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Posted by ブクログ
何年ぶりかの再読。本棚で目につき、何の気なしに手にとり読み出したら、そのままやめられなくなった。結局最後までほぼ一気読み。そうだ、最初に読んだときもそうだったんだなあ。
胸が詰まってくるような苦しい恋愛小説だ。盛田さんは細部の描写が本当にリアルで、主人公の大学生俊介の心の動きとともに読み手も翻弄される。俊介が好きになってしまうのは(いやもう実に好きになって「しまう」としか言いようがないのだ)たいそうややこしい事情を抱えた年上の人で、自分の人生を丸ごとその人のために投げ出していく事になる。深い畏れを抱きつつ、その裕里子という女性をひたむきに求めていく姿がつらく切ない。
まったく人は何で恋なんかするんだろう。この小説を読むとそう思わずにはいられない。自分も周囲もずたずたに傷つけるような二人の恋は、でもそれゆえにかけがえのないものとして心にしみてくる。お金のこととか、将来のこととか、現実の厳しさがきっちり書き込まれているからこそ、そういうものを超えてなお、恋を貫こうとする俊介に共感を寄せずにはいられなくなる。
また、前に読んだときにはあまり気がつかなかったのだが、裕里子の義理の息子である正太が実に不憫で泣けてきた。正太は中学生で、決してかわいげのあるタイプではない。でも、みながそれぞれゆがんだ家族の中で、必死に生きていこうとする姿が心に残って離れなかった。
俊介が暮らすのは札幌の街だ。このことは記憶になくて、そうだったんだ!と驚いた。札幌は、昨春息子が大学生として住むようになって以降、何度も訪れてすっかり好きになった本当にきれいな街だ。俊介が歩く大学から駅へと続く道、大通りの賑わい、ススキノのイルミネーション、ひとつひとつが胸に迫って、いっそう忘れられない物語になった。
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小説・文芸
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