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これは新たな「文化大革命」か。「反腐敗」で政敵を次々に摘発、放逐、中華帝国再興の野望を追いながら、暗殺の恐怖に脅え、側近は「友達」で固める……。 中国最高指導者の知られざる実像と、共産党内部の暗闘に、ボーン・上田賞記者が緻密な取材で鋭く迫る本格ルポ。激動の中国情勢を理解するために必読の一冊!
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Posted by ブクログ
文化大革命の反省から権力が一人に集中しないように鄧小平時代に作り上げられた中国の集団指導体制は習近平に寄って崩されようとしている。江沢民も胡錦濤も総書記になってから実際の権力を掌握するまでには前任者の影響をなかなか排除できず時間がかかったが、習近平は僅か2年ほどで反腐敗活動の名の下に政敵を次々葬り去...続きを読むっていく。一般大衆は習近平を崇拝し権力基盤には隙がないように見える。しかし、反習派に命を狙われると感じるほど不安定な時期もあったらしい。 2015年の全人代、習にお茶を汲む女性スタッフの動きは黒服に監視されていた。開幕前に習は北京の公安局長と中央警衛局長を交代した。前任者の人事を取り仕切ったのが先に摘発された令計画であり、薄熙来、周永康、徐才厚と組み習政権誕生を阻止しようとしたと言われている。反腐敗運動という権力闘争は一歩間違えると習も返り討ちにあいかねない。 前総書記の胡錦濤は影が薄くむしろ習がターゲットにするのは江沢民の影響排除だった。江蘇省の鎮江と言えば一時期爆発するスイカで有名になった街だが、江沢民の故郷の揚州の対岸にあり、江を鎮めるという名前と相まってこれまで江を怖れる過去の要人は鎮江には近づかなかった。橋の名前一つとってもわざわざ旧名を持ち出して潤揚大橋と名付けられている。橋の北側には江の揮毫した看板がかけられ江が満足したのは間違いない。しかし習はいきなり鎮江を訪問し、新しくかけられた橋は習に恭順する鎮江市の要請で鎮江大橋と改名が決まった。 2014年夏、周永康、徐才厚を次々に摘発した習は反腐敗との戦いつまり江派との戦いが膠着状態にあると見ていた。北戴河会議を乗り切った習は南京に江を訪ね気を遣ってもいる。「医療機器の国産化急ぎ、民族ブランドが光を放つようにしたい」ここで訪問したのが江の息子で中国汚職の王とも呼ばれる江綿恒が実質支配する会社だ。つまり江一族の利権は保証している。 2007年江沢民は共青団の李克強だけはトップにつけたくなかった。そこで習に目をつけたのが手下の曽慶紅であり、二人は習のことを「血筋と性格は良いが、何もしないぼやっとした人物」と見ていた。しかし福建省時代の習は猫をかぶっていたのだ。江沢民も胡錦濤も就任1年は前任者の院政を受け入れ安全運転に徹した。胡錦濤に至っては自らの引退まで江沢民の影響を排除できていない。習は1年目から幹部を次々に摘発し、李克強からも経済政策を奪い集団指導体制から権力の一極集中へと強引に舵を切った。なぜか?習は前任者からの指名を受けたわけではない。金正恩のように世襲でもない。元々権力基盤が弱いのだ。習が頼ったのは幼馴染だ。 盟友の反腐敗の司令塔王岐山は習が下放された際には5歳年上で頼れる先輩だった、読書家の王は陜西省の洞窟式住居に習を迎え当時貴重だった本も貸している。10代からの知り合いは裏切らないそれが王との関係だ。2015年7月上海市場が暴落した際に空売り規制を主導したのは公安省次官の猛慶豊、経済犯罪が専門の浙江省時代の習の懐刀だ。周永康が仕切っていた公安省を自分の部下で次々固めて行く。経済政策のブレーンは101中学で1年先輩の劉鶴、そして政権運営を担うのが栗戦書、実務能力は不確かで江沢民の曽慶紅や胡錦濤の令計画のような切れ者ではない。習は昔からの知り合いしか信用出来ない危険な状況に置かれている。 2012年夏の北戴河会議は次期指導部を決める重要な会議だった。チャイナ・ナインはセブンとなり、内習と王を含めて5人が江沢民に近く江が胡錦濤に圧勝したとみられた。この流れを決めたのが令計画の息子の事故死でフェラーリにはほぼ裸に近いチベット族の女性が乗っていた。令は胡には報告せず周永康にたより事件をもみ消した。習ではなく李克強をトップにつけようと画策したのが令でだったが事故の件を知らない胡は江沢民に隠蔽を聴かれても答えられず押し込まれた。事故の翌日には中南海に銃声が響いたが真相は機密扱いだ。この二つの事故をきっかけに薄、周、令、徐の新4人組は次々に失脚し習は自分を引き上げた曽慶紅と江沢民すら抑えにかかっている。 毛沢東以来の個人崇拝の対象となりつつある習近平だが、言論統制はより厳しくなっている。7つの禁句「普遍的な価値観、報道の自由、公民社会、公民権利、共産党の歴史的誤り、特権資産階級そして司法の独立」左右のイデオロギー対立が激しい党内をまとめるに危うい言論を規制する方向に走った結果だ。2017年の党大会でこれまでの規定を守れば盟友の王岐山は引退し、反腐敗運動は緩むことになる。次の戦いは習と李以外の常務委員に誰がなるかだ。
苛烈な院政の封じ込め、反腐敗で政敵を次々に摘発…地方政府の目立たなかった男は、如何にして大国の権力を掌握し、独裁体制を築きあげたのか。 習近平と簿熙来、 権力闘争に敗れた者は、悪事を捏造され、歴史から抹殺される。 暗殺に怯える習近平、 2005年、海南島の巨大観音像、江沢民が揮毫、護国祐民 ...続きを読むフェラーリ事件、令計画、ダイアナ妃の事故と同じだと考えれば良い店
安倍首相は、日中関係が悪い方が政権運営に有利、と見ている。安倍首相が狙う憲法改正を阻止できるのは米国だけだが、日中の激しい対立の下で米国はもう改憲を止めにくい。米国も、日本を含むアジア・太平洋国家に中国の台頭を抑える役割を期待している。
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習近平の権力闘争
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中澤克二
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