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1930年、ヤラヴァーダー中央刑務所に収監中のガンディーは、修道場(アーシュラム)でみずからの教えを実践する弟子たちに宛てて一週間ごとに手紙を送る。真理について、愛について、清貧について、不可触民制の撤廃について、国産品愛用運動について……。ただただ厳粛なる道徳的観点からのみ行動した、「偉大なる魂」(マハートマ)の思想と活動原理。(新訳)
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Posted by ブクログ
189P マハトマ・ガンディー Mohandas Karamchand Gandhi 1869-1948。モーハンダス・カラムチャンド・ガンディーはインド西海岸の小藩王国の宰相の家に生れ、父の一徹な正義感と母の敬虔な信仰心の影響のもとで育った。13歳のとき、当時の風習に従って結婚、19歳でイギリス...続きを読むに留学、3年後弁護士の資格をえて帰国・開業したが、生来の内気のために成功しなかった。1893年に商社の顧問弁護士として南アフリカに渡ったが、上陸後まもなく白人の言語道断の人種差別を体験、これが決定的な人生の転機となった。以来22年間、同地にとどまり、真理と非暴力にもとづくサティヤーグラハをもって同胞の人権擁護のためにたたかった。1915年にインドに帰り、南アフリカでの貴重な体験を生かして、農民争議やエ場ストライキを有利に指導して注目された。1919年にローラット法に抗議して、インドにおける最初の大衆非協力運動を開始した。ガンディーの政治舞台への登場は、国民会議派を大衆政党へと脱皮させた。1922年にチャウリ・チャウラで発生した民衆の不祥事件を理由にこの運動を中止、自らも投獄されたが、彼にあってはあくまでも手段(非暴力)が目的に先行しなければならなかった。彼はまた、不可触賤民制の除去など建設的プログラムも政治的独立と同時に推進しようと努力した。1930年にガンディーの「塩の行進」をのろしとして、インドは国をあげて第二次非協力運動に突入、1942年には、「インド撤退要求」を合言葉に激しい対英抗争を展開した。けれどもガンディーの念願した「一つのインド」は実現せず、1947年インドとパキスタンは分離独立した。それにつづく熾烈なヒンドゥー=ムスリム紛争に心を痛め、単身、騒擾の村々を訪ねて愛と協調を説いた。1948年、狂信的なヒンドゥー教徒の凶弾によって79年間の「聖劇」ともいうべき生涯の幕をとじた。 森本達雄 もりもと・たつお 1928年和歌山市に生れる。同志社大学神学部卒業。インド国立ヴィシュヴァ・バーラティー大学準教授、名城大学教授を経て、同大学名誉教授。2016年歿。著書『インド独立史』(中央公論社、1972)『ガンディー』(講談社「人類の知的遺産」1981)『インドのうた』(法政大学出版局、1976)『原典で読む タゴール』(岩波現代全書、2015)。訳書 ネルー『忘れえぬ手紙より』(全3巻、みすず書房、1961-65)、ガンディー『わたしの非暴力』(全2巻、みすず書房、1970・71)『獄中からの手紙』(岩波文庫、2010)『『ギーター』書簡』(第三文明選書、2018)、『タゴール著作集』(全12巻、編集・共訳、第三文明社、1981-93)、チョウドリー『ヒンドゥー教』(みすず書房、1996)ほか。
ガンジーの厳しく思える規律。 その大目的は絶えず世界へ向けた動機善なりである。 世界を動かす思想とは、 ある面では偏らざるを得ないことを感じる。 だが、 ガンジーが最も厳しかったのは自分自身であり、それを強要することはなく、 大きな器と慈愛とユーモアに溢れていたという、知人たちの言葉が響く。 ...続きを読む世界を変えるには 自分を変えることだ。
全ての宗教は1つの大きな幹から枝分かれしたものだ。 そんなガンジーの宗教観には目から鱗が落ちる思いがした。
本名は、モハンダス・カラムチャンド・ガンディー。言うまでもなくマハトマ・ガンディー(=マハートマー・ガーンディー)として知られるインド独立の父です。「非暴力」の思想はあまりにも有名ですね。 とはいえ、実を言えば、今まで私は、ガンディーに関するまとまった著作を読んだことがなかったので、彼の思想に直...続きを読む接触れるのはこれが初めてになります。 1930年、ガンディーはヤラヴァーダー中央刑務所に収監されていました。本書は、その期間中に、ガンディー自らが設立した修道場で彼の教えを実践する弟子たちに宛てた書簡集です。「サッティヤー(=satya(真理))」「アヒンサー(=ahimsa(愛))」を中心したガンディーの思想の概観を感じることができる大変興味深い内容です。
ガンジーもかつては、様々な失敗や差別、母親との死別を経験した。 そしてそれは非暴力の抵抗運動につながっていく。 「正義」とは何なのか、「意思」とは何なのか、「貫く」とは何なのか。胸を締め付ける思いと共に考えさせられる。
