無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで201万冊以上配信中!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
5〜6年前、山下達郎のコンサートに行ったらMCで、どんなに時代変わってもシャツの裾出しはしないと宣言していましたが、本書はTシャツの裾を出すか?入れるか?で時代の変化と普遍性を読み取る、非常にスリリングな論考です。「どの時代のファッション雑誌も、同調圧力を強固にする呪いの言葉を投げかけてくる。正解を勝手に規定したうえでテクニックとして語り、自信のない読者に恐怖心を植えつける。そんなファッショ ン雑誌と世の中の同調圧力を、無名の若者たちが裾のインとアウトでぶち壊した。その瞬間、ファッ ション雑誌は鮮やかに路上に敗北する。朗報だ。なぜTシャツは君を傷つけるのか。きっとここに、そのヒントがある。」これは「はじめに 失われたTシャツを求めて」からの引用ですが、ね?このアンセム、おもしろそうでしょ?1984年生まれの著者にとっての歴史モードの前半は、ちょっとナンシー関味のある文体で研究書なのか、エッセイなのか戸惑ったりしますが、21世紀に入ってから(つまり著者が思春期に入ってから)は語り口含めて、ドライブがかかってきて、『「タックイン」「タックアウト」講談』の様相を呈してきてページめくりが止まりませんでした。「神は細部に宿る」的に言えば「創造性はTシャツの裾に宿る」です。ほぼ人生のほとんどを「タックアウト」してきた人間にとっては衝撃の書でした。いや〜面白かったぁ〜!
Posted by ブクログ
市民ランナーで大会に年5,6回参加する私。
参加賞、最近は減って来たけど、圧倒的にTシャツが多い。
たまる。
夏は家にいるときは毎日それらのTシャツ。
そこにはおしゃれの意識など皆無。
裾を出すか出さないか、、、
ランナーは出すのが当たり前と思っていたけれど、
この本によればファッションの歴史は時代によって出したり入れたり。
というか、そもそも、80年代まで学生の服装にファッション性はなかった!
というのがガツンと来た。
思い当たる節がある。
私自身、高校は制服だったが大学は私服。
何を着たらいいものやら、見当がつかなかった。
Gパンは履いていた気がするが。
大学2年の夏、女性とのデートの約束をとりつけたものの、
なおもって何を着ていいかわからず、
おしゃれで通っていた友人に頼み、見繕ってもらった。
渋谷駅そばで上下を買ったなあ。VANだったっけ?
ジェームス・ディーンの白TとGパン、、
かっこいい人は何着てもかっこいいような気もするね。
しかしこういう視点で一冊の本になるとは、面白い。
序章 ぼくらがTシャツで旅に出る理由
第1章 誕生 1868‐1955
第2章 思春期 1956‐1979
第3章 失踪 1980‐1988
第4章 反抗期 1989‐2004
第5章 黒歴史 2005‐2010
第6章 輪廻転生 2011‐2024
終章 2075年のナード・ファッション 2025‐2075
Posted by ブクログ
終盤に色々と考えさせられた。
街を挑発したいという感覚と、憧れの仲間になりたいと言ったような感覚、ダサいと思われたくないという感覚、もはや他人の目を気にしないような感覚、いろんな感覚があり、年齢によっても感覚の傾向があると。納得感がすごい。
この本はもちろんTシャツが切り口ではあるが、最近無難な服装(夏はTシャツ多め)だけど気分や足を長く見せたりバランスを整えるために裾を出したり入れたりしている自分にとっては、新しい視点を増やしてもらえた。
特に大学生時代はこだわりや趣味、自分らしさを気にしたのもあって、毎日のようにヴィンテージのワンピースを着ていたなぁ、、
若者には流行がとまって見えるというのも、SNSなどのおかげで流行りを忘れられるということがない今の時代は「みんなが無視しているもの」が重要になるというのも、私の世代も(もう少しだけ若い世代もかな?)身に染みてるんだろうなと改めて思う。当時そんな体験だった気がする。
Tシャツを切り口にこんなに考察ができるなんて、とても面白かった。
ワンピースはじめ、他のファッションアイテムの流行の歴史なども気になる。
Posted by ブクログ
ビックリした。
私はTシャツは裾を出して着ているからだ。これは別に世の中の流行りに反抗しているとか、ずっとそういう主義だからそうしているのではない。私は私なりに世の中に同調しているつもりだった。ところが2010年代中頃から既に「イン」が主流だという。インとアウトは、そのように変遷を繰り返している。私の学生時代は一貫して「イン」だった。ワイシャツがインなんだから、Tシャツもインでしょ、という私の理論だった。私はバカにされたことは一回しかないが、現代の若者は間違えると一貫してバカにされるという。では、前の「アウト」はいつからいつまでだったのか?
