Posted by ブクログ
2018年07月20日
単行本で読んだのだけど、文庫版あとがきが読みたくて購入したら、まあ、そのあとがきがすごく良かった!(もちろん、はいりさんの映画愛あふれる本篇がすばらしいのは言うまでもない。)あとがきでは、本の出版後、思いがけないご縁がつながって、映画ファンとして最高の夢が現実となった顛末が綴られている。
「映画館...続きを読むで観たい映画を好き放題かけられる立場に立つには、興業会社に就職するべきか、映画会社にするべきか、真剣に悩んでいたあの頃。あの頃のわたし、やったよ!わたしはあの頃の夢のすべてを手に入れた!」
そう、はいりさんは近所の名画座で「はいりさんセレクション」を上映できるようになったのだ。実にこれは映画ファンの夢だろう。おまけに、時折はやはりもぎりもしているそうだ。単行本を読んだときも思ったが、ふと入った映画館のもぎり嬢が片桐はいりだった!というオドロキを経験した人がうらやましい。
あとがきの終わりの方にこんなくだりもあって、ちょっと切なくもあり、でも、はいりさんらしくすがすがしい思いがした。
「ふた親を送ってからは、身寄りのない人間が行き場にまどう年末年始も映画館で過ごしている。ある年は、キネカの仲間と年越し蕎麦を食べ、お正月は蒲田にお年玉をいただきに行った。こうなるともう、映画館がわたしの実家、と言えなくもない」