カンザキさん

カンザキさん

小説・文芸
1,650円 (税込)

8pt

「わしのこと以外、書くことなんてないやろ」
カンザキさんは、悪魔だったのか、それとも――。

大学卒業後、引きこもりを経て、僕が働くことになったのは、離職者続出、いつでも求人中の超絶ブラックの配送会社。
そこで先輩として出会ったのが、誰にでも優しい人格者のミドリカワさんと、「殺すぞぼけ」と人を罵り、蹴りを入れる悪魔のようなカンザキさんだった。
ナンバーワンの配送員になって幹部を目指す!と豪語した同期は、カンザキさんと組んで入社2週間で辞めた。要領の悪い同期はカンザキさんに殴られ続け、走るトラックの助手席から飛び降り、入院してしまう。そしてカンザキさんと組まされた僕は、カッター片手の彼に、荷台の上へ引きずり込まれ「服を脱げ」と命じられて――。

圧倒的な暴力と不条理の果てに、見えてくる戦慄の光景。
注目の劇作家による初小説! 第47回野間文芸新人賞受賞作。

【著者略歴】
ピンク地底人3号(ぴんくちていじんさんごう)
1982年生まれ。同志社大学文学部文化学科美学芸術学専攻卒業。劇作家・演出家。2019年「鎖骨に天使が眠っている」で第24回劇作家協会新人戯曲賞受賞。2022年「華指1832」で第66回岸田國士戯曲賞最終候補。初の小説である本作で第47回野間文芸新人賞受賞。

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カンザキさん のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    超絶ブラック企業の配送会社で働くことになった主人公ノミくんの話。
    会社にはいつでも優しい人格者のミドリカワさんと危険な業務をさせ、暴言、暴力は当たり前の悪魔のようなカンザキさんという先輩がいた。

    好き嫌い分かれる作品のようだけど、私はめちゃくちゃ好みでした!作者の方が笑ってほしいと話していた通り、文章のコミカルさや配送会社のぶっ飛び具合が面白かったです!

    同期のモリくんはカンザキさんから期待されていると話す。ストレスでオムツを履きながらでも出勤。カンザキさんから愛されたい、認められたいと願う。

    主人公ノミくんもミドリカワさんに認められたい、ミドリカワさんの助手席が自分ではなく後輩のコンドウくんと交代になったとき…。ノミくんのあの感情はもはや嫉妬。

    ツッコミどころ多すぎるし、面白すぎる!!もうみんなカオスでした
    ちなみに、カンザキさんのヤバさは言うまでもなく…。

    0
    2026年08月11日

    Posted by ブクログ

     劣悪なんて言葉では語れない地獄。いやでも、地獄ってのも安いようで、これまた難しい。
     ヤニにまみれた魔王、てか魔神?タイトルに宿るその名を口にしてはならないと、マインドが拒絶する。誰に言われたでもないタブーが、昔観た金ローをフラッシュバックさせた。
     ごった煮のモノローグが駆け抜け、減光されたシーンがスクリーンに映し出される。
     不快だと思ってた夏なんて、屁でもねえんだな。

    0
    2026年07月04日

    Posted by ブクログ

    人間、認めてもらい褒められるのは喜び。一番辛いのは無視。そこを逆手にとって洗脳的に行われるパワハラ。ヒヤヒヤしながら、読みました。令和の時代、こんな企業がなくなっている事を祈りたい。

    0
    2026年05月20日

    Posted by ブクログ

    BSテレ東「あの本、読みました?」で紹介されていたので気になって手に取りました。読みやすいけど、文芸作品なんだなぁと感じる本です。野間文芸新人賞だけに。当然か。
    鬱病がちでなんとか6年かけて大学は卒業したものの就職できずに引きこもっていたノミくんは以前働いていた家電量販店の下請け配送会社で出会ったカンザキさんのことを記憶から消せない。いつでもそこにカンザキさんが現れる。今は辞めて10年も経って、打ち合わせで会食するような(多分)作家になっていて、5歳の息子もいるのに。それほどまでの圧倒的な暴力・支配力を示した、カンザキさんのいた会社時代の日常が語られていく。
    配送会社の中での正義ってやっぱり体が大きいことなんだろうな。後は続けられる体力と腕力があったら段取りとかだろうか。そんな狭い世界で暴力に絡め取られたらそりゃぁ抜け出せないか。会社がこれを放置しているのはこの理不尽に生き残れる者だけでいいと思っているから?とかまともに考えていくのが馬鹿馬鹿しいほどのお話でした。存分に社会人いじめられ追体験してください。
    読んで楽しくなりたい人には向きません。高校以上。

    0
    2026年09月16日

    Posted by ブクログ

    トラウマっていうのはこうやって植え付けられるのだな。目の前の圧倒的不条理から即刻立ち去るべきなのに、逃れられずに従ってしまうあの感じをゾクゾクと体感しながら読んだ。元々劇作家なだけあって、文章から画が立ち上がってくるし、会話文も心地良かった。

    0
    2026年08月16日

    Posted by ブクログ

    かわいいニコちゃんクッキーがタバコをふかしている。なんなんや、このかわいいのか不穏なのかわからん表紙は。
    ホラー脳になりつつあるから、カンザキさんというのは怨霊の類か、と思いながら読む。
    当たらずとも遠からずな存在だったことが恐ろしい。
    鬱で引きこもりだった主人公は、留年しながら六年で大学を卒業したものの就職はできずまた引きこもり、それではいかんと一念発起して、家電配送会社の配達員として働くことになった。
    唯一優しく指導してくれるミドリカワさんに心酔し、慣れない肉体労働に勤しむ主人公。
    新人はいろんな正社員と配達パートナーを組まされるのだが、そのうちの一人のカンザキさんがえらいパワハラ野郎やった。暴言暴力無茶な命令のオンパレード。カンザキさんはいろんな新人のトラウマになった。カンザキさんと組まされて辞めていく新人は山のようにいた。
    主人公も、もれなくそうだった。
    この話はなんでもない日常の描写から始まる。その中に主人公はカンザキさんの要素を見出し、日常の折々でカンザキさんの存在を感じ、カンザキさんとの出会い、カンザキさんと一緒に仕事をしていた時のことを思い出す。
    もうカンザキさんに取り憑かれとるやないか。話の展開もまるで夢か妄想を描いているようや。主人公は本当に生きてるんやろうな、そんで結局このポップな表紙はカンザキさんと何の関係があるんや。読み終わってから見返すといよいよグロテスクや。
    カンザキさんがどんな風にヤバいのか、ぜひ読んで確認してや。

    0
    2026年07月03日

    Posted by ブクログ

    没入感がたまらん!映像が浮かぶ!
    浮かび上がる個性的な面々。
    カンザキさん!ノミくん!妙にリアルで絶対にありえない言葉と身体の暴力の連続。でも、嫌じゃない感覚で読めてしまう。言葉にするのが難しいんだけど、初めての読書体験。

    ストーリーは
    家電配送の職場にいる、
    超暴力的でパワハラ、モラハラ全開のカンザキさんと、鬱病を患っている新入社員ノミくんの話。
    他にも個性的な同期や先輩、その仲間達に対する複雑な感情など、描写が見事。

    どこまでも理不尽で犯罪級の暴力をふるう、
    カンザキさんなんだけど、なぜか憎めないのは、
    理不尽さが常識を飛び越えて、存在するわけないやん!ってレベルのキャラだからか?

    どこかドライでおかしみのある文章と、
    ノミくんの関西弁が良い味を出している。

    ノミくんのカブトムシに関する妄想のあたり、
    好きすぎる。ツボった。

    ババヤガの夜を彷彿とさせる暴力小説。
    身近な家電配達員という設定も
    良き。

    自分の表現力のなさがもどかしいが、
    とにかく、面白かった!
    他に類を見ない独創性に脱帽!

    0
    2026年06月20日

    Posted by ブクログ

    怖かった。

    トラウマになるほど恐怖を植え付けられた人には、頭でどう考えても体が動かない。正常な判断ができない。

    会話自体は可笑しくて笑えてしまうところもあるけれど、起こっていることはシリアスで、主人公の務めている運送会社の闇を十分に感じた。

    0
    2026年03月06日

    Posted by ブクログ

    昨年年末に洗濯機壊れて急遽在庫がある物で決めて届けてもらったんだけど缶コーヒーの1本でも差し上げればよかったと思った
    モリちゃんの気持ちわかるわー私もポジティブに考える方だから

    0
    2026年02月20日

    Posted by ブクログ

    ☆4.5 怖い
     小谷野さんから。
     中篇。描写で読ませる。お仕事小説……といふより、カンザキさんに焦点があたった恐怖小説かもしれない。

     アルバイトあるある。いやな人間あるあるが詰めこまれてゐる。それをポップな文体ですいすい読めるのは技倆のなせるすごいわざ。しかも妙なリアリティがある。最後のたたみかけのスピード感、速い速い。そして、最後の場面が最初につながっていく。
     主人公の内気な関西弁なのがめづらしく、カンザキさんのヤクザな関西弁が浮きたつ。紋切り型の慣用句も気持ちよくよめる不思議だ。
     このひとの文体は見倣ふべきだとおもった。

    0
    2026年01月21日

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