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Posted by ブクログ
本書は、社会人類学を専門とし、
現在は国立民族博物館教授である著者が、
「社会」のあるべき姿を考察する著作です
筆者は、ホッブス、ディドロ、アダム・スミス、デュルケーム、コントなど
近代社会科学の基礎を作った思想家たちを概観したうえで、
今日における社会統合の困難の一として、フランスにおける移民問題を紹介。
そして、水俣での市民運動などをてがかりに
上述の社会科学が前提としてきた、
閉鎖的で均質な、システムとしての社会像を批判し
多様性と複数性からなるプロセスとしての社会像の構築を提唱します。
近代の創生期において、複数性に注目したスピノザへの注目や
ハーバマスの公共圏と谷川雁の「サークル村」の類似性の指摘など、
興味深い記述も多くあります。
とりわけ、印象的だったのは、
アルジェリア出身で、マルセイユでラジオ局を経営する
社会活動家S・B氏のコスモポリタンとしての生き方です。
外国人参政権、多文化主義のオーストラリアで起きたインド人留学生襲撃など、
社会のあり方を考えさせられる話題が多い今日において
われわれの「社会観」に再考を促し、よりよい社会の構築に向けた道筋を示す本書。
社会科学に興味がある方に限らず、多くの方にオススメしたい著作です
Posted by ブクログ
前半が社会というものをその認識の歴史に沿って解説しています。以下に章立てを挙げておきます。
第1章 社会の発明―ホッブズ、スピノザ、ルソー
第2章 社会の発見―統治性と社会問題の出現
第3章 社会の科学の成立―社会主義と社会学
それぞれおぼろげながらに見聞きしきたことが1つの流れとして理解できたような気になりました。私はこの手の文章を読むのは苦手で、まあなんとかついていくことができたといった感じですが。
一方、後半は文体も打って変わって、事例による筆者独自の研究です。章立ては以下のとおりです。
第4章 社会と文化―文化の名による排除から社会統合へ
第5章 社会と共同体―複数性の社会へ
4章は100年のヨーロッパにおける移民の受入れとその排除について、5章は水俣病発生時における患者の様子やさーくる村の活動についてが書かれています。
社会学は分析に専念するのではなく、社会問題に対峙し社会にもっと働きかけていくべきだというのが著者の主張の核心であったように思います。
Posted by ブクログ
本書ではまず始めに、ホッブス、スピノザ、ルソーといった17〜8世紀の思想家達によって作り上げられた社会概念を確認する。その後、サン・シモン、コントらによって体系化された社会学を時系列にそって説明している。
「社会はいかにして統合されているのか。(中略)社会をその内部から分裂させている要素は何か」ということは、社会というものを考える上で重要になってくる。
それは、十九世紀までは「貧富の差」や「階級的対立」が主要な原因であったが、「代わって二十世紀の後半以降、主要な課題として浮上してきたのが、文化の違いを理由とした排除の問題」であった。
現代においても主要な問題である「貧富の差」「階級的対立」、そしてグローバル化により表面化した「文化の違い」。これらの課題にいかに立ち向かっていくか。
本書では、パリの中学校において宗教スカーフを着用した女子生徒が学校から追放されるという問題を通して、「文化と社会」ということを考えていく。また、17〜8世紀のヨーロッパにおける「公共圏」、あるいは谷川雁らによる月刊誌『サークル村』において行われた、貧富・階級を超えた自由闊達な議論というものを紹介している。
多様性を認め、議論し葛藤すること。それが社会のエネルギーになる。そしてそのエネルギーによって新たな社会を構成していくという意見は大いに賛成だ。そのような大きな視点に立った上で、個人として社会とどのように関わっていくことが必要かを「葛藤しながら」考えていくことが求められるのだろう。
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
「社会」という語は、どのような意味や役割を担わされてきたのか。
十七世紀以降のヨーロッパで、それは初め、統治や富の増大を目的に国家が介入する空間として認識された。
後に、貧困・暴力・不衛生など、「社会的な」問題が拡大し、それに対処するための対象となった。
社会を複数の要素からなる複合的なものとしたのはスピノザである。
人が他者とともにより良き生を築くための場という彼の構想に、社会の可能性を読む。
[ 目次 ]
はじめに
第1章 社会の発明―ホッブズ、スピノザ、ルソー
第2章 社会の発見―統治性と社会問題の出現
第3章 社会の科学の成立 ―社会主義と社会学
第4章 社会と文化―文化の名による排除から社会統合へ
第5章 社会と共同体―複数性の社会へ
むすび―多にして一を生きる
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