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「動かない」という選択をした植物のしたたかな戦略が「薬」をもたらした!
モルヒネやキニーネ、ヤナギの成分から作ったアスピリン、生薬を用いる漢方薬など、人間は古代から植物が作る化学成分を薬として使ってきました。また、ポリフェノール、カテキン、フラボノイドなど植物由来の成分が、いまや日常用語として使われています。
しかし、つい最近まで、なぜ、どのように植物が薬を作るのかは解明されていませんでした。その根源的なメカニズムがわかってきたのは最近のことなのです。分子生物学やゲノム科学という先端的な科学の発展によって、植物の巧みな生存戦略に隠された、植物成分を作る意義と、その方法がわかってきました。
土に根を生やして移動しない、という生き方を選択をした植物は、人間も含め、共存する生命との協力関係や敵対関係のある環境のなかで、生き抜いていかねばなりません。たとえば、動物などの捕食者から身を守るため、苦味や渋み、あるいは神経を麻痺させる有毒な化学成分を作るように進化しました。こうして作り出された化学成分が人間の健康に役立つことがあるのです。
植物は、進化という厳粛な自然の審判に耐えながら、きわめて巧に設計され、洗練された方法で、多様な化学成分をつくるという機能を発達させてきました。私たち人間は、それを薬として少しだけお借りして使わせてもらっているにすぎません。
この本は、もの言わぬ植物からの伝言メッセージです。
Posted by ブクログ 2023年02月17日
薬と植物について、これらの薬としての関係性について述べた本。よく耳にする言葉として、抗がん剤やアヘン、ポリフェノールだろう。これらの成分は、植物から作られており、植物の二次代謝によるものがほとんどである。
植物は薬として古来から利用されており、チンパンジーですら薬として用いる。その歴史は生薬か...続きを読む
Posted by ブクログ 2017年05月26日
植物学、薬学の基礎解説本。ぎりぎり啓蒙書レベルであるが、高校生物学程度の知識が必要で、どちらかというと難易度は高い。
現在、ほとんどの穀物が遺伝子組み換えになっている事実。遺伝子組み換えよりも気候による変化などの方が大きいこと。薬は植物由来が6割、化学由来が4割であること。抗がん剤、抗生物質などの...続きを読む
Posted by ブクログ 2017年03月25日
〈本から〉
アレロパシー
コーヒーの木のカフェインのように、植物が特異的成分を放出して他の植物の生長(主に植物個体が伸び育つこと。それに対して「成長」は主に人や動物が育って大きくなること)を抑えたり、微生物や昆虫、動物から身を守ったり、あるいは引き寄せたりすることを「アレロパシー」あるいは「他感作用...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年11月13日
タイトル通りの内容で新書らしい一冊でした。
植物から得る薬にも毒にもなる効用。その成分。ではなぜ薬を作るのか。どのようにその物質を作るのか。薬にも毒にもなるその成分に植物自身は耐えれるのか。
細かい話は流し読みしてしまいましたが、知識として面白く、十分楽しめました。
ただ分かりやすくを意識して、書い...続きを読む
Posted by ブクログ 2017年12月05日
生命の定義
①自らの生存と成長の為に物質代謝、エネルギー代謝が出来ること。
②自己を複製して次世代に受け継ぐこと
この2つの属性を有し、生命として成り立つために動かないことを選択した植物は独自の生存戦略を発達させた。それが結果的に多くの薬をもたらす事に繋がった。
地球上で1番多いタンパク質はルビス...続きを読む
Posted by ブクログ 2018年10月31日
アスピリンは、ヤナギの樹皮に含まれる鎮痛作用のあるサリシンをアセチル化したもの。爪楊枝にはヤナギの枝が使われる。植物体が病原菌の攻撃を受けると、サリチル酸は揮発性の高いサリチル酸メチルに変換され、植物の体全体にすばやく伝える。サリチル酸メチルはよい香りで、サロメチールとして使われている。
タバコの...続きを読む
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