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Posted by ブクログ
独特の奇妙な味わいで、ミステリー界に孤高のポジションを築く作家、蒼井上鷹(築いているのか?)。文庫で届けられた新刊は、どこかで見たような装丁。この方もとうとう、そういう路線に手を出したのかと思って読み始めると…。
いやあ、やっぱり蒼井上鷹は蒼井上鷹でした。『動物喫茶店ブレーメンの事件簿』と題されているが、カバーイラストのような美人の探偵役がいるかといえば…そもそも探偵役がいない。ブレーメンという店の存在も薄い。背景の一部というか、何というか…。
最初の「犬が電話をかけてきた」だけは、事件簿っぽい内容である。事件の内容はちっとも笑えないし、犯人の思考回路に色々突っ込みたくなるが、それでも無理矢理伏線を回収している辺りは、この方らしい味わいと言っておきましょう。
「この猫の名前はいくつある?」。どいつもこいつも、怪しい話に引っかかるかよと呆れてくるが、現実にこの手の詐欺は枚挙に暇がない。「宗像さんの福の神」。骨董の世界は魑魅魍魎が跋扈する。素人が欲を出したばかりに、無駄に混乱したという話…か?
「ノラが家出するわけがない」。こういうネタは、誰に書かせても受け付けない。蒼井上鷹の手腕をもってしてもだめでした、はい。「幕を引くには早すぎる」。何でそんなイベントやるんだとか、こんなにこじれる前にどうにかならかったのかとか、いくらでも突っ込めるが、早合点のようで早合点ではなかったってか。何だそりゃ…。
「猫は秘密を嗅ぎつける」。あるカップルが誤解に誤解を重ね…とだけ書いておくか。最後らしい大団円があるわけでもなく、今回も微妙な読後感が残ったのだった。
そもそも、普通にミステリーを楽しみたい読者にはお薦めしにくい蒼井作品だが、本作に至っては、街の日常を描いているような乗りで、もはや何が論点か、誰が主人公かすら曖昧である。短編なのにやたら込み入っているのは相変わらずだし。
それでも蒼井上鷹に興味を持ったというあなたには、『4ページスミテリー』辺りをお薦めしましょう。蒼井さんにはある種の才能があると、僕は確信しているが、その才能が広く理解される日は、おそらく来ないだろうなあ。
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小説・文芸
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