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第17回文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞受賞作「夏休みの町」を収録した、新しくて懐かしい魅惑の作家、町田洋の初期作品集! 眠れない建築士と建物の声を聴く男。丘の上の戦闘機とありふれた夏休み。君に会えない僕と屋上で見上げた空。夜とコンクリート。平坦な日常にある、もう一つの地平に見たことのない景色がある。町田洋の静かな世界がここに!
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Posted by ブクログ
眠れない夜、本棚に眠っていたこの本を十年ぶりに読んだ。眠れない建築士と建物の声を聴く男、丘の上の戦闘機とありふれた夏休み、君に会えない僕と屋上で見上げた空、夜とコンクリート。懐かしくて新しくて、今もなお不思議な気持ちにさせてくれる物語たちだった。
町田洋の初期短編集。細い線からクールな詩情がさらりと流れ出す。淡々として静かなのにものすごいダイナミズムを感じる。傑作。
日常の中に訪れた、小さな、不思議な出来事を描いた短編SFマンガ集。少し昔に読んで、あまりハマらず本棚に寝かしていて、なんの気無しに手に取ったら目から鱗の良いマンガだった。 異質なものに対峙しているのに、どこか懐かしくて、ひりひりする。 最小限の絵と言葉で描かれているけれど、余白にいろんな想いや景色...続きを読むが見えてきて読み応えばっちり。 特に「夜とコンクリート」が胸にしみたなぁ。建物も眠ると思ったら、主人公と同じように気持ちがふわっと楽になってしまった。
何年か前に試し読みを読んでいた。 本屋でたまたま、平置きされていて、残り一冊で、気付けばそのままレジに持っていっていた。出会うというのはこういう感じだなと久々に思い出した。 いい話、とか悪い話、みたいな、ひとくくりにできない物語が四つ、夜に浮かんでいた。いつか経験したことがあるようなないような。不思...続きを読む議な気持ちにさせる本だった。空白が愛おしい。 好きなひとにおすすめするのなら、これがいいなと思うまんがだった。
無駄な余白をコマにする。 空白の作り方。 交差する二つのこと。 実はアレとアレが同じだったのか、感。 リアリティというよりもシズル感。
町田洋 まず今まで知らなかった事を恥じた これはちょっと凄い ネームの切り方、構成、セリフ運び、空間の切り取り方、演出、ストーリー、オリジナリティ、センス、あらゆる面で抜きん出てる 作品というか作家としての完成度が非常に高い どんなルートを辿ったらこんなもの産めるんだ いっそ脅威的ですらある ...続きを読む 多分何度も読み返すし手放さない作品リストにリスインすると思う そんでやっぱ寡作なんだね 生まれてくれてありがとう
町田洋の初期作品を集めた短編集。眠っている町を題材にした「夜とコンクリート」を読んだりパスで書いたようなカクカクの線を見て思ったのだけど、もしかして建築出身? 最低限の線と表現で彩られているのに情景がありありと浮かぶ魅力的な絵と、sf的・幻想的であるがどこか懐かしく切ない世界観がとても心にしみた。...続きを読む ひとつひとつの漫画の「落ち」こそありふれたメッセージであるが、それだけで終わらない魅力がこの漫画にはある。 余談だが初読が紙媒体でほんとうによかったと思った。
SF短編集を読んだような読後感。どの作品も作品の中で音楽が流れていると言うよりは、その作品に相応しい「音」「効果音」が流れている感じがする。 第1話『夜とコンクリート』→眠れない建築士の友人が他人と酔い潰れている場面に遭遇、仕方なく家に連れて来なくてはならない事になる。この建築士は自分が眠れない事に...続きを読む対しての苛立ちを持っているからか、毎度限度を知らず酔い潰れる友人に呆れているからか、他社に対する優しさを出せない人間。見ず知らずで飲み始めて酔い潰れタクシーに乗車拒否された友人を建築士の元まで連れて来た青年に礼の一つも言わない。友人が「他人同士」で飲み始めたと言う青年に対して不信感・邪魔扱いしてるようにさえ見える。これは建築士が「しょうがない奴」と思いながら友人との縁は切れないと思っているからか、それに因って飲み屋で見知らぬ人と飲んでしまう友人のコミュ能力の高さに嫉妬しているのか、それがある種の同性愛的な感情でもあるのか、と言う具合に何通りも深読みできるほどに余計な説明が一切ない。建築士は友人と一緒に泥酔してしまった青年が目を覚まし、少し話をする。青年は信じて貰えないかもしれないが「建物が喋っている事が解る」と言う。明確に声を発してるわけではないが、何かつぶやいているのが聴こえると言う。そして、建物たちも眠りに着く。自分の設計した建物たちも喋っているのだろうか、と思いを馳せた時、建築士は眠る事が出来た、と言う話だ。全部言っちゃったらネタばれるだろう、とか心配せずとも、読んでこの作品の空気感を味わえれば良いので、是非読んで欲しい。 2作目『夏休みの町』→ちょっと不思議なSF物語、と言う感じが好きな人にはたまらない作品。66年前、第二次世界大戦中、爆撃機に乗っていた友人を連れ戻したい、と言う不可思議な老人と出会い、老人の手伝いをすることになるソウ他、友人二人の(男女)物語…であるが、読めば分かるオチが凄い。しかも、主人公の大学生ソウと、男子の友人と女子の友人との距離感がBL好きを唸らせるものがある。 第3話『青いサイダー』→子供の頃の孤独感のお話。 第4話『発泡酒』→4作品中、一番短く一番BL臭い。安易に「BL臭い」としか表現できないが、性愛を含むBLの生々しさへ行く前の、これは何と言う感情だろうか、と言う「曖昧さ」が見事に紙面上に表現されている。 雰囲気BLでもなく、少女漫画でもない、もう、独特の空気感と音が聴こえてくる。BGMが流れてくる感じではなくて、空気が鳴る音みたいな、そう言う音が流れていると言うか、聴こえてくる。凄い作品だよ、これは。はっきり、BLではないと思うんだが、BLを好き好んで読んでいる人間の琴線にそっと触れてくる傑作。ずっと手元に置いておきたくなる、幼い頃に読んだ絵本の様な…日常に潜むSF短編とか好きな人は読んで欲しいわー。本の装丁、手触りもこの作品らしくて、なんか大切に取って置きたくなる。音楽CDのライナーノーツにアルバムの世界観をまとめて寄稿されたコミックス、って感じがするんだよなぁ。作中には「音楽」ではなく「音」が流れているのだが。不思議な作品だよ。
夜のちょっと静かなときに、ふと読みたくなる。 4つの作品からなる今作は、文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞受賞作の「夏休みの町」も収録されている。 どの作品も端正に"日常"が描かれているがどこかが違う。 その違和感を町田洋という人は不思議な要素を組み合わせて描いている。心理描...続きを読む写が少なく、登場人物の何気ない会話と共に日常が進んでいく。終盤につれ、ハッとさせられる。 町田洋さんの作品の最後の"言葉"にはいつもグサッとくる。この感覚、感性に触れていたいと思う。
表題作、ムーンライダーズの「夢が見れる機械が欲しい」を思い出すような手触り。夜の空気の硬さと温度が伝わってくる。他の二編では星新一を読んだときの感覚が蘇ってきた。
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