無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで203万冊以上配信中!
大イビキをかく愛犬チョビ、モンチャンというあだ名の奥さん……定年後やることがないと思っていた日々は思いのほか楽しい。「ヌカ味噌くさい女房のくせにヌカ味噌はへただね」と憎まれ口を叩きながらも、その生活からは小さな幸福が零れ落ちてくる。洒落たユーモアの中に昭和の記憶が香り立つ名エッセイ。「こんなふうに“声”のある文章を書けるひとが、いまどのくらいいるのだろう」と江國香織さんが賛辞を惜しまない、隠れた名エッセイスト、初の文庫化!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
著者の早川良一郎氏は、60歳まで経団連事務局に籍を置いた、ある意味では平凡なサラリーマンだったらしい。趣味で書いていたエッセイを試しに応募したら高い評価を得て世に出ることになった。そういう背景があってか、テーマも文章も気取らず清々しい。自分のこと、オクさんのこと(本の中で、著者は奥さんのことを「オクさん」と呼び記述している)、愛犬チョビ、仲のよい友人も通りすがりの見知らぬ人も、隔てなく自然体で接し、ある意味自由に生きている。しかしその生き方にも、ある種の品格や自我のようなものが感じられてそれもなかなか素敵だ。
早川氏が定年で「散歩が仕事」になったのは1979年のこと。今から35年も昔のはなしであり、ご本人も91年に鬼籍に入られているわけだが、文章は今読んでも生き生きと臨場感に溢れている。解説に「声のある文章」との評があった。なるほど言い得て妙と感じた。話の中で、住まいが板橋区ときわ台近くだったということを知り得る箇所があり個人的にも親近感を持てた。
Posted by ブクログ
大正生まれの筆者の、定年退職後のエッセイ集。戦前から戦後まで、東京の情景を軽やかな足取りで振り返っていく。戦時中のエピソードもさらりと織り込まれ、当時の風俗や感覚が、自然と身に染み込んでくるのが不思議だ。
当時の人の当たり前の感覚としての、下ネタ的要素が若干受け付けなかったものの、全体的にすごくお洒落な文体だったのが印象的。江國香織先生の解説も、じわっと胸に広がるものがあった。
筆者の早川氏は、他界した祖父祖母より少し上の世代。じいちゃんばあちゃんが若い頃はこんな世俗だったのかなあ、と想像がふくらんだ。
……長らく積読にしていて、なんで購入したのかもさっぱり忘れてしまっていた一冊なのだが、奥付の年をみてピンときた。20代の、めちゃめちゃ社畜してた頃だ、2014年は。疲弊しきって癒やしを求めて衝動買いしたんだろうなあ……。その時分にすぐに読んでいれば良かったのに、と振り返り思うのだった。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。