ルドヴィカがいる

ルドヴィカがいる

737円 (税込)

3pt

3.0

言葉の迷宮と異境を体感する超感覚ミステリ。

だめだ。ダサい。この文体は美学的に許せない――。
小説家の伊豆浜亮平は文体や言葉づかいに独自のこだわりを持っている。ただ、この5年間はヒット作にめぐまれず新作刊行の見通しも微妙で、3年前から始めた女性誌のライター業でなんとか食いつないでいた。世界的な天才ピアニスト荻須晶へのインタビュー取材をきっかけに、そんな小説家が出会ったのは、独特の話法で言葉を操る不思議な女だった。
初めて遭遇した場所は、軽井沢にある荻須晶の別荘近く。純白のワンピース姿で森の中を一人でさまよう彼女は、薄い唇を開いて確かにこう言った。
「社宅にヒきに行っている人とその恋人の方ですね。ラクゴはミています」
社宅にヒく? 引く? 牽く? だめだ、まるで意味がわからない――。
彼女の話す言葉にどんな意味があるのか、そもそも彼女はどうしてそんな話法を駆使しているのか。混乱する小説家をよそに、彼女の言葉はつづく。
「私はその中心を走っていたところです。将来、社宅で打ち合わせしますね」
言葉の迷宮をさまよう小説家は、やがて執筆中の小説の内容にも通底した“もうひとつの世界”に導かれてゆく。――著者真骨頂! 異境を体感する超感覚ミステリ長編!

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ルドヴィカがいる のユーザーレビュー

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    ネタバレ

    Posted by ブクログ 2021年05月02日

    はっとする記述があったり主人公の考え方だったりは好きだったし、最後の方までは楽しく読めてたのに最後がなんかふわっと終わってしまったのが個人的には残念。でも、主人公が作品の中で「全ての謎が解決するなんてあり得ない」的なことを言ってたし、この本の構造的にはこの終わり方が正解だったかも。

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