の人工知能でも全てを解析することは不可能なほど奥が深いため、すぐに行き詰ります。その後、機械学習という仕組みを取り入れ、将棋の駒の関係性の優劣(王将の近くにいる金は価値が高いとか)を教えて、あとは人工知能に勝手に学習させることで、急激に「ポナンザ」は強くなり、将棋界のトップ棋士に勝てるようになりました。(2017年には名人にも勝利)
囲碁は将棋よりももっと奥が深く、人工知能が人間に勝てるのは数十年後といわれていたのですが、アルファ碁(グーグル)は、さらに人間の神経回路に似せた多層構造の仕組みを持つディープラーニングを取り入れることで、2016年に囲碁のトップ棋士に勝ってしまいます。
将棋、囲碁が題材ですが、これらの出来事は、これから広く人間と人工知能の関わり方を暗示しているように思われます。情報を集めること、計算すること、ルールの中で最も正しいと思われる選択肢を瞬時に選ぶこと。これらは人工知能が得意とする分野です(その思考過程がブラックボックスにならざるを得ないのが気持ち悪いが)。人間にできることは何だろう?課題を設定すること?特に、人工知能の助けを得ながら、新たな問いを立てることは人間にしかできない分野かもしれません。
本書で印象的だったのは、囲碁の世界で、トップ棋士が負けた後、素直に棋士たちが人工知能に勝てないことを認め、そこから学ぼうとしていることです。プロレベルでも、囲碁の世界はまだまだ未知の領域が広大であることを人工知能が気づかせたのだそうです。(将棋でも同様に、人工知能を棋力向上に活用するようになってきています)
このあたりに、何か大きなヒントが隠されているような気もします。
Posted by ブクログ
2017年4月についに現役名人を破った将棋ソフト「ポナンザ」の開発者自らが、将棋や碁の人工知能開発について書いた本。実際にこの世界の先端を歩んできた開発者であるためその内容に信が置ける上に、表現も読者にとって非常に読みやすく興味を惹くように書かれている。論理的であるということと文章の才は関係もあるのかもしれない。
人口知能は、将棋界だけでなく、囲碁界でも躍進し、AlphaGoが2016年のイ・セドルに続き、現囲碁界の頂点に君臨するカ・ケツにも2017年5月に圧勝した。それまでは一線級の棋士にはまだまだコンピュータは勝てないだろうと思われていたものが、正に一瞬にして様相が変わり、もはや人間はコンピュータには勝てないだろうという認識が支配的になった。そういう意味でもこの1年は人口知能界にとって画期的な年であった。そして、この先もどんどん進化していくだろうと、多くの人がそのことに若干の不安を持ちながら期待を持って確信した年でもあった。
ポナンザも開発当初は将棋もそこそこの腕前であった著者が、勝つためのロジックをプログラマである自身が考えて組み込んで作ったものであった。その成果としてできあがったソフトは、残念ながら全く人間に歯が立たなかった。もちろん著者自身にも。つまり、人間のロジックを上手く言語化して計算可能な問題にすることができなかったのだ。その限界を変えたのが機械学習とディープラーニングだった。著者はこの技術について、計算不可能と思われていた問題が計算可能な問題になったと表現する。その表現は納得感が高い。ポナンザの開発経緯を辿って、強化学習の導入やコンピュータ自身による「評価」の調整方法などが説明されるが、具体的な事例に沿っているため非常に腹落ちしやすい形で説明される。たとえばAlphaGoが使ったモンテカルロ法の説明も非常にわかりやすい。
ポナンザの生みの親である著者が、ポナンザに負けたとき、自分の子供の成長に例えてその喜びを表現した。また一方、2013年にプロ棋士(佐藤四段)をポナンザが破ったときの記者会見のことをゾッとしたと表現する。しかし、現在では状況はずいぶんと変わった。ポナンザが新しい戦法を指すようになり、将棋界でもポナンザ流というものが出るようになったという。そしてついに名人が破れてもそれほど驚かれないような世界となり、佐藤名人自身もオフラインの対局でもほとんど勝てなかったと認めるような状況になった。現在将棋界では新しい星として、14歳中学生の藤井四段がプロになってからの連勝を伸ばしているが、彼も将棋ソフトから大きな影響を受けて強くなっているのかもしれない。
本書の中では、当然将棋が中心になるのだが、人口知能一般にも話が向けられている。人口知能については「解釈と性能のトレードオフ」がある。つまり性能を上げるほどなぜ性能が上がったのかわからなくなるというものである。それは将棋ソフト以外でもあてはまる原則だという。そして、将来そこにはある種の倫理の問題が出てくるのではと指摘する。そこが気味の悪さの大きな要素でもある。
ディープラーニングの未来について「言葉」と「音声」と「画像」が大きな応用先であることは間違いない。Googleの動きを見ていてもその通りであり、音声認識率や翻訳の自然さ、Google Lensの話などますます精度があがることがほぼ確実に期待できる。だからこそ、その先に何があるのかを倫理的な角度からも考えなくてはならない。
著者は、開発を経て、ときどきポナンザの指し手に意思を感じたり、目的を感じるようになったという。人口知能は「知能」を獲得したが、そのうちに「知性」まで獲得するようになるかもしれない。かつて、人口知能は人間の脳に近いやり方ではうまく行かないと言われていたが、それは道具立てが追いついていなかっただけで、今では人間の脳に近いほどうまくいくと言われている。人間の脳のメカニズムの解明にもつながっていくのではないか。
とにかく将棋がわからない人にもお勧めの本のひとつ。そこいらの人口知能の解説本よりよほど本質がわかるような気がする。
Posted by ブクログ
将棋プログラム「ポナンザ」の開発者による人工知能の解説書。専門知識が無くても読みやすい内容で、人工知能や機械学習、ディープラーニングとはどういったものなのか、かみ砕いて説明してくれている。著者が将棋プログラムの開発者のため、「将棋」という具体的な研究開発の対象があり、開発の過程なども盛り込んでくれているのでわかりやすいのだと思う。
技術の進化は日進月歩、2017年のこの著作でさえちょっと古いかなとも思うが、AIの入門書や気軽な読み物としては最適な本だった。
将棋がメインテーマだが、同じ知的ゲームのチェスや囲碁も扱っている。特に巻末の対談は囲碁のプログラム「アルファ碁」にものである。ただ、この巻末の対談は囲碁がわからない者にとっては難しくて読みにくいものだと思う。それ以外のところはかなり読みやすいのでちょっと残念。
Posted by ブクログ
以下、自分用のメモとして。
①将棋の何を、どのように計算すればいいのかわからないから、コンピュータは人間に勝てなかった。チェスは盤上の駒の残存=局面の評価に直結するが、チェスに比べて「足の遅い」駒が多い将棋は、駒の配置が重要で、それを論理的に=コンピュータにわかるように表現することが難しかった。それよりもっと難しかったのが囲碁だった。
②機械学習(多数のデータからコンピュータに経験を積ませて向上させる)が進んでポナンザは強くなったが、なぜ強くなったのか説明できない「黒魔術」な部分が大きくなっている。
③脳の神経回路を模したディープラーニングは画像処理が得意。ということは、「知能とは画像である」と言えるかもしれない。
④人間は指数関数的成長を直感で理解できない。これほど早くコンピュータが名人に勝てるようになるとはプロ棋士も思っていなかった。いずれ人類はプロ棋士と同じ思いをする。
⑤コンピュータにはない、人間だけの武器は「中間の目的」を設計すること。「目的を持つ」とは意味と物語で考えるということ。
⑥ディープラーニングでコンピュータは知性を獲得するだろう。そのとき、AIは倫理観を人間から学ぶことになる。シンギュラリティ以降のコンピュータがどんなものになるのか、人類自身が試される。
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