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「生成AIは知的アウトプットの供給を飛躍的に増大させる。
供給が増えれば競争は激しくなる。いよいよ競争戦略の重みは増す。
スキルがコモディティ化する中、『それでも残る競争優位』は何か。
その答えがここにある。」
――経営学者・楠木建氏、推薦!
【本書の内容】
AIは競争のルールを変える。
AIを使うだけの会社と、AI時代に勝つ会社は違う。
勝敗を左右するのは、「優位な構造」とそれを守る「5つの武器(モート)」だ。
本書は、AIが「何を変えたのか」を分析。
AIに侵食されないための競争優位の考え方を解説する。
ソフトウェア業界のみならず、製造、小売、金融、医療ほか、あらゆる業界に波及する!
「AIは変わる。モデルは入れ替わる。機能は陳腐化する。
しかし、時間をかけて築かれた構造は、簡単には消えない。
競合が明日、同じAIを導入してもなお、自社が勝ち続けられる構造的な資産を、今日一つでも厚くできるか。
この問いを持ち続ける企業が、AI時代に残る会社である」
――本文より
【5つのモートとは?】
(1)マスターデータ 公式に正しい情報としての「マスターデータを握っている」こと
(2)ワークフロー 単一の機能ではなく、「業務全体の流れに入り込んでいる」こと
(3)ディストリビューション 顧客関係や販売経路を持ち、「顧客の前に最初からいる」こと
(4)エコシステム 「他社が自社の上で儲かる仕組みを作っている」こと
(5)スケール 単なる安さではなく、「規模が構造としての強さに転換されている」こと
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Posted by ブクログ
本書は「AIの使い方」の本ではない。
AIを業務にどう組み込むか、どのツールを導入すべきか。そうした実務的なガイドは、すでに多数出版されている。
本書が扱うのは、その一段上のレイヤー、AIが前提となった世界で、企業はどこに防壁を築くべきかという経営戦略である。
ウォーレン・バフェットは、これを「経済的なモート(堀)」を高く評価した。
城の周りに巡らされた深い堀が敵の侵入を防ぐように、優れた企業は競合他社の追随を許さない独自の防壁を持っている。
本書では、この競争上の構造的な防壁を「モート」と呼ぶ。本書のタイトルの「5つの武器」とは、このモートを指す。
モートはもともと守りの概念である。本書があえて武器と呼ぶのは、AI時代には守りの構造こそが攻めの起点になるからだ。
AIという強力な道具が誰にでも行きわたっても、モートが埋まらない限り、城の価値は保たれる。
競合が同じAIを導入しても崩せない構造を持つ企業は、モートを強固にできているからである。
あなたの会社のモートは何だろうか。
この問いに、即座に明確な答えを返せる経営者はどれほどいるだろう。
技術の大きな転換期において、最も危険なのは技術に乗り遅れることではなく、自社の競争優位がどこにあるかを見誤ることである。
2000年代初頭のインターネットバブル崩壊、2010年代のクラウド移行、そしてモバイルシフト。
いずれの局面でも、技術を採用すること自体は競争参加の条件にすぎなかった。
差がついたのは、技術の普及によって何が変わり、何が変わらないのかを見極め、自社の強みを再定義できたかどうかである。富士フィルムなど、有名な例はいくつもある。
死ぬのはSaaSではなく、薄いモートである。
AI時代における経営の最大の論点は、AIをどう使うかではない。
もちろん、AIの活用は重要であり、導入の巧拙が業績に影響を与えることは間違いない。だが、それはあくまで戦術の話である。
より本質的な問いは、「AI時代に、自社の競争優位をどこに築くか」である。
AIが多くの能力をコモディティ化する世界で、企業は何を防壁にすべきか。何に投資すべきであり、何への投資は無駄になるのか。この問いに対する解像度が、企業の命運を分ける。
ここで、一つの落とし穴に触れておきたい。「うちはすでに生成AIを導入して、業務効率を30%改善した。だから大丈夫だ」と考えている経営者は少なくない。
しかし、厳しい言い方をすれば、それは負けないための最低条件を満たしたにすぎない。
業務効率化は、競合他社も等しく行う。全員のコストが30%下がれば、市場価格も30%下がり、結局のところ利益率は変わらない。これこそがコモディティ化の正体である。
AIを使うだけの会社とAI時代に勝つ会社は違う。AIが生み出す余剰の力を、新しいモートの建設に投資できるかどうか。その選択が、数年後の企業の明暗を分ける。
▼5つのモート
①マスターデータ 公式に正しい情報としての「マスターデータを握っている」こと
②ワークフロー 単一の機能ではなく、「業務全体の流れに入り込んでいる」こと
③ディストリビューション 顧客関係や販売経路を持ち、「顧客の前に最初からいる」こと
④エコシステム 「他社が自社の上で儲かる仕組みを作っている」こと
⑤スケール 単なる安さではなく、「規模が構造としての強さに転換されている」こと
AIそのものを持っている会社を見るのではなく、5つのモートの観点からAIが普及しても競争優位が残る構造を持つ会社かを吟味するべき。
▼①マスターデータ「正しい情報を握っている会社」
本書では、公式に正しい情報として扱われる「マスターデータを握っていること」がモートの一つとして示されている。
AIは大量の情報を処理できます。しかし、「どのデータを正しいものとして扱うのか」は別。
