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私たちが日常何気なく使っていることばの中には、なんと多くの漢語があることでしょう。この本では勉強、希望、宇宙などの熟語から、一衣帯水、紅一点のような成語まで、現代日本語のなかに生きている漢語の出典をたずね、はば広いことばの理解への手かがりを探ります。国語や漢文の学習に役立ち、日々の言語生活を豊かにする一冊。
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Posted by ブクログ
漢語めちゃくちゃ面白い。岩波ジュニア新書で追求したい分野また増えた。相性良い著者探したい 「ところで、「道」ということばの使い方で、日本は中国とかなりちがう場合もないではありません。これはよくとりあげられることですが、日本で芸事に「道」という字をつけてよぶのは、その一例でしょう。芸事そのものが芸道...続きを読むとよばれるだけでなく、すこし範囲をひろげて見れば、「道」をつけてよぶものはすくなくありません。ちょっと思いつくだけでも、 「茶道 華道 香道 書道歌道 剣道 柔道 空手道」 中国にはこういうよび方はありません。そもそもお茶の飲み方については、複雑な作法がないわけです。活け花についても、同じです。そして「書道」のことは「書法」とよび、「空手道」のことは「拳法」といいます。「法」とは、方法・技法です。では中国は技術万能主義で、日本は精神尊重主義なのか、というと、必ずしもそうではありません。しかしこうした命名の背後には、やはり日本独特の厳格主義がある、私にはそう思えます。このことについては、すでにかなりのひとびとが発言していますし、興味のある方は将来さらに研究してみてください。」 —『漢語の知識 (岩波ジュニア新書)』一海 知義著 「 ところで四句のうち、「大器晩成」ということばだけはいまでもよく使いますが、右の原義からはずれて使っていることになります。私たちは、「大器晩成というじゃないか。あせらなくても大丈夫。将来は大物になるさ」なんてなぐさめていますが、古代の哲学者老子は、「なかなかそうはまいらぬぞ」と、ひややかな眼で笑っているのかも知れません。 ただし、「大器晩成」ということばを今のような意味で使い出したのは、日本人ではありません。中国でもすでに漢代以後、「大物は早熟でない」という意味で使っていますから、老子のつめたい眼を意識せずに使ってもよいわけです。」 —『漢語の知識 (岩波ジュニア新書)』一海 知義著 「これは『史記』李将軍列伝に見えることば。桃や李はものをいわぬが、その美しさや香りを慕って来るひとびとによって、樹の下には自然に小道ができる、という意味の当時の です。司馬遷はこの民間の をもち出して、無口で誠実な将軍李広の人柄をたたえたのでした。」 —『漢語の知識 (岩波ジュニア新書)』一海 知義著 「時代は下って、小説『三国志』のなかで、劉備・関羽・張飛の三豪傑が「桃園」で義兄弟のちぎりを結ぶ話も有名です。今も日本の各地には「桃園亭」という名の中華料理店があり、よく「桃園に義を結ぶ」三豪傑の絵が額に入れてかかげてあります。」 —『漢語の知識 (岩波ジュニア新書)』一海 知義著 「この「桃の花びらをうかべた谷川が流れる別天地」は、李白より三百年ほど前の詩人陶淵明が描いたユートピア、「桃源郷」の物語を思い出させます。 陶淵明の「桃花源の記」に描かれた理想郷は、一見平凡きわまりないユートピアでした。そこに住んでいるのは戦乱をのがれてきたごくふつうの中国の農民で、山海の珍味も金殿玉楼もありません。しかしたった一つ、外の世界とは根本的にちがうところがありました。それは税金のないことです。いいかえれば、税金をとる者ととられる者、支配する者とされる者の区別がない社会です。そんな世界の入り口に、桃の花があふれんばかりに咲いていた、というこの話は、中国人と桃の花との関係を象徴的に示しているのではないでしょうか。」 —『漢語の知識 (岩波ジュニア新書)』一海 知義著 「カッパは漢字で河童と書きますが、カドウと読まずカッパと読むのは、なぜでしょうか。 「カッパの民俗学」や「河童伝説」については、柳田国男、折口信夫、石田英一郎などすぐれた学者の詳細な研究があります。私自身は専門外のことなのでくわしくは知りませんが、日本の庶民はカッパを日本土着の愛すべき動物(?)だと思ったから、河童という字をあててやまとことばでカッパと呼んだのではないか、と思われます。」 —『漢語の知識 (岩波ジュニア新書)』一海 知義著 「ところで、日本のカッパがおそろしげでありながら、何となくユーモラスでしたしみやすいのは、なぜでしょうか。 四、五歳の子供に似ておカッパ頭、というスタイルや、頭の皿の水がかわくと非力になる、というアキレス腱のあることも、つきあいやすい一因かも知れません。また、カッパは水泳の名手で、「釈 に説法、カッパに水練」といわれるほどですが、「猿も木から落ちる」のたとえと同じように、「カッパの川流れ」といわれるのもご愛嬌です。 「屁のカッパ」とか「陸にあがったカッパ」などというよく使うことばも、何となく彼をしたしみやすい存在にしているのでしょう。そして、清水崑や小島功のマンガが河童をさらにわれわれに近づけたのか、そもそもカッパが愛すべき存在だったからマンガにされたのか、いずれにしろ、カッパは今や伝説の世界から離れて、別の空想の世界をひとり歩きしはじめたようでもあります。」 —『漢語の知識 (岩波ジュニア新書)』一海 知義著 「 「河童」ということばが中国で市民権をもつようになるためには、芥川の小説『河童』が一つの役割をはたすにちがいありません。芥川の『河童』は一種の鋭い文明批評でもあり、また、今でいえば SFのようなおもしろい構想の小説ですから、中国でも一定の読者をもつことでしょう。 芥川が亡くなったのは、小説『河童』を発表したその年、一九二七(昭和二)年でした。すでに半世紀以上もたちましたが、命日の七月二十四日は河童忌とよばれ、今も故人をしのぶひとびとの集まりがあるということです。」 —『漢語の知識 (岩波ジュニア新書)』一海 知義著 「孔子が知識人必読の書として指定した五つのテキストを「五経」(易・書・詩・礼・春秋)といいますが、そのなかの『易経』や『礼記』に早くも虎が登場します。それだけでなく、私たちがよく知っている成語が、当時すでにできていたことがわかります。 たとえば、非常な危険をおかすこと、はらはらすることを「虎の尾をふむ」といい、じっとチャンスをうかがうことを「虎視眈眈」といいますが、これらはいずれも『易経』に見えることばです。 また、『礼記』(檀弓 下 )に見えるつぎの話は、「苛政ハ虎ヨリモ猛ナリ」ということばとともに、よく知られています。」 —『漢語の知識 (岩波ジュニア新書)』一海 知義著 「たとえ根拠のないデマでも、多くの人が口ぐちにいえば信じるようになる。人間の心理をついたエピソードです。 ドイツのヒトラーは、小さなほらを人は信じないが、思いきり大きなほらをふけば人は信じる、といったと伝えられています。動揺する群衆心理の悪用、それは独裁者の常套手段でした。」 —『漢語の知識 (岩波ジュニア新書)』一海 知義著 「漢字の成り立ちについては、比較的よくわかっている場合と、そうでない場合とがあります。よくわかっていない漢字について、まことしやかで断定的な説明をききますと、私はまだ見ぬ動物「くだん」のことを思い出します。とくにおもしろすぎる説の場合は、注意した方がよいようです。物事はすべてそうですが、きちんとした根拠・典拠があげられていない場合は、疑ってかかるのが第一です。そこから探究の一歩がはじまります。」 —『漢語の知識 (岩波ジュニア新書)』一海 知義著 「 「毀誉」は、けなすこととほめること、批評することです。 世間の評判というものは、まっすぐなものをまがったように、まがったものをまっすぐなように、逆さまの評価をよくするものだ。 これがその大意でしょうが、のちには、正直者が損をして悪人がさかえるといった世の中の逆現象、矛盾・不公平をさして、「石が流れて木の葉が沈む」というようになります。」 —『漢語の知識 (岩波ジュニア新書)』一海 知義著 「河上肇は日本における先駆的なマルクス経済学者であるとともに、晩年はすぐれた漢詩人でもあり、百数十 の作品をのこしています。右の記事に引用されたのは、そのなかの一首で、「早醒」(早起き)と題する七言絶句。作者は、この詩をつぎのようによむよう、自選詩集のなかでみずから訓点(返り点と送り仮名)をほどこしています。」 —『漢語の知識 (岩波ジュニア新書)』一海 知義著 「 「野」は、政治の中心である「朝」から最も離れたところにあります。「野党」ということばはそこから出てきたのです。ただし「野党」は日本産のことばらしく、中国の古い文献には見えません。 日本と中国では同じ文字である漢字を使っていますから、意味も同じかと思いがちですが、まったくちがう場合、大きくずれて使われる場合がありますから、注意しなければなりません。前にひいた「人間」ということばがそうでしたが、「城」という字も、その一例です。」 —『漢語の知識