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黒船の来航以来、高まる外圧と倒幕勢力の伸長により瓦解寸前の徳川幕府を支えた男がいた。その名は小栗上野介忠順。小栗は対ドル為替レートの不均衡や、相次ぐ賠償問題を含む外交ばかりでなく、財政再建や軍隊の近代化にも獅子奮迅の働きをみせた。しかし、その小栗をも飲み込む時代の大きなうねりが押し寄せていた――。自らの信念と使命に殉じ、日本近代化の礎を築いた幕臣の姿を鮮烈に描く歴史ドキュメント小説。
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Posted by ブクログ
小栗上野介忠順の伝記。日記等の資料を引き精緻に描いているためにすらすらとは読めないが、小栗の有能な幕臣の仕事振りが伝わってくる。幕末維新の動きを、幕臣の眼で追うことができて面白かった。特に横浜開港時の墨銀と一分銀の交換比率の歪みの仕組みは、本書の説明でやっと理解できた。ハリスや徳川慶喜について辛口な...続きを読む評価で描いているが、なるほどと思った。
漫画「天涯の武士」の主人公。開国から始まった米英との交渉について。小栗、大隈、高橋と続く。 アメリカとの不平等な為替の改善交渉やロシアの対馬租借危機の交渉の実績から、小栗はアメリカとアメリカ人をまるで信用していなかった。口では偉そうなことをいうが正体は追剥同然の破落戸。小栗はイギリスをそんな国だと確...続きを読む信した。オランダは一時期は隆盛だったがいまはただの一小国。ロシアは狐狼の国。 今も昔も本質は変わらない。海洋国と大陸国の地政学的関係は変わらず、米英とは上手くやっていかざるを得ない日本の立ち位置は変わらない。
匿名
烏川の露と消えた最期はとても切ないものである。 幕末の幕府側にこれほど筋を通して、諸外国と渡り合った人物がいたとは驚きである。 林修氏がテレビで取り上げていたが、その痛快なエピソードとは少し違うことがわかる。幕末にやってきた外国人がいかにひどいことをしていたかを細かく描いている。貨幣に関す...続きを読むる交渉とその結末は日本人として心を痛くするものである。
徳川幕府と真に心中した覚悟の人、小栗上野介忠順の生涯を描いた作品である。 最近、この言葉が気に入っているが「社稷」。 徳川であろうと、薩長土肥であろと、当時の日本国が置かれた状況を勘案し、西欧列強から如何に日本という国家を守れるのか、その視点がもっとも重要なことである。 水戸がお里の慶喜の思想では、...続きを読むあの困難を打開することは無理だった。 因循姑息、ひたすら向かうしかなかった。 その点、小栗は、当時のアメリカを直に見、また、当時の幕府の財政状況の中で、通貨問題を解消すべく動き、また、開港に向け、整備すべき資金の調達にも動いたのである。 慶喜、勝が生き残り、小栗が非業の死を遂げる。 勝てば官軍思想、明治維新万歳思想、真摯に戦った人たちの目線、態度、つまり真の「社稷思想」で歴史をきちんと見なければならないとつくづく思いました。
難しかった…。 けど、強い覚悟と新年の人だということは伝わった。 何がきっかけでこの本を買ったんだっけ。どこかで見聞きしたはずなんだけど…。
BS時代劇を観て一読しました。 幕臣としての小栗上野介より、家庭人としての人間性が強調された演出でしたが、本では公人としての経歴が細かく描かれて、良いと思います。 時代の騒乱期には、不条理に裁かれる傑物が出るものか… 維新の小栗、大戦の廣田、歴史的には暫く陽の目をみない場合が多いだけに興味深い内容に...続きを読むなりました。
小栗、偉人、偉才なり! そうだよね。慶喜はリーダーではないよね。 でもこの作者、大君の通貨以来好きなんだけど なんか慶喜とか春嶽をぼろくそだね。 元幕臣の家系かな?
1/28-2/2 作者は淡々と小栗のことを書いているが、 この人物の優秀さがひしひしと伝わってくる。 対照的に将軍慶喜の優柔不断のなさなどが 情けないほどに感じる。
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覚悟の人 小栗上野介忠順伝
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佐藤雅美
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