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チャットGPTに代表される生成AIが世界的な注目を集めたのは2022年末。それから数年を経て、今や対話型生成AIは爆発的な普及を見せ、後戻りのきかない状況にある。これは、われわれ人類にとって僥倖なのか、それとも……? 前著『AI原論』(講談社選書メチエ、2018年)から8年、第一人者はこの状況を根源的に問うために、もう一度、筆をとった。
チャットGPTやGeminiは、深層学習(ディープラーニング)に加え、大規模言語モデルという精妙な新技術に基づいている。その革新性ゆえに、生成AIが生産活動の効率を一挙に向上させ、巨大な経済成長をもたらすことは、おそらく間違いない。しかし、と著者は言う。「冷静に眺めれば、生成AIが内部で実行しているのは、単語の使用データを高速統計処理し、出現確率の高い単語を並べているだけだ。質問文の意味を本当に理解しているとは思えない。とんでもない内容の誤情報や偽情報も平気で出力する。そんなAIの回答をうやうやしく信奉し、人間のかわりに仕事の決定を任せて大丈夫なのか」と。
「AIは人知を超える」という予測は、ますます現実味を帯びているように思える。しかし、そもそも「人類の知性」とは何か? それはコンピュータによるデータ処理と等価でありうるものなのか?―─こういったテーマを考えるには「生命と機械の異質性/同質性」や「無意識領域ではたらく情動」という難問に取り組まなくてはならない。少なくとも「情報」という概念を基礎から捉え直す学問が必要になるだろう。その新たな学問を創出する企てに取り組み続けてきた著者は、本書で人類学的な知見をも取り入れて、これらの根源的な問いに正面から向き合う。
その先には、生成AIの進化と普及を踏まえた上での知的革命が予感されるだろう。AIを単純に肯定するのでも否定するのでもない「第三の道」を指し示す本書は、もはやAIと無縁で生きることのできないすべての人に向けられた重要なメッセージである。
[本書の内容]
第I部 生成AIをめぐる疑問
第1章 脳型コンピュータの到来
第2章 日本のデジタル敗因
第3章 挫折した国産第五世代コンピュータ
第II部 デジタルAIとはそもそも何か
第4章 一神教から生まれたデジタル文明
第5章 約束の地アメリカ
第6章 科学と情報を問い直す
第III部 生命と機械をつなぐ
第7章 ネオ・サイバネティクスとは何か
第8章 基礎情報学というステップ
第9章 生命的な超倫理をつくる
第10章 生成AI時代の情報学的転回
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Posted by ブクログ
想像していた以上に重厚な内容だった。
AIのベースとなる技術を巡る第1章は、他の専門書で既に通ってきた道なのでさして刺激はない。
一方で第2章の視点は面白い。ITを生業とする身としては、クローズドな汎用機などは時代の遺物であって、イノベーションを阻害し、エンジニアが学び・成長する環境を妨げ、旧態依然とした体質を温存し、人を環境に縛り付けるような悪しき象徴として見えている。
しかし、日本人の国民性という部分を考慮すると説得力は確かにある。
必ずしもアジャイルで、スピーディで、自由度や競争を前提とした環境が日本人にマッチするかというと疑問はあって、我々に合ったやり方を模索する意義は大いにあるだろう。
第4章と第5章は随分と思い込みが激しいように感じる。
内容は複雑だが、アナロジーをそのまま敷衍するにはいささか強引なのではなかろうか。
4章の対称性・非対称性の件と、5章の三位一体の件は、それぞれ中沢新一氏の影響が大きく、どちらも「そういう見方もあるよね」の域を出ない。納得するには、直接中沢氏の著作そのものを一度繙いてみる必要がありそうだ。
ただ結論として、資本主義という一つの形式に則った形でAIが発展し、それによって人間への疎外が昂進していくのは大きな問題だ。それは間違いない。
一神教的視点一辺倒のAI開発や、AIの利用によるユーザ内部の情報学転回が進んでしまうことを見直し、循環的、東洋的、共生的なエコシステムをデザインしていく必要はあるように思う。
本書を読んでいて、哲学史のおさらいをしているような気分になった。
人類学も裾野が広いので本のタイトルも間違ってないと思うが、文化人類学や人類考古学、あるいは生命進化学の当たりを期待していた身としてはややうっちゃりを食った気分だった。
Posted by ブクログ
「AIは人間をしのぐ知的存在になるのか?」
「日本はなぜデジタル化で立ち遅れたのか?」
に対する著者の答えは最終章に書いてある。
その最終章に本書のサマリーが簡潔にまとめられているので、ダイパを意識するなら、ここを先に読んで各章にあたるのもありだろう。
中沢新一やレヴィ=ストロース、ソシュール、ユクスキュルなどの鍵概念が詳しい説明もなくポンと出てくるので、もっぱら技術論を期待していた読者は戸惑うかもしれない。
AI技術の発展がユダヤ教の世界観と深くつながっているという解説は、個人的にとても面白かった。
ただ、人間の身体性(とそれに基づく認識)と無意識が(ぜんぶでないにせよ)いずれAIに解き明かされることってないのか、という懸念はなかなか拭いされない。
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ビジネス・実用
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