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【特集 ラジオがそばにいてくれる】
顔は見えない。映像もない。文字として残るわけでもない。それでもラジオの言葉は、ときに本や映像以上に深く心に届き、誰かの背中を押し、私たちの日常に寄り添ってくれることがあります。いま、「聴く」文化は大きな広がりを見せています。radikoやポッドキャスト、オーディオブックの普及によって、新たなリスナーを惹きつけています。なぜ私たちは誰かの声に耳を傾けるのか。音声コンテンツはこれからどのような可能性を切り開いていくのか。本特集では、ラジオと言葉の力、ラジオと本や漫画との関係、そして音声メディアの未来まで、多彩な書き手や語り手とともに考えます。
Part1 ラジオの力、言葉の力/朝井リョウ×加藤千恵 『信頼できない語り手』の裏側/大西泰斗 「声だけはちょっと自信があったんです」/荻上チキ×武田砂鉄 ニュースをどう伝えるか/宮藤官九郎 愚痴とラジオの意外な関係/田家秀樹×スージー鈴木 音楽を語るラジオ/大森淳郎 戦時下、ラジオ人たちの苦悩と順応
Part2 ラジオと生きる/高橋源一郎 ラジオの子/ハライチ 10年続いた深夜ラジオの「エネルギー」/ヤマノエイ ラジオの漫画が描きたくて漫画家になった/佐倉綾音 「論理」を突き詰め「集団ごっこ」を生きる/タブレット純 ラジオは「通信機」のように/村上謙三久 ラジオ小説はなぜ増えているのか
Part3 ラジオ、次の100年へ/小川 哲×TaiTan×大森時生 ポッドキャストは歌である/アルコ&ピース 文化人の「やばさ」を暴くポッドキャスト/橋本吉史 「一生続けられるコンテンツ」の作り方/ぐんぴぃ×水野太貴 落語家と塾講師――二人が目指す「しゃべりの理想形」/村上謙三久 ポッドキャストをはじめてみた/ラジオ番組のリアルイベントはなぜ増えているのか/出版社音声レーベルの現在地/岡部匡伸 ラジオの形態進化史――日本ラジオ博物館を訪ねて ※『さむわんへるつ』ポストカードイラスト付き!
【対談】森 遊机×今井悠也【第二四回 開高健ノンフィクション賞 受賞作発表】上村幸平『始祖の大地』【連載】大岡 玲 写真を読む/山下裕二 美を凝視する/山極壽一 ますます「サル化」する人間社会/石井光太 災害遺族をケアする 日本DMORTの挑戦/三宅陽一郎 文学がなければ人工知能はない/入不二基義 脳梗塞、のち哲学/小松由佳 〈新連載〉シリアへ帰る/舟木彩乃 〈新連載〉「いじめ」の心理学/足立倫行 古代史を考えなおす/橋本幸士 物理学者のすごい日記/キリーロバ・ナージャ マルチリンガル・サバイバル/町田麻子 ことば万華鏡 ミュージカルの訳詞の妙技/おほしんたろう おほことば【kotobaの森】陣野俊史/マーク・ピーターセン/大村次郷/吉川浩満/町山智浩 ※南陀楼綾繁さんの連載は今号休載します。※本書はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。
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Posted by ブクログ
ラジオ大好き! だからレビューも長いで(笑)
ラジオが特集された雑誌というのを何かで見た。kotobaは買ったことがない。でも中身も見たいなと思い2026年秋号を買った。表紙イラストはヤマノエイさんの「さむわんへるつ」らしい。「らしい」というのは私が「さむわん~」が週刊少年ジャンプ連載中ということすら知らなかったから。ジャンプはこち亀の最終回以降、まったく目にしていない。
でもこの表紙を見て期待がガァーっとふくらんだ。ヤマノさん、やるやん。だって表紙で女の子の目の前にあるのはキーホルダー。昔からのラジオ好きならばこれを見ただけでキューンとなるはず。私も大阪で「ヤンタン」(※)リスナーだったから、当時の中高生がネタを必死に考えてハガキをせっせと書いて番組へ送り、パーソナリティにハガキが読まれるともらえるヤンタンキーホルダーが喉から手が出るほど欲しかった。しかも女の子が持っているキーホルダーは2個。2個も持っているこの女の子がラジオリスナーとしてただ者ではないというのを、イラストは絶妙に表してるやん! これ本当に令和の漫画なん?(笑)
(※)ヤンタンはこの雑誌でも高橋源一郎さんが取り上げている。私が一番覚えているのは、鶴瓶、原田伸郎、鶴光、谷村新司&ばんばひろふみ、さんまがパーソナリティの頃。
