Posted by ブクログ
2018年06月16日
700ページの本は、久しぶりだ。しかし、一気に読めた。
ナンニチカカカッテイルケド
「数学的思考」、「統計的思考」という授業を作ろうとしていて、どんな授業にするのがいいか、学生達にとって面白く、為になる、そういう授業を考案するのに役立つのじゃないかと思って読んだ本だ。
たとえば、戦闘機に付いた砲...続きを読む弾の跡を統計処理し、もっとも弾痕が多かった先端部を保護するという判断。間違いじゃないが、もっとも有効ではない。もっとも有効だと判断されたのは、もっとも弾痕が少なかった部位だ。
...冒頭を飾るこの逸話は、データ収集範囲を意識することの重要性を物語っている。
グラフの一部を切り取る危険については、砲弾の飛行軌跡が時間を短くすると直線に近づくという話が出てくる。これは、データ収集範囲の外側を推測するのは注意が必要だよという逸話だ。
新聞だか雑誌だかに連載された記事をまとめた本だけあって、「データを正しく見る」ための物語が、数学者の活躍をちりばめた魅力的なストーリーとして語られたり、歴史的な事件と共に語られたりする。
読者を引き込む術を、著者は持ち合わせているようだ。
それにしても、700ページである。
興味や知識をある程度持っている人向けの本だと思う。
けれど、1つ、2つのストーリーを読んでみるのなら、ちょっとだけ興味が湧いた人にもお勧めできる。