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Posted by ブクログ
U-NEXTの100min.NOVELLAシリーズ、3冊目は、これまた久々の高山羽根子さん。
移民差別問題をやや硬質なタッチで描いた、今より少し先の未来を見ているようなディストピア小説は、フィクションにしても、どの国を指しているのか推測できそうな中に於いて、このような書かれ方をされると、いよいよ本気で考えなければいけないのではと思わせるものがあるが、何故改善されないのかということを想像すると、その国の良くも悪くも変わらない部分というのが顔を出してくるようで、なんともやるせなくなる。
更に、そうした部分がより強固なものとなる要素として、無知であることに加えて心が無いことだと思い、そのあまりの恐怖に帰りたくないと感じている移民たちに対して、システムや法律といった、国によっては、そこに書かれた言葉以外の意味を全く含ませない非情なもので、一人として同じ心の存在しない人間を、同じカテゴリの中に入れてしまうという時点で、既に何か違うと感じるべきではないのかと、私は思ってしまう。
また、その世界での、そうした移民問題への心無い対応は、ある動物の存在が、繋がれていて初めて許されるような表記と絡めることで、より切実さを増しているように感じられ、そこには、まるで移民と動物を同じ観点でしか見られないような恐怖感も先立ち、確かに安全で快適な暮らしを送れれば、それでいいのだろうが、本当にそれだけでいいのだろうかと、疑問を持たずにいられないのも確かな気がしてならないし、繋がれていなくても大人しい動物だって存在するわけだからと思うと、その安易な決め付けに近い眼差しには、差別を感じさせる驕り高ぶりがあると言われても仕方ないのでは。
そして、その中でも驚きを隠せなかったのが、移民の名前がこの国ではあまりいい響きに聞こえない恐れがあるということであり、これはデリケートな問題だと感じながらも、これに何か言う人は、はっきり言って何様なんだと思ってしまう、その浅薄な解釈は、あまりに自国以外の事を知らなすぎるし、知らないのだとしても、その国に根付いた文化や歴史、生活習慣等から、一つの名前にはとても大切な思いが込められていることだってあることを思い描けないのだろうかと、悲しさを覚えてしまう。
ただ、そんな悲しさを抱いても、故郷の国よりはマシだと感じながら、やはりこれでいいのだろうかといった不安を押し隠せない人たちが、ひと時だけでも自分がここにいるといった思いを感じさせる場所の存在には心を打たれ、それがまた、移民に対してそうした思いを抱く人達が、あまり寄り付かないような所である点に、改めて気付かされる大切さもきっとあると思い、それは光と闇なんて安易な表現を使うよりも、全てを包み隠さず曝け出すような情緒も何もない場所と、僅かな光だけだが、そこに適度な自己の入れる余地があるような場所とによる、明確な対照性が教えてくれており、そんな場所で主人公と犬も出会った表紙の絵は、自分の拠り所を懸命に探し続けている、二人のささやかな邂逅を描いているようにも見える。
実は本書の高山さんの書き方では、現代社会に於ける国家のあり方を、辛辣な皮肉を込めつつも、その的を射た視点にハッとさせられた点に、「首里の馬」を思わせる、豊富な知識量に基づいた独特の考察が最も印象に残るかとは思われるのだが、その中に於いても、日の当たらないような彼らに焦点を当てた、彼女の眼差しには、表紙のような暗闇の中でも確かに存在し、生きている、そんな彼らに気付いてほしいといった、真摯な祈りが込められているようで、そちらの方が、私にはより心に響くものがあった。
Posted by ブクログ
格差が広がる「この国」の国民の立場と矜持を守るために
移民という存在に与えられたシステムと差別
のように感じた
「この国」はこの国の未来かもしれないし
そうではないかもしれないけど
このようなディストピア小説を読むたびに
確実に近づいているよな……と思う
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テロというのは、負けがこんで借金を抱えている人がゲーム中のボードをひっくり 返すことに似ている。ただ、ルールを決めてゲームをつくっているほうの人は、そのボードの外にいる。いつだって、ルールをつくっている人とゲームに参加している人 たちは同じにはいなかった。そのゲームボードの上にいるのは同じルールの中で、同じように苦しんでいる人たちだ。だから、ボードをひっくり返すことでばらばらに はじき飛ばされてしまうのは、そういう人たちだけだった。(p.94)
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