Posted by ブクログ
2017年08月24日
少年怪奇シリーズと銘打たれあすかにて不定期連載されていたシリーズが新装版で刊行されました。
なるしまゆりさんの魅力がこれでもかと凝縮された非常に贅沢な短編集です。
なるしまゆりさんは黄昏を描くのが上手い人だと思う。
非日常と隣接した日常、非日常に侵蝕され行く日常の描写がそこはかとなく不気味に、また哀...続きを読む切に表現されて胸に迫る。短編の主人公はいずれも多感な思春期の少年少女、彼らの心理描写もまた過不足ないモノローグで的確に表現される。
一番好きなのは「怪談六話」。
幼馴染でいとこ同士の少年と少女。
屋上から転落し意識不明となった少女との約束を果たすため、少年は戦場跡の公園に駆けつけるのだが……
凄いいい。凄い青春。これはもうなるしまゆりさんにしか表現できない世界観。
彼ら彼女らが大切な友達を守るため、大切な何かを守るため精一杯足掻き抜く姿は切なくて優しくて痛くて愛しくて胸がいっぱいになる。
面白い短編集をおさがしの方におすすめです。