AIの性能が上がるほど、「AIに何を学習・処理させるのか」が重要になる。
つまり、AIそのものではなく、AIが利用する一次データの位置づけが競争力になる可能性がある。
さらに、投資家であれば「この会社はどんなデータを持っているのか?」だけではなく、「そのデータは業務上の公式データになっているか?」まで見るべき。
▼②ワークフロー「仕事の流れに入り込む、個人の流れに入り込む」
単純な機能を一つ提供するのではなく、「顧客の仕事全体の流れに入り込んでいる」ことも重要。
AIによって単一機能はコピーされやすくなり、それはAI時代の重要なヒントである。
文章生成/画像生成/議事録作成/翻訳/コード生成/データ分析。
これらはAIの進化によって差が縮まりやすい領域。
しかし、「その企業の業務プロセスそのものに組み込まれている」場合は話が変わる。
一連の業務の中にシステムが入り込んでいる場合は、AI機能が優秀な新サービスが登場しただけでは、すぐに置き換えられない。
投資家であれば、「ユーザー数が増えた」だけを見るのではなく、「顧客の業務にどこまで深く入り込んでいるのか」まで見るべき。
▼③ディストリビューション「顧客の前にいる会社」
顧客関係や販売経路を持ち、顧客の前に最初からいることは、モートである。
小売企業や金融企業に重要な思考であり、AIによって商品を作るコストが下がっても、「顧客に届ける」という問題は残る。
・商品を作る。
・サービスを作る。
・AIで機能を追加する。
はコモディティ化しても、「誰が顧客に届けるのか?」は別問題。
・巨大な販売網
・店舗網
・営業網
・会員基盤
・アプリ
・検索流入
・ブランド
・既存顧客(会員)
こうした顧客接点を持つ企業は、AI時代にも意味を持ちます。
たとえば小売企業なら、「商品を売る能力」だけではなく、「顧客が買い物をする場所を押さえている」ことが重要になる。
金融なら、「金融商品そのもの」だけではなく、「顧客が金融サービスを利用する入口」を持っていることが重要。
つまり、AIが商品の供給能力を高めても、顧客との接点が自動的に生まれるわけではないことをわきまえておくべきである。
▼④エコシステム「他社がその上で儲ける会社」
普通の企業は、「自社が儲かる仕組み」を作ろうとする。
しかしエコシステム型企業は、「他社も儲かる仕組みを作る。
多数の企業が一つのプラットフォームに依存する構造が生まれると、参加企業が増えるほど、プラットフォームの価値が高まる。そこから離れるコストも発生していく。
AIによって単一機能がコピーされても、企業同士のつながりまで簡単にコピーすることはできない。
したがって投資家としては、この会社のサービスは便利か?だけではなく、その会社を中心に、他社がどれだけビジネスを構築しているか?も重要になる。
▼⑤ スケール「規模が構造になる会社」
単なる安さではなく、規模が構造としての強さに転換されていることも重要である。
規模が大きいことで、さらに有利になる仕組みがあるか。規模そのものがコスト構造や投資能力に影響します。
小さな企業が同じAIを導入しても、同じ規模のインフラを一気に構築できるとは限らない。
AIによってソフトウェアの差が縮まっても、物理的なインフラや顧客基盤、資本力まで同時にコピーできない。
▼AIで弱くなりやすい強みとは?
AIが何をコモディティ化するのかを分析すると、消える優位と残る優位の境界が存在する。
今まで強かったから、これからも強いとは限らない。
たとえば、特定の作業ができる/特定のコードを書ける/特定の資料を作れる/特定の分析ができるという能力は、AIによって淘汰されるし、能力そのものの希少性が低下する。
▼重要なのは「AI導入」ではない
AI時代では「AIを導入しました」というニュースが大量に出る。しかし、それだけでは企業価値への影響は判断できない。AI導入→生産性向上でもない。
業績が良かったか?だけで終わらせず、
・データは増えたか?
・顧客の依存度は深くなったか?
・顧客接点は強くなったか?
・エコシステムは広がったか?
・構造的に規模の強さに代わっているのか。
と問うことで、AIによってモートが深くなる会社になれているかが重要。
▼まとめ
AI導入や時間削減などは、競争に負ける考え方。
レバレッジが効く考えをもってAIに向き合う。モートの考えでもよいし、事業や企業全体でのレベルアップまで考える。
Posted by ブクログ
本の内容云々ではなく、「AIが急激に進化する社会でどう生きれば良いか?」という問いに対する何かしらの示唆を得たくて本を探してHITしたのが当著で、その問いには答えてくれなかったので、まず評価が低くなった。
経営者がAIをどう活用するか?という視点で書かれた本なので、そういったニーズには答えている本ではあると思う。
ただ、章をまたいで同じ内容を何度も読んだ気がするので、本としては新書くらいの薄さにまとめられる内容だったのでは?と思う。その辺りもちょっと評価低い理由ではある。
モート(防壁)という見方は多少目新しいが、AI時代に競争力になるのはAIとは関係ない、時間をかけて構築する「仕組み(構造)」である、という当たり前と言えば当たり前の考えを紹介した本なので、それほど高い評価にはならないな、というのが読み終わった直後の正直な感想。
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ビジネス・実用
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