植物はなぜ薬を作るのか

植物はなぜ薬を作るのか

968円 (税込)

4pt

「動かない」という選択をした植物のしたたかな戦略が「薬」をもたらした!

モルヒネやキニーネ、ヤナギの成分から作ったアスピリン、生薬を用いる漢方薬など、人間は古代から植物が作る化学成分を薬として使ってきました。また、ポリフェノール、カテキン、フラボノイドなど植物由来の成分が、いまや日常用語として使われています。

しかし、つい最近まで、なぜ、どのように植物が薬を作るのかは解明されていませんでした。その根源的なメカニズムがわかってきたのは最近のことなのです。分子生物学やゲノム科学という先端的な科学の発展によって、植物の巧みな生存戦略に隠された、植物成分を作る意義と、その方法がわかってきました。

土に根を生やして移動しない、という生き方を選択をした植物は、人間も含め、共存する生命との協力関係や敵対関係のある環境のなかで、生き抜いていかねばなりません。たとえば、動物などの捕食者から身を守るため、苦味や渋み、あるいは神経を麻痺させる有毒な化学成分を作るように進化しました。こうして作り出された化学成分が人間の健康に役立つことがあるのです。

植物は、進化という厳粛な自然の審判に耐えながら、きわめて巧に設計され、洗練された方法で、多様な化学成分をつくるという機能を発達させてきました。私たち人間は、それを薬として少しだけお借りして使わせてもらっているにすぎません。

この本は、もの言わぬ植物からの伝言メッセージです。

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植物はなぜ薬を作るのか のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    とても良かった。
    植物といかにして相互共存して生きていくかという言説そのものがおこがましい。人間は植物に生かされている。それは薬だけでなく食物として、建築の素材として、我々人類の同類というよりも、地球の先輩として敬意を払う。

    0
    2024年03月08日

    Posted by ブクログ

    全く知らないことばかりで、植物って本当にすごいなというのが正直な感想。
    チンパンジーも生薬を使うというのも驚きで、世代を超えて受け継がれる知恵のようなものは人間以外にもあるのかな、と思った。

    0
    2023年07月12日

    Posted by ブクログ

    薬や健康増進のサプリメントなど植物は私たちにとって有用な成分を作ってくれる。
    では、なぜ植物がこのような人間に有用な成分を作るのか? その答えがわかる一冊


    本書では植物から得られる有用な成分が紹介された後、主題である「なぜ」「どのようにして」植物はそのような成分を作るのか?が網羅的に解説されてい

    0
    2024年06月21日

    Posted by ブクログ

     薬と植物について、これらの薬としての関係性について述べた本。よく耳にする言葉として、抗がん剤やアヘン、ポリフェノールだろう。これらの成分は、植物から作られており、植物の二次代謝によるものがほとんどである。

     植物は薬として古来から利用されており、チンパンジーですら薬として用いる。その歴史は生薬か

    0
    2023年02月17日

    Posted by ブクログ

    「植物由来で身体に良い」その意味と、そこに潜む誤解

    こういう本を読むと植物も動物も同じ生き物なのだと痛感する

    たかだか40万年の歴史しかないホモ・サピエンスは、5億年かけて進化してきた陸上植物のことをまだごく一部しか知らないのだ!

    0
    2021年12月30日

    Posted by ブクログ

    薬品や健康に良い成分は植物由来のものが多い。それらは植物がよりよく生きるために作ったもので、決して人のために作ったものではない。人はあくまで、地球の同居人の生産物を使っているに過ぎない。
    そう思えば、人々は自然にとても支えられていて、感謝の気持ちが湧いてきた。

    0
    2019年12月08日

    Posted by ブクログ

    植物学、薬学の基礎解説本。ぎりぎり啓蒙書レベルであるが、高校生物学程度の知識が必要で、どちらかというと難易度は高い。

    現在、ほとんどの穀物が遺伝子組み換えになっている事実。遺伝子組み換えよりも気候による変化などの方が大きいこと。薬は植物由来が6割、化学由来が4割であること。抗がん剤、抗生物質などの

    0
    2017年05月26日

    Posted by ブクログ

    〈本から〉
    アレロパシー
    コーヒーの木のカフェインのように、植物が特異的成分を放出して他の植物の生長(主に植物個体が伸び育つこと。それに対して「成長」は主に人や動物が育って大きくなること)を抑えたり、微生物や昆虫、動物から身を守ったり、あるいは引き寄せたりすることを「アレロパシー」あるいは「他感作用

    0
    2017年03月25日

    Posted by ブクログ

    化学の知識があまりない中で読んだので、ストーリーしか理解しなかったけど、タンパク質の生成の偉大さや、いかに人間が植物に助けられているかを考えるきっかけになって良かった

    0
    2024年08月23日

    Posted by ブクログ

    タイトル通りの内容で新書らしい一冊でした。
    植物から得る薬にも毒にもなる効用。その成分。ではなぜ薬を作るのか。どのようにその物質を作るのか。薬にも毒にもなるその成分に植物自身は耐えれるのか。
    細かい話は流し読みしてしまいましたが、知識として面白く、十分楽しめました。
    ただ分かりやすくを意識して、書い

    0
    2022年11月13日

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