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1966年、イングランド。少年バートラムは、「ゆびぬき小路」の仕立屋のおばあさんが縫いつけたふしぎなボタンを手に入れたことから、時間をさかのぼれるようになる。おばあさんは、先祖伝来の5つのボタンを、これはと思った5着の服だけに縫いつけていたのだった。ボタンのむすびつける人と人との時間が、見事なタペストリーのようにつづれ織りにされていくタイム・ファンタジー。野間児童文芸新人賞受賞作。
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Posted by ブクログ
「灰色の五つ穴は、五個でひと組。仕立て屋ウェブスタ-に、代々伝わってきたボタンだよ。」仕立て屋のおばあさんはそう言った。 汝これを五星形につけ、我を訪れよ されば我、五度路をゆずり、 汝を我がもとへ呼びよせん 汝再びそろえ、我を訪れよ されば我、あまねく道をゆずり、 汝の前によみがえらん 我、ここ...続きを読むより永遠に旅立つ 荒れたる丘より谷に降り、緑の森に憩うまで
作者も内容も判らず手にした本が面白かった時は、何とも言えない喜びがありますな。 古着屋で5つ穴のふしぎなボタンを付けたコートを手に入れたバートラムは時をさかのぼるのだった。 まるで翻訳児童書のような雰囲気を持った作品です。時と人によって紡ぎ出される物語が素敵です。昔気質の気難しいおばあさんとバートラ...続きを読むムのやり取りも、何とも微笑ましく温かいですし。ボタンを巡る現在と過去の物語はあちこちに伏線が張られ、それが解きほぐされていく様に惹き付けられます。派手さはないが、じっくりと読み浸る作品でした。
2023.11.14 あほがみえる笑 書いたひとは何が言いたいの? #タイムリープ #児童書 #中学時代の鬼門の本て聞いたよ
著者は日本人ですが、登場人物は全員イギリス人。まるで、昔の翻訳児童書を読んでいるような気分になりました。5つ穴のボタン、星の形のボタン糸。ちょっといいなぁ。
全然知らない作家、知らない作品でしたが、とても面白くて、すごく得した気分です。 日本人作家の作品ですが、読んでいるとスーッとイギリスの児童文学の世界に入っていきます。 私は小さい頃から日本の児童文学より、海外のものの方が好きでした。 なぜかとつらつら考えるに、日本の作品に出てくる子どもって教科書的...続きを読むないい子なんですよ。 私自身教科書的ないい子だったので、それってとてもつまらないと思っていました。 それに比べて外国の作品に出てくる子どもって、もちろんいい子もたくさんいますが、親と喧嘩したり、家出をしたり、大人と駆け引きをしたりと、なんともステキにたくましいではありませんか。 そしてこの作品も、引っ越してきたばかりの街で、不思議なことに出合うバートラムが主人公。 古着屋や古道具屋のあるゆびぬき小路の奥にある、偏屈な仕立屋のおばあさんと知りあったことから謎が始まります。 仕立屋はなぜ、ひとつだけ違うボタンをつけるのか。 ボタンはバートラムに何をさせたいのか。 残りページがあとわずかになっても、作者がどう決着をつけたいのかがわかりませんでした。 だからずっとドキドキ。 正直言って、結末は地味です。 大きく何かが変わるということはありません。 ”着心地ってものは、仕立てにゆとりがなけりゃだめなんだ。(中略)そして仕事というのは、自分にとっていちばん大切なものを使うことなんだとね。(中略)仕立てに使うわたしの時間と、仕立屋として生きてきた、すべての時間のことさ。大切なものほど、手放さなければならないんだよ、バートラム。” 機械化が進む世の中で、自分の技術で生きてきた仕立屋としての自負がバートラムに語られ、バートラムはそれに対して「仕立屋の時代はまだ終わっていないよ」と言います。 そういうことを理解できたとき、バートラムは一歩大人になったのだと思いました。 これからもゆびぬき小路は存在し、バートラムが訪れることもあるでしょう。 でもきっと、バートラムは学校の友だちを増やし、少しずつゆびぬき小路から離れていくのでは?とも思うのでした。
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