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文学賞での華々しいデビュー、10万部超えのヒット、そして相次ぐ映画化オファー。人気作家への道を邁進していたはずの小説家は、どうして筆を執ることすら許されなくなったのか? 著者が自らの作家人生を自虐的に再検討しつつ、あとを絶たない小説家志望者への教訓を紡ぐ。名だたる大手出版社で本を出してきたからこそ語れる業界の裏事情も満載。編集者たちとの赤裸々エピソードで、知られざる〈小説家のリアル〉が明かされる。
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Posted by ブクログ
興味深く読めました。 この本の読者は、「小説を書いていてデビューしたいと思っている人」になるのでしょうか。もしくは「平山氏のファンが作品の制作秘話を知りたいという動機から読む可能性」もありますね。 私の場合、今回初めて新人賞に応募できそうな長編小説を書き切ったので、「自分にもこの本を読んで失敗を...続きを読む学ぶ資格はあるかな」と半ば遠慮がちに手に取りました。 結果的に大いに役立った助言がありました。 「編集者に言われて結末を変えたが、中途半端になってしまい後悔している」という失敗エピソードです。 どこで役に立ったかと言うと、書き切った長編小説に対し、ランサーズの添削サービスを受けた時です。サービス提供者は、それこそ編集のプロの方でした。 添削の結果、「このアドバイスの全部を聞く必要はない」と前置きされたとはいえ、コアの設定部分を「これは辞めた方がいい」と言われてしまったのです。 しかし私が書きたかった動機と密接に関わる設定だったので、添削通りに設定を変える気持ちは湧かず……。 本書の「落とし所を見つけて、抗えばよかった」という平山氏の後悔を思い出し、「そっか、作中でなんでこの設定にしたのか、嫌というほど強調すればいいんだ」と思い直しました。それが私の思いついた「落とし所」でした。 結果、添削前とは比べ物にならないほど完成度を上げる事ができた上に、自分の信念も守る事が出来ました。 そもそも、なかなかデビューなんて出来ないし、本書のアドバイスが役に立つ人材そのものの人数が限られているとは思うのですが、お金さえ出せば「プロの編集者」とはやり取りできる。 真剣に小説を書いている人は読んで損はないと思います。他の書き手には、また違った「失敗エピソード」が役に立つのではないでしょうか。
この作家さん知りませんでした。なんか色々大変だったんですね…。 様々な恨みつらみが文章のあちこちから滲み出て、なかなかにホラーだけど読みやすいので蕎麦すするみたいにつるつるっと読める不思議な本(笑) 本のレビューなんて私のような素人が勝手に書いているだけなので、そこまで気にしなくても…と思うんですが...続きを読む、売れ行きを左右することを考えるとそうも言っていられないんですね。これまで無責任に好き勝手なこと書いていてすみませんでした(汗) 思うにこの作家さん、デビュー作路線で爆走したら「一部の人に熱狂的に支持されるカリスマ作家」になれたんじゃないかと思うんですが。 人の好みも同じだと思うんですけど、超メジャーが大好きな人もいれば、超マイナーにしか興味が向かない人もいるように、超エンタメ系が向いている作家さんもいれば、一部の人にしか理解できない作品しか作れない作家さんもいると思うんです。(例えば小川勝己さんてそのタイプだと思うんです) ジャンルに捕らわれない「これ以上先はない」系のぶっ飛んだ話の方が好きな人間に、ぐさぐさと刺さる作品を生み出す作家さんになれたのでは…(ご本人がそれを望んでいないんですけども) とりあえず「ラス・マンチャス通信」と「桃の向こう」を読んでみたいと思います←という気持ちを呼び起こしたという点で、この本は成功したのでは?と思います。
