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漱石を敬愛することだれよりも厚かった愛弟子が師の「動的な生活を動的に把握」しようとこころざして書きあげた初の本格評伝。作品はもとより各種の資料を駆使して漱石の出自から死までを細緻にあとづけ、のちの漱石研究にはかり知れぬ影響をあたえた。「系図」から「死」まで全部で七十三章から成る。 (解説 平岡敏夫)
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Posted by ブクログ
〈漱石を敬愛すること誰よりも厚かった愛弟子〉による評伝です。 執筆に際し〈冷静な客観的な態度〉を心がけたと「第一版序」に述べられていますが、読んでみると漱石への尊敬の眼差しがそこかしこに感じられます。でもだからこそ弟子になったわけで、その敬愛の念を排除できなくて当然。愛弟子の目から見た夏目漱石とい...続きを読むう人に興味があるので、私はそこはほほえましく受けとめて読んでいます。 岩波書店から刊行された『漱石全集』の全巻解説を小宮氏が書いたことにより、そちらとの重複を避けるため、本評伝では漱石の作品よりも生活に的を絞って書かれたとのこと。とはいえその生活における出来事や心情などが、漱石の多くの著作の中で記されていることがわかり、今後は漱石の作品をより深く味わえそうです。 さて、上巻は、まず夏目家の系図から始まります。始祖はなんと源頼朝の時代の人。そこから系図をたどってきて、漱石(金之助)の出生と家庭事情、教育事情、大学予備門と落第、正岡子規との出会い、初恋、大学時代、就職、を経て、松山へ赴任、結婚へと至ります。 正岡子規との友情が良いですね。英語ができる上に漢詩にも精通する漱石と、哲学を志し詩歌を愛する子規が、お互いに畏敬の念を抱きつつ、そこまで書いちゃって大丈夫かと心配になるようなことまで手紙に書き合えちゃうほどの仲だったというのは、理想的な友人関係に思えて、なんだかうらやましくなりました。 本書はあくまでも弟子による評伝なので、〈はっきりとは分からない〉ということがけっこうあり、内容にいくつか誤りもあるようですが(解説で指摘されています)、そんなところも含めておもしろく読めています。ということで、中巻へ進みます。漱石さん、イギリスへ旅立つようですよ。
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