80年代末から2000年代までだったらしい。渋カジと言われる新しい不良が、ツッパリ漫画の主人公と一線を画すことで始まったらしい。以降「電車男」(2005)の主人公は「イン」がお茶の間でバカにされた。
Tシャツ姿が主人公になった記念碑的映画「欲望というの名の電車」(1951)「理由なき反抗」(1955)では「イン」だった。1968年の「男一匹ガキ大将」の戸川万吉が学ランの下に着ていたのが「イン」したTシャツだった事も確認した。
「スラムダンク」(1992)の桜木花道は、恋する女のためにTシャツの裾を出す場面があると言う。トレンディドラマで織田裕二は90年までずっとインだったが、91年以降は当たり前のようにアウトしているらしい。以降、ずっと「アウト」が主流で、私も本意ではないが同調圧力に負けてずっとアウトしている中でアウトが普通になっていたらしい。
藤本たつき「ルックバック」(2021)の主人公は、2016年に部屋から街に出るとき、アウトからインにさりげなく切り替えているという。そういう意味では、この漫画の何と繊細なことか!
ハッキリ言って私はこの本を読んだ後でもインとアウトの何処が「みっともなく」て何処が「おしゃれ」なのか、全くわからない。でも面白い本だった。
Posted by ブクログ
Tシャツの歴史。
ファッションアイテムとしてのその始まりがアメリカにあることは、なにげに広く知られているのでは。「欲望という名の電車」のマーロン・ブランドや「理由なき反抗」のジェームス・ディーンが伝説のアイコンであることも込みで。
一方、日本にも独自のTシャツの歴史は確かにあった、というのがこの本の主題。
文明開化とともに福沢諭吉が洋装を説いたオンドルショルツ(アンダーシャツ)にはじまり、昭和、戦後にかけて坂口安吾に白洲次郎(カッコいい)、三島由紀夫に石原裕次郎と例が挙げられていく。(個人的には美輪明宏の若い頃、学生帽をかぶった写真も印象的)
さらに続く芸能界のアイコンたち。
矢沢永吉。吉田栄作。尾崎豊。
さらにミレニアムから21世紀に入っては、木村拓哉。菅田将暉。
名前を聞くだけで思い浮かぶ彼らの姿の変遷、それはトレンドを映す鏡であると同時に、「Tシャツの裾をタックインするか、アウトするか」のせめぎあいでもあったという。そこかい、という気もするが、この本においては、そこなのだ。
さて、ファッション史の研究といえば、ファッション雑誌やテレビの映像、ストリートスナップなどの「実写」が中心になりそうなものだけど、この本は、それ以外の創作物まで対象になるのが面白い。
たとえば漫画。
頑なに裾をタックインし続けた「寄生獣」の主人公、新一。「ダサい」を連呼されてかわいそう。でも、うん。画風もあいまって⋯ね。うん。それでもね、あのダサさでなければ描けない世界があったよ。
あるいは「スラムダンク」の桜木花道。彼がタックインからタックアウトへスイッチした瞬間は?あ、バスケのプレースタイルではなく、Tシャツの裾の話です。
あるいは「美味しんぼ」の山岡がTシャツの裾を出したのは何歳のときか?ゴメン、これはめちゃくちゃどうでもいい!どうでもいいが故におもしろい。
さまざまなメディアから調べ尽くした研究はすごい熱量。一生分の「タックイン」という単語を見た気がする。
そして、それはたんなる好みではなく「同調圧力」でもあるという。たしかに、選択を間違えれば集団から弾かれ、大げさに言えば人権や尊厳すら損なわれてしまう時代もあった。90〜00年代のオタクファッション、タックインした姿が嘲笑われ、弾劾されてきたように。
あの頃タブーだったタックイン、でも、ある時点からオシャレに転じて、今では普通に見かけるようになった。インからアウトへ、そしてアウトからインへ。その転換点はいつだった?
あまりにもささやかな選択肢、でも無視できない、間違えたくない、腰回り数センチの攻防。
確かに今でもTシャツを着ては鏡の前で「このボトムにはインするべきか」とか「インするなら前だけでいいな」とか悩んだりしてるもの。きっと、Tシャツを着る限り、永遠に悩み続けるに違いない。
たかがTシャツ、されどTシャツ。
やっぱりTシャツ。
読み応えがありました。
あとは余談。
女子のTシャツについては全くと言っていいほど触れられていないこの本。多分だけど、こちらの歴史を変えたのは90年代のPUFFYだった気がする。いつでもどこでもTシャツ&ジーンズが彼女たちの正装。ボーイッシュとかスポーティとか、ありがちな分類にハマらないスタイルが新鮮で、しかもひとつひとつがゴリゴリのヴィンテージだったりして。センスと人気で爆進する無双状態だった覚えがある。
そして、女子のTシャツトピックでいうと、最近また「チビT」が流行ってきているという。つい数日前には「リハ着」というワードがSNSに流れてきた。ピタピタの黒Tにスウェット、K-POPアイドルがリハーサルで着るような服、という意味で「イマドキの若い子はみんなこの格好」らしい。確かに北の大地の野外フェスでもたくさん見かけたわ。
ちなみに、そのフェスにはPUFFYも登場しておりまして、ステージでのいでたちは柄物おそろいのツナギ姿。やっぱりはみ出すねえ。かわいいねえ。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。