公正さ、 自分と異なるものへの敬意、 大きな愛。 この時代のインドにあってこの考え方をしていたというのは、物凄いことなのではないか…。 これはちょっと無理、というのもあったけれども。 自伝が読みたくなった。
この人もやはり書いていた!後世に名を残すような偉人はやはりこうでなければ!自分も入牢したらぜひ書いてみよう。 1930年、第2回非協力運動の幕開けとしてモーハンダース・カラムチャンド・ガンディーが行った「塩の行進」により、ヤラヴァーダー刑務所に収監された中で書かれたものであるという。ガンディーが主...続きを読む催した修道場(アーシュラム)の弟子たちに向けて、その教えの意味について毎週に書き送られたものとのことである。 その教義は真理や愛(アヒンサー)といった普く宗教として当然あるべき徳目から始まる。そこまでは自分にもある程度理解・納得できるのだが、しかし、次に続く純潔・禁欲・浄行(プラフマチャリア)や嗜欲(味覚)の抑制、不盗、無所有即清貧とくるにつれて次第にガンディーの各徳目の奥行きは果てしなく厳しくなっていき、ある意味、狂信に近くなっていくのではとすら思えてくる。肉欲はもってのほか!美味しいと思うものを食べるな!本当に必要なもの以外それを得ることも盗みにあたる!ということなので・・・。 それだけ自分が煩悩にまみれているということでもあるのだが、こうなると生きている甲斐はあるのか、そもそも子孫を残して人類が存続していけるのか、というそもそもの根本的な疑問も当然湧いてくる。 そうなのだが、ヒンドゥー教の伝統思想は、人間のうちなる霊魂(アートマン)は、果てしない輪廻転生を繰り返すが、最終的に真理・梵(ブラフマン)を悟り「解脱」に到ることが目標であるということなので、インド社会にあってはそのような徳目は理解されやすく、実践者は崇敬される存在になるのだという。 実際、若い頃にことごとくヒンドゥーの戒律を破ってみせ、また社会的成功を夢見ながらも人生の敗北者でもあったガンディーであったが、南アフリカで人種問題にさらされるや、ただただヒンドゥー的な厳しい徳目を実践しながら、無抵抗の抵抗の指導者として「偉大なる魂(マハートマ)」と崇敬されるに到る。マハートマ・ガンディーの誕生である。 これぞ禁欲の崇高さというか強大さに最終的には誰も抵抗できないといったところであろうか。現代において聖人が世の中を導いた事例として特筆される事績であるといえよう。 だが、政治運動にかかわり続けるガンディーに対して、ヒンドゥーの宗教指導者バラモンからは、結局俗世の政治にかかわることに批判され、最終的にはヒンドゥー極右の凶弾に倒れるという皮肉な最期を迎えてしまう。しかしそうであっても、やはりその偉業ゆえに世界の歴史に燦然と輝く偉人の一人として記憶されるべきであろう。 俗世にまみれた自分には実践は到底無理なのであるが、煩悩に堕ちたと思った時にこそ新たな気持ちで本書を読み、ガンディーの禁欲のほんの一端でも噛みしめて、崇高な気分に浸りたいものである。 ん!?このようないい加減な気持ちも戒律違反?(笑)
ここまで純粋に教義について貫き通せるものなのか。 あとがきにあったが、過去イギリスにわたり 西洋文化に感化されたエピソード 何度も失敗を繰り返してたどり着いた晩年。 こんな大偉人でも人間なんだなと感じる。 ためになる格言、人間の本質は 哲学的かつ、他の宗教も理解した うえでの言葉には深みがある...続きを読むように思う。
1930年、「塩の行進」で目的地に到着したときには、ガンディーに従う群衆は数千人の非暴力の集団にふくれあがっていたという。危機感を抱いた政府に逮捕され、ヤラヴァーダー中央刑務所に収監されたガンディーは、アーシュラム(修道場)の同志、門人たちに宛て毎週火曜日の朝に、定期的に戒律の1つ1つをテーマとした...続きを読む書簡を送りつづけた。これは、その16通もの書簡を収めた内容の本である。 巻末の訳者解説「ガンディー思想の源流を訪ねて」には、幼少期からイギリス留学時代、そしていかにして非暴力の道を模索していったのか?後年、ガンディーの重要な政治上の信念の一つとなった 原点など、興味深いエピソードが散りばめられている。評伝としても読めると思う。 手紙の1つ「不盗」には、こんな箇所がある。 「たとい所有者の承諾があったとしても、ほんとうにそれが必要でなければ、他人からなにかを受け取るのは盗みです。」 私のような凡人には、到底理解できないねぇ(笑)人からタダで上げるよって言われれば、戴きますって、貰っちゃうもの!これって窃盗だってさ~(@_@;)トホホ そんな訳で深く考えさせられる読後感。
■評価 ★★★✬☆ ■感想 ◯偉人の言葉過ぎて親近感がわかないとうのが第一印象。だからガンジーの背景を知った方がいい。 ◯私 はいいタイミングでコテンラジオにて、ガンジーの人となりを知ることができ、サッティーアグラハに至った経緯を追うことで、理解が深まったと感じている。 ◯歴史上の偉人という遠...続きを読むくで別物と考えるのではなく、同じ生身の人間が、ここまでの思想に至ったことに考えさせられる。
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