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「誘ってきたのは奥さんです」「私は犯されました」「妻と部下は、悦びあっていました」。不貞の現場でせめぎ合う間男、妻、夫それぞれの“真相”(「藪の中の情事」)。あなたからの贈り物は、左腕でした。私の体を知り尽くすその手は、何度でも快楽の波を呼び起こす(「片腕の恋人」)。物語に感応し溢れ出る一片、また一篇。団鬼六賞受賞作家があなたの欲望の蓋を開ける艶やかな官能短編集。
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Posted by ブクログ
今まで読んだ官能小説の中で一番好きかも知れない。 関係性や心情、行為それぞれに表現の豊かさを感じました。男女だけではなく、同性愛も含まれていたのも面白かったです。花房観音はいいぞ
「近代文学を代表する文豪たちが書いた名作を元に、私の妄想をくわえて官能小説にしたものを集めたのが本書である。」(あとがきより) 芥川の「藪の中」、川端の「片腕」、谷崎の「卍」、漱石の「それから」、三島の「仮面の告白」に材を取った短篇集。 ***** 「藪の中の情事」…夫の告白が最も新鮮だった。な...続きを読むぜなら、著者の作品に登場する男は女の手のひらの上で転がされているのが大半だが、この夫はそうではなく、冷淡で支配権を握っているから。 「片腕の恋人」…ある意味最もロマンティックな一篇だが、片腕が万能すぎてついていけない。 「卍の女」…京都弁がたまらない。ただ読むのではもったいなく、声に出して楽しみたい一篇(ただし小さな声で…)。 「それからのこと」…本作の中で、最も女の本性を炙り出した一篇。著者は、恋という地獄に魅せられているのだと思っていたが、もっと言えば、男の激情を受け止める刹那の喜びに魅せられているのかもしれない。 そして、「卍の女」もそうだが、夢のような喜びは程なく色褪せ、愚かな愛人を見下すところまで描かれるのがいい。 著者の作品を読むと、自分の中にもそんな「女」が住んでいることに気付いて不安になるが、同時に満ち足りた幸福の中にいることにも気付いて安堵する。 「仮面の記憶」…著者初めての男同士の物語。肉体の描写が目立ち、柏木の首から上が想像できないので、どうも現実味がない。 ***** それにしても、原典を1つも読んだことがないのが恥ずかしい。しかし今読むと、確実に本作に引きずられてしまうので、来年読もうかしら。
『片腕の恋人』他人から見たらグロテスクでしかない状況だけれど、愛する人の左腕さえあれば、しかもその腕が感情を持ってるかのように愛してくれ、ずっと一緒にいてくれるとするならば、これ以上の幸せはないだろう。妄想をかき立てられる物語だ。川端康成の原作も読んでみたい。 『それからのこと』の三千子は感じ悪い女...続きを読むだけど、わからなくもない。女の嫌な部分に心が支配されてくると自己嫌悪に陥って、自分の事が嫌で仕方なくなったりするけど、花房さんの作品を読んでると、誰しもそういうところはあるんだよと少し救われる気がする。
日本文学の短編名作のパロディ集。 と言って仕舞えばそれまでだが、それが「性」を題材にした官能小説的手法となると、これまたそれまでな感じがする。 とはいえ、なんだろう、結構面白かった。 短編集なので、読みやすいし、なによりライトな感じに収まっているところが、なんだか気に入ったようである。 つまり、なん...続きを読むで面白かったのか、自分でもよくわからないらしい。
2017年、18冊目は、主に隙間読書用にしていた花房観音の短編集。全5編収録。 今回もタイトルだけ紹介。 藪の中の情事 片腕の恋人 卍の女 それからのこと 仮面の記憶 「文豪官能」というコトで、文豪の作品を現代設定の官能にアレンジ、remix。コレはコミック『谷崎万華鏡』のレビューでも記したが...続きを読む、自分、文学音痴の読書好き。したがって、元ネタはほぼ知らずに読みました。 そんな、元ネタ知らずの文学音痴は「卍の女」が最も好み。次いで「それからのこと」以下は僅差で「藪の中の情事」「片腕の恋人」「仮面の記憶」の順かな。いずれにせよ、全5編、どれも及第点超え。 花房観音の丁寧な作りと描写で、(短編のためもあるが、)少ない登場人物を鮮明に描けている。また、官能のバリエーションも豊富。ただし、個人的には、官能としては(解説にある「本来の効用」としては)「卍の女」位しか機能しなかった。隙間読書として、主に外で読んだからかもしれないが……。えっ?屋外で官能読むな、って。
官能短編集w 『藪の中の情事』『片腕の恋人』『卍の女』『それからのこと』『仮面の記憶』・・・どっかで聞いたことのあるようなタイトルだなーと思っていたら「文豪官能」だとかw 文豪の名作のエロい部分を膨らませて書いた妄想短編?w 面白そうでしょ~?www っつっても、原作は読んでないので、探して読んで...続きを読むみなくちゃですね!w それにしても・・・『それからのこと』は別のアンソロジーで読んでるはずなのに、ぜんっぜん覚えてなかった・・・花房さん、読みすぎて麻痺しちゃってるのかしらん?www
文学的な香りはするがそれでもいわゆる官能小説だろうか。昭和の文豪のような世界観や文体。江戸川乱歩や谷崎潤一郎を読んでいるような気分になる。妙に心に残る読み応えのある小説だった
女と男の心の中にあるものを自己中心的に表現しています。それぞれのもとになる近代文学読みたいと思います。
5つの短編官能小説。 それぞれが夏目漱石や芥川龍之介など昔の文豪が書いた小説を題材に書かれているとの事。 官能小説はあまり読みませんがもっとドギツイ表現があると思っていました。 通常の小説に少しエロい部分があるなぁくらいの感じ。 もろに表現するよりわざと読み手に想像させるように書かれているように思い...続きを読むます。 個人的に昔の文豪と言われている方々の作品はあまり好きではないので原作を知らない分面白さが半減したのかな。 花房花音さんの作品は初でしたが読みやすかったので他の作品も読んでみようと思います。
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