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小泉政権は、なぜ国民に支持され続けたのか。政治を「感情化」「人間化」「単純化」して大衆に訴えてきたポピュリストとしての戦略と手法を、政治学者の眼から評価・分析する。
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Posted by ブクログ
小泉純一郎を「ポピュリズム」の政治家と位置づけたうえで、道路公団民営化、郵政民営化、9.11およびイラク戦争への対応、対北朝鮮外交の4つの事例を取り上げて、小泉のリーダーシップの新しいあり方を分析している。 本書を読んで印象に残ったことは、主に三点ある。第一にポピュリズム政治の意味である。本書で...続きを読むは、ポピュリズムというのを「大衆迎合政治」という意味ではなく、善悪二元論のもとに、「プロフェッショナル」な政治家・官僚に対峙する「素人」であり「普通の人」の人であることを強調する政治家による政治と意味で用いている。「素人」だからこそ大胆な政治運営ができるともいえるが、「素人」=善、官僚をはじめとする「プロフェッショナル」=悪という単純な図式には疑問を感じる。 第二に、小泉政治において、「ハード・イシュー」の「イージー・イシュー」への転換がさかんにみられることである。道路公団民営化では、「ハード・イシュー」である上下一体かいなかというような民営化のあり方についての根本的な問題はあまり争点化せず、天下りや高速道路の値下げなどの「イージー・イシュー」が強調された。郵政民営化においても、従来、国民の関心の低かった「ハード・イシュー」である郵政民営化の問題を、改革の 本丸であるとして「イージー・イシュー」に転換することで、国民の支持を集めることに成功した。確かに、情報過多の現代にあって、国民が関心をもつのはわかりやすい「イージー・イシュー」であるが、「ハード・イシュー」を避け、「イージー・イシュー」一辺倒の政治となるのは好ましくないのではなかろうか。 第三に、小泉が強大な権力を行使できた要因として、本書は、小選挙区制や官邸機能の強化などの制度面よりも、小泉やそのブレーン達の「パーソナリティ」の面を重視している点である。私もその見方に同感である。その後の安倍、福田、麻生と続く内閣の流れを見ても、やはり政治において「パーソナリティ」というものは大きな影響をもつのではないかと考える。しかし、「パーソナリティ」に依存した政治はいかにも危ういとも思う。
ポピュリズムの特徴である、善悪二元論、劇場型の勧善懲悪のドラマに関して、学術的な見地からの意見をまとめている。 論文をまとめたという形で、文章そのものはやや固い。
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