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四つのプレートがせめぎ合い、現在も徐々に変型している日本列島。鉄道を敷くには、そうした条件が立ちはだかる場所もある。
本書は、従来「地形」「政治」で語られがちだった鉄道のルート選定と建設の過程を、地質や地理の観点で俯瞰していく。
第一章 構造線と火山
「糸魚川静岡構造線」「中央構造線」に翻弄される大糸線と飯田線。火山の影響が甚大だった胆振線や室蘭本線。
当初建設したルートに変状が生じたり、複線化の際の線路付け替えに難航したりすることもある。
かつては掘ってみなければわからなかったが、近年の新線建設では、断層を避けるルートを最初から採ることもある。
九州新幹線だ。断層や火山と鉄道ルートの位置関係を、地図とともに解説する。
第二章 峠と盆地
いかに効率的に山岳地帯を越えるか。鉄道ルート選定の永遠の課題である。
明治期に採られたルートを昭和後期に抜本的に改良したりもする。有名な板谷峠や碓氷峠などを越えるための詳細な検討を古い資料とともに見ていく。
また、後世、地形を見ると「そこしかない」と思われがちな出雲坂根付近が、計画時はまったく別の理屈で別のルートが考えられていたことも明かす。
第三章 半島と海峡
大きな半島なのに鉄道が敷かれたのが遅いところもあれば、人口が多いわけでもないのに早くから鉄道が動いた半島もある。
また、海沿いは平坦で線路が敷きやすいかと思えばまったくそうではない。
鉄道は、地域の産業や経済との関係なしに敷かれるものではないのだ。計画当時に遡るとその理由が見えてくる。
【本書で触れる主な鉄道・地名】(順不同)
根室本線・狩勝峠/室蘭本線/胆振線/松前線/北海道新幹線/大湊線/大畑線/津軽線/青函航路/奥羽本線・板谷峠/男鹿線/
横須賀線/総武本線/外房線/東海道本線・丹那隧道・大崩海岸/東海道新幹線/身延線/中央本線・大八回り/リニア中央新幹線/
飯田線/上越新幹線・中山トンネル・大清水トンネル/北陸本線/大糸線/富山地鉄射水線/信越本線・碓氷峠/奈良電気鉄道/
山陽本線/山陽新幹線/木次線/関門隧道/鹿児島本線/久大本線/三角線/香椎線/土讃線/九州新幹線ほか
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Posted by ブクログ
「鉄ちゃん」という鉄道ファンへの呼称は、自分の世代がブルートレインの撮影に熱狂したあたりから出てきたように思います。「鉄ちゃん」まで至らなくても、鉄道に心動くものは誰もが持っているようです。先日も海外に住んでいる友達が東欧の蒸気機関車の旅の動画を送ってくれました。でも我々世代の鉄道への眼差しには鉄路が日本の隅々まで行き渡っている時代が終わっていくノスタルジーのフィルターがかかっているような気もします。この本棚にも入っている「廃線だけ 昭和の棄景」「廃線だけ 平成・令和の棄景」はそんな気分の写真集です。だけど本書は明治5年に初めて日本の国土を走り始めた鉄道の成長期、そして青春時代を明らかにします。それは構造線と火山、峠と盆地、半島と海峡という日本の地形との戦いであったことがわかります。二次元の地図にしてしまうと単なる線になってしまう鉄路がこんなにダイナミックなものであったのか、と驚くばかりです。近代化に突き進む日本の熱い物語です。頻出する地図の本線に併記された検討線の物語が鉄道だけでなく日本の歴史のIFを想像させます。それにしても路線検討には軍事という観点がここまで反映されていたことにも驚きを感じました。なぜ今、リニアがあの路線を選ぶのか、というのも150年の積み重ねがあることがわかります。また静岡での反対運動についても鉄道が国土に及ぼすインパクトの歴史の一端なのでしょう。最近の激甚災害で変わる地形の画像を見ると鉄道は永遠のインフラではなくてフレキシブルな手段なのだとも思います。だからと言って日本が新幹線だけの国になるのにも疑問があります。近代化を超えた成熟日本、あるいは衰退日本。これからの鉄道のデザインと日本のデザインについての著者の見解を知りたくなりました。この本、決して「鉄ちゃん」的な人のためだけに、あるのでは無いと思います。
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