Posted by ブクログ
2014年08月03日
沢木耕太郎『凍』を読んだ後、
山野井泰史氏のことをもっと知りたくなり、本書を読んだ。
『凍』がギャチュンカン登攀をメインに据えて
そこに至るまでの過程として山野井氏の人となり・経歴に触れているのに対して、
本書は時系列としてギャチュンカンに至る前の97年〜98年にかけて
書かれた本なので、当然なが...続きを読むら山野井氏にとって
大きな意味を持つギャチュンカンについては本書には書かれていない。
そのため、ソロのアルパインスタイルで輝かしい登攀を行ってきた
山野井氏の生い立ちからキャリアのピークに近い部分までを
本人・関係者への取材を通して詳細に描いた
ノンフィクションという位置づけになる。
両方読んだ感想としては、物語としては『凍』の方が良いが
山野井氏の人となり・考え方・経歴を詳しく知りたいのであれば
本書がいいのではないかと思う。
ただ、かなり癖のあるノンフィクションライターのようで、
相当詳しく取材している分、自己主張・自意識が強く
山野井氏の行動・あり方に対して自分がどう思ったかが
ストレートに書いてあるのは人を選ぶと思う。
登攀失敗時を描いた文章には、
ぶざま・醜態・負け犬などという言葉が並ぶし
何もこんなこと言わなくても(書かなくても)という箇所が
いくつもある。
ただ、山野井氏に対してある部分確かに尊敬し、すごいと思っている
とも感じられるので、個人的には許容できる範囲だった。