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DV防止法、子どもの虐待防止法、セクハラに関する規定など、近年、当事者側の声から生まれた法律等がある一方、民法、刑法、売防法など、長年変わらないものもある。離婚、親権、賃金差別、性暴力…40年以上弁護士として様々なケースに携わり、新法の制定にも尽力した著者が、性を巡る法の問題点を明らかにする。
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Posted by ブクログ
新聞書評欄で、最近紹介されていたのを読んでこの本を手にした。 10年前に出された本だが、現在でも非常に勉強になる内容だった。 性をめぐる法律と、その解釈が、性被害を受けた女性たちの闘いによって、より良いものへと変えられてきたこと、現時点でさらに何が問題なのか、ということが具体的に理解できた。著者自身...続きを読むが弁護士としてその闘いに身を置いて頑張ってこられた、その経験をもとに書かれているために、とても説得力があった。 セクシャル・ハラスメント、売買春について、本質的に何が問題なのか、ということが理解できた。 「性的人格権」という概念は、これらの問題を考える上でキーワードになると思う。
本書では、性に関わる法律を扱っている。 民法という、我々にとって一番身近な法律から、DV防止法、刑法、売春防止法、風営法など「自分には関係ない」と思っている人が多い法律まで様々なものを取り上げる。 法律、というと小難しくてよくわからないと思う読者も多いかもしれないが、本書はとてもわかりやすい。 コラ...続きを読むムとして各法律の条文が挙げられている点や、身近な事件、判例が挙げられている点が良い。 著者自身が弁護士として実務に携わっているし、法科大学院で教え、しかもなんと法律を専門に学んでこなかったというのだから、すばらしい。 さて、わが国では政治に女性が関わることが少なく、なかなか女性側の視点に立った法律が制定されない。 度々国際機関から勧告を受けているのにも関わらず、遅々として(というか全くと言っていいほど)進まない。 今秋、夫婦選択的別姓の裁判の最高裁判決が出る予定だが、果たしてどう出るか。 司法の判断を待ちたい。 とは言っても、仮に違憲である旨の判決が出たとしても、三権分立だからといって、恐らくいまの政権は改正に踏み切ることはしないだろうが。 現政権は女性の活用ということを声高に叫んでいるが、全くもって不十分だ。 本書に書かれているように、養育費の支払いを逃れる方法、性産業従事者が減らない理由、強姦罪の構成要件、その他もろもろの解決に向けて我らの代表は必死になっているのか? 女性優遇、ではない。 ポジティブアクションに向けて彼らは何をしているのか? 一方で女性の側にも様々な考えがあり、その考えが彼女達自身を縛っているとも言える。 その代表的なものが、性暴力や売春だ。 肌の露出が多かったから、性に奔放だったから、被害にあっても仕方ない、という考えがまだあるように思う。 著者はそれを問題のすり替えとし、事実を隠し社会が負うべき責任を放棄していると言い切っている。 本書で書かれている問題は男女双方の問題だ。 社会で生活している以上、不都合が生じ、それをなくすために法律はある。 そして、それはどちらか一方の考え方だけでは「正義」とはなりえない。 時代は変わる。 社会は変わる。 性の問題を通して、「人間が人間であることを喜べる社会」(132頁)の実現を望み、私自身も尽力したい。
女性弁護士でもある著者が、性をめぐる法の問題点を指摘する。DV防止法、売春防止法、男女雇用機会均等法など、具体的な法をトピックスとして、そこに潜む課題を浮き彫りにしている。ただ感情的に意見を述べるのではなく、弁護士らしく論理的に展開されることから、男性が読んでも腑に落ちるところが多々あった。 色々な...続きを読む法律を取り上げる中で、著者が最も主張したいのは「男性が作った法律と現代社会とのズレ」であり、その結果「女性たちの声が抑圧されてきた過去と現実」に尽きるだろう。子どもを産んでも働き続けることができないという女性だけの不利益や、性暴力の被害に対して親告罪が適用されるという現実、売春を行う女性の多くは経済的理由によるといった事実など、多くの人が“男女平等”を口にする現代においても、女性に過度な負担を強いる社会環境であることは否めない。それは法整備が追いついておらず、行政としての取組みも遅れているからである。男性も女性も“男女不平等”の認識を持ちながらも直視していないだけであろう。本書でも触れられている、密室で売春が繰り広げられているという暗黙の了解と通ずるところがある。 著者のような女性が声を上げていくことで、少しずつであろうが社会は変容すると思う。しかし、そのような社会の到来はスティグマに晒された多くの女性たちの上に成り立つのだろうと感じた。
直近のDV防止法やストーカー規制法の改正内容が網羅されてあり、著者の信条であるラディカル・フェミニズムの立場を割り引いて読めば、とても参考になる本である。
古い本で、あまり目新しい点はなかった。 同じ法律でも弁護士の気分次第で対応が変わるという恐ろしい現実がよくわかった。裁判官の公平性は何としても守らなければならない。 阪神大震災で家の下敷きとなったのは女が多かったが、これは男女差別の結果らしい。ホントかな〜?
女性の立場が、改善した歴史が浅いことが良くわかる。 司法も、男性目線だった歴史が長い。 各方面への、女性進出が必用不可欠。
ちょっとむずかしいテーマで ちょっと読むのにほねのおれる新書でしたが、 あらためて日本の女性の立場をかんがえました。
全体的にポジティブな見方。 素朴に女性が被差別者であることを再認識してしまう。 女性は権利をどれだけ獲得しても、弱者であることに変わりないのだろう。性的男性性もまた変えることは難しいのかも…。
結婚、離婚と子どもについて書かれた第1章では、離婚したあと養育費の支払いを現在も受けている母親の割合は19.7%であり、平均月額は43482円ことが示されている。スウェーデンやドイツは養育費の不払いが生じた場合、国が立て替え、その分を相手から徴収する仕組みがあるが日本は社会的なお咎めも、給料の差し押...続きを読むさえなどの強制執行ができない。 性暴力について書かれた第4章では、1990年代後半ごろまでは、強姦剤に関して被害者女性の貞操観念が強かったのかどうかが審理の対象になっていたと綴られている。 これはジェンダーで法教育授業が作れるなあ。
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角田由紀子
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