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クールでビターな本格探偵ミステリ。
日本のハードボイルドの新たな夜明けはいつ来るのか?
効率化とフェイクの時代に「ほんとうの探偵物語」を模索する主人公から目が離せない。
――法月綸太郎氏
パズルだけでは味気ない。感傷ばかりじゃ満たされない。
私立探偵小説でしか味わえないミステリの美しさが、ここにはある。
――櫻田智也氏
「何者か」になりたい若者たちの熱量が心に刺さる。
不器用で愛おしい美学に心が震える、そんな素敵な“ストーリー”でした。
――ヨビノリたくみ氏
「古着ってのはストーリーだから、あのデニムには価値が出たわけ」。私立探偵の苗場は古着屋の店主から、希少なヴィンテージデニムを持って失踪したアルバイトの捜索依頼を受ける。やがて苗場が到達した意外な真相は――(「ヴィンテージ」)
開業資金を持ち逃げした自称実業家の男。苗場は被害者から依頼を受け、男の隠れ家のビルを突き止める。しかし男は、乗り込んだはずのエレベーターから忽然と消失してしまい――(「溶けるように」)
若き私立探偵が遭遇した5つの事件。
クールでビターな、令和の本格探偵ミステリ。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
初読みの作家さん。
若き探偵、苗場清志郎の若いのになんだか老成したような乾いた(クールというのとはまた違う感じで)キャラが
個人的には高感度高め。
地道な探偵仕事が導く真実が、日常の謎的なものから殺人まで振り幅広めながら
清志郎の相手方に対するスタンスや熱量が(内面はともかく)ほぼフラットで、それ故事件に関わる人へのやるせなさが引き立つようで、ドキドキ、ハラハラするような一気読みの作品ではなかったけれどミステリーとしても面白かった。
この性格を生み出した彼の事情もチラっと出できて、もうちょっと年取った中堅探偵の清志郎も今後是非見てみたいと思った。
Posted by ブクログ
5編からなる、私立探偵を主人公とした連作短編集。
どの話も、もっともらしい仮説が立てられ、そこに矛盾が生じ、最後に真相が明らかになる。
短いストーリーの中で毎回きちんと推理がひっくり返され、ミステリとしての完成度は安定している。一方で、犯人の意外性は少なく、それほど大きな驚きはなかった。
全体として淡々とした語り口で、なかなか感情移入できず、少し読みにくさを感じる。
ただ、感情を多く語らない乾いた文体や、自分の足で事件を追う私立探偵の姿に、これがハードボイルドなのかと納得した。
そんな中でも、事件を重ねるごとに少しずつ主人公の人間性が見えてくるのが印象的。
今の私には、まだこの作品の魅力が十分に見えていないのかもしれない。
噛めば噛むほど味が出る、スルメのような作品。シリーズを重ねることで、さらに味わいが深まっていくような気がする。
Posted by ブクログ
現代ならではの、現代を舞台とする必然性のある私立探偵小説だったように思う。また、著者のハードボイルド小説に対する造詣の深さが垣間見える短編集だった。最終話で「自己の暗い過去との対峙と決別」のきっかけを与えてくれたのは主人公より10歳ほど若い人物だったが、歳若い人物からそれを与えられた、すくなくとも主人公が彼女に影響されたということは、そのひとつ前の話に登場する中年の人物のような「大人」に主人公はなっていない、すくなくとも少女の目からは「decent」な(きちんとした)人物に映っていたからだろう。
付け加えると、「苗場です。伍動事務所の」というセリフは原尞の沢崎シリーズにおける「渡辺探偵事務所の沢崎です」を意識しているのだろうし、最終話は結城昌治の真木シリーズを思わせる(ロスマクよりこちらだと思う)出来で、探偵自身にも家庭の悲劇がという「探偵自身の物語」はネオ・ハードボイルド由来のものかもしれないと感じた。日常における謎をハードボイルドで描くのは、リューインの『父親たちにまつわる疑問』も影響しているのかもしれない。ただ、こういった些末なことを抜きにして、物語を楽しめたのでこれらは蛇足であるが……。
あと、作品中て発せられるセリフに出てくる言葉に関連して、『探偵は眠らない』っていう翻訳ハードボイルドアンソロジーがありましたね(これも蛇足)。
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