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歴史小説は“史実”か“虚構”か、という対比には意味がない。
作家も歴史家も、自分の生きている時代のなかで、ある時代を切り取り、対象として書く。
歴史を描くうえで、両者の差はない。
史実が書かれているかどうかではなく、記述の“作法”に意味がある。
本書では、「国民作家」司馬遼太郎作品のなかでもとくに人気の高い『竜馬がゆく』と『坂の上の雲』を、作品全体を通してたんねんに読み込んでいく。
2作品で司馬が書いた、あるいは書かなかった幕末・明治を、小説の対象となった時代・小説が書かれた時代・そしてわれわれが読んでいる今現在=「三つの時間軸」で読む、はじめての試みである。
読み手が“いま”を背景に、作品をどう読むかも問われるのだ。
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