まずトップ記事の朝井リョウと加藤千恵の対談を読む。これアカン。おもんない。特に朝井リョウ。人生で最も多感な中高生の時にラジオの陽光を浴びることなくお勉強ばっかりやったんやろね。しかも「欲望にはグラデーションがある」って持論をラジオリスナーに当てはめてるけど、ラジオのことわかってないな-と思う。「ぬかる民」とか「サイキッカー」って呼ばれたリスナーの熱量の特殊性なんか理解でけへんのやろな。大バコに何万人集めましたとかと違うねん。個々バラバラで単体でも熱量計で計ったらみんなすごかってん。それがラジオの魔力ってもん。まあ発行元が集英社やから作家センセーってことで持ち上げられたんやろうけど…何だかね…
めげてる場合やないんで次行く。「ラジオ英会話」の大西泰斗さんの話はおもしろかった。この人選、センスいい。私はテレビで知った人だけど、自分の声の良さがウリなのをわかっていて、ラジオでも個性を出せている。それにこの人にはリスナーの「顔」が見えている。
高橋源一郎さんもよかった。森繁久彌さんの朗読にシビれ、ダイアナ・ロス&シュープリームスのSomeday We’ll Be Together(邦題 またいつの日にか)のリフレインから少年時代特有の成就しない恋へのせつない思いに胸を痛める。当時どこにでもいた正統派リスナーだ。
なお各記事の欄外に「いまオススメの番組」が載っている。高橋さんのオススメは「クラシックの迷宮」。これ私も大好き。クラシックと銘打ちながら、菊池俊輔特集では仮面ライダーでショッカー襲来時の(聞けばたぶん誰でも知ってる)BGMを流し、冬木透特集ではMAT戦闘機が怪獣に立ち向かう時のワンダバダを流す素敵な番組。片山杜秀さんの解説もツボにはまる。
私が一番よかったのはスージー鈴木さんと田家秀樹さんとの対談。まず田家さんが落合恵子さんの声をほめる。「優しくて柔らかくて、凛として力強く、可愛らしかった」。そこに付け足す言葉はありません。田家さんは落合さんがふるさとの話をした後にジョン・デンバーの「カントリー・ロード」がかかったとき「思わず涙が流れた」らしい。田家さんのこの体験こそラジオの良さを象徴していると思う。音声だけの媒体ながら(それゆえ?)誰もが自由に感情を増幅させられる。グラデーションが何とかという理屈では収まらないよね。
鈴木さんは私と同世代だからドンピシャ。ラジオから当時ほぼインディーズだったザ・ブルーハーツのヒロトの≪僕たちを縛り付けてひとりぼっちにさせようとしたすべての大人に感謝します≫という曲中のセルフを聞いて、ベッドから飛び起きたくらい衝撃を受けたという鈴木さんの話。私もいっしょ。私もこれ聞いて深夜のベッドから飛び起きたから。これ確かサンプラザ中野のオールナイトニッポンの“スクール・トゥモロー”という、いじめ問題を取り上げていたコーナーでのオンエアだったと思う。また別の週には「人にやさしく」のライブ録音が中野さんの熱のこもった紹介でOAされたはず。その後の中野さんの作詞にも影響してるよね。
鈴木さんが話した大瀧詠一さんのエピソードもよかった。私は大瀧さんが東京以外のラジオ局を聞きたくてわざわざ有線放送を自宅に引いた(当時はネットラジオってなかったから)というくらいのマニアだったと聞いたことがある。そこで大阪の伝説的ラジオ番組「誠のサイキック青年団」にドはまりしたということも。正直、ラジオの特集だから関西の番組も触れられていると思ってたけど、東京の局の番組ばかりだった。そこはこの雑誌の限界かな。
でも私も大学生のとき東京に出てきたから、東京のラジオ番組も耳にした。どこでと思う?散髪屋で。散髪屋とAMはすごく合う。散髪屋でラジオから「ババア」って聞こえてきたときはびっくり。すぐに毒蝮三太夫さんってわかったけど。噂には聞いていたが本当に「ババア」って叫んでたんや(笑)。しかもメチャおもしろくて、顔剃りの時に笑いそうになって剃るのを待ってもらったくらい。東京のラジオの勢いも知った瞬間だった。
…そんなこんなで最後に、私が好きな現在もOAされているラジオ番組を3つあげたい。
3位 征平・吉弥の土曜も全開!!(ABCラジオ):元局アナの桑原征平と落語家の桂吉弥が土曜日の午前中からアホなことやエロいことをしゃべる番組。この2人ってピンでも充分いけるから2人になったらカブせまくり。(この「カブせる」というのも関西ラジオでの独特の言い回しかな。)散髪屋に合う番組。
2位 世界の快適音楽セレクション(NHKFM):ゴンチチと週替わりの選曲家とのゆったりトークも楽しい。
1位 ヒロTのポストカードミュージック(NHKFM):現在四半期に1回(季節ごと)のオンエア。関西以外の人は知らんやろけど、往時のヒロ寺平さんはこれを帯でやってた。ヒロさんはもう帯ではやらないけどそのソウルは次世代に受け継がれている。関西の音楽文化が豊かになる理由がわかるでしょ?
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