先日読んだ「2週間で小説を書く!」が徹底したハウツー本としたら、本書は実体験に基づいた小説家業の失敗学本だ。 本書で初めて著者のことを知ったが、文章表現が的確で、一気に読み進めた。新書だがミステリ系の読後感を得た。 著者は専業作家になる前は会社員を経験している。だからこそ会社員である編集者の立場を...続きを読む理解し、寄り添っている。しかし、そこに落とし穴があったのだ。(編集者への恨み節満載だけど...笑) 内容は自著を例に失敗した経緯を語るスタイル。その中で気になったのは「シュガーな俺」。著者は1型糖尿病患者で、この小説は糖尿病の経験を基にしたもので読んでみたくなった。 印象に残った一文 丹精込めて一度生み出した文章を、「ここはどう描けば最も効果的だろうか」と逐一心を悩ませて絞り出していった描写の数々を容赦なく削り取り、かなぐり捨てるのは、腕や足をもがれるほどつらい作業だった。
まだ序章しか読んでいないが、著者の筆力の高さがうかがえる文章。 ラス・マンチャス通信という代表作のあらすじも書かれており(暗く苦しい話ではありそうだが)そちらにも興味がでてきた。 作家へのハウトゥーではなく、失敗してしまったと自認する著者の、今までの軌跡を丁寧になぞっているようだ。 もう少し読...続きを読むみ進める時間を早くとりたい。 +++
エンタメ業界の厳しさがよく分かる。売れている作家さんによるこの手の本を読むと、売れるものを書くのは簡単なことのように勘違いしやすいけれど、そういう方はやっぱり才能があるということなのだろうと再認識した。大変な職業だ。
本はあくまで商品の一つということを知る。小説家は書きたいものを書けるわけではなく、編集者の意向を考慮しなければいけない。 著者の文章は自分には読みやすい。
何ともやるせない恨み・辛みの羅列だな~…ってちょっと引きかけたけど、これがまたかなり的確な後悔論で(って何かよく分からん表現になってるけど)、実に楽しめる。少なくとも、前に読んだ”~億を稼ごう”とかよりよほど現実味があるし、創作と真摯に向き合う姿勢を強く感じる。そして、個人的にどちらの小説が読みたい...続きを読むかというと、間違いなくこちら。そういえば、どちらも小説作品を読んだことはないから、読み比べてみるのも一興かも。とはいえ、まずは平山瑞穂作品から。書評で気になった作品が2つ手元に積読(つんで)あり、近いうちに読んでみよう。ちなみにそれは”ラスマンチャス”と”3.15”。本書でも特に重点的に述べられていた作品だし、ちょうど良かった。
愚痴や弁明のように感じるところもあるが、 文章も上手なので、グイグイ一気読みできる。 作家と編集者の関係性や、出版業界の厳しさも 知り得て、興味深く読んだ。 作者の小説は、読んだことがないが、 作者が書きたいものと、読者が求めているもの 乖離があり、作者も自分で気づいていながらも、思うように振り切れ...続きを読むていないのが要因か、 まずは、『ラス マンチャス通信』を読んでみたいと思う。
残念ながらこの著者の本を読んだことはないので、自己分析についてはなんとも言えないのだが。 文芸志向の著者が、そちらのデビューが全く芽がでなかったため、エンタメの賞に応募したところ入選。 ところが、エンタメにはエンタメの売れるべき筋があって、それに馴染めない上に、中途半端に水に染まってしまったため...続きを読むに、文芸にも帰れなくなった。 そんな感じなんだろうか。 おそらく、自分の描きたいものを表現できる筆力をお持ちであったことが「不幸」の一つなんだろうな。 自身も書いてらっしゃるように、おそらく、エンタメには向いてないのに、エンタメデビューして、評価されてしまったことが今に至っている。そこに徹することもできなかったのに、「書けて」しまった。そのくせ、文芸志向、かつ、読みたいものではなく読ませたいものを書くという芯を外すこともできなかった。 全く才能なければ、そんなところまで行かずに済んだんだろう。 そんな人は山ほどいるだろうな。 むしろ、同じ志向の人たちと、同人誌でも続ければ良かったのかもしれない。 漫画でも音楽でもそうだが、才能と努力だけでは生きていけない、本当に大変な世界であり、そこに挑戦されたことは、尊敬に値する。 後に続きたい人は、ぜひ読んでもらいたい。 つか、著作、読んでみよう。
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