Posted by ブクログ
2019年02月26日
(10)を突破し、ヒロイン・みふゆとの間に勃発した、最大の争いも、仲間の協力と二郎自身の努力で突破し、ついに、クライマックスへ向かい始めた
今更感もあるが、本当に、凄い食系漫画だよな、と(11)を読んで実感できた
『人魚姫のごめんねごはん』や『紺田照の合法レシピ』、『桐谷さん、ちょっそれ食うんすか!...続きを読む?』も、十分、ぶっ飛んだ食系漫画だ
ただ、これらの作品はキャラの個性が強烈だったり、食べる食材が変わっているからこそ、読み手の印象に強く残る作品だ
一方で、この『目玉焼きの黄身、いつつぶす?』は、キャラが立っていない訳じゃないにしろ、扱っている料理は、ごくごく一般的で、身近なものばかり
そんなありふれた料理一つ取っても、食べ方は人それぞれであり、この食の流儀が時には、争いの種になりうる、そんな当たり前の事が描かれている
この『目玉焼きの黄身、いつつぶす?』を(1)から読んでいない人からしたら、そんなテーマで面白いのか、と疑問に思うだろう
正直なトコ、私は特に、この作品に対し、笑えるって意味での面白さは求めちゃいない。私が読み続ける理由、それは、ストーリーが何気に深い、そこに敬意を抱いているからに他ならない
一概には断言できないが、読み手が読んでいて、キャラたちの言動に共感し、自身の食生活を省みて、変えようと心がけるキッカケになる、その点で言ったら、食系漫画では、この作品がナンバー1なんじゃないだろうか
食べ方には、その者が、これまで、どう生きていたか、が如実に出てしまう。だからこそ、争いも起こるし、逆に仲良くなる事も出来るんだな
次巻が、もしかすると、最終巻かもしれない。一体、この異色な食漫画が、どんなオチで、読み手の度肝を抜きに来るか、楽しみにしている
どの回も強烈で、色々と考えさせられたが、個人的に、目立っている、と感じたのは、第63話「月見そばの生卵、いつつぶす?」だった
原点である卵に改めて、スポットライトを当てている点も理由だが、何より、この作品のキーパーソンであり、二郎の恩人である近藤さんが、何故、しょうもない二郎を見捨てず、ここまで親身になって、彼の悩みに付き合ってやるのか、が明らかになっている
その理由は、かなり強烈だった。良い意味で、この作品らしくないものだった
ほんと、二郎は人の縁に恵まれている男である
この台詞を引用に選んだのは、定番だからこそ、そう簡単にはブレない説得力があるな、と唸ってしまったので
きっと、今、みふゆのように、好きな人との結婚に悩んでいる女性の読み手の心には、かなり響いたに違いない
好きな人が、自分の好きなものを好きになってくれる、それは嬉しい事
また、好きになって貰うための努力もまた、楽しいものである
そうやって、共有できる「好き」が積み重なっていく事で、相手だけじゃなく、自分の知らない一面も視えてくる
そこも受け入れられるか、で変わっていくんだろうな、結婚生活ってのは
「つまり、彼氏は、みふゆの好物をおいしくて、全部、食べちゃったんでしょ?自分が好きなものを、好きになってくれたってことじゃない。それって、嬉しくない?しかも、お世辞なんかじゃなく、我を忘れる程・・・私だったら、嬉しいな」(by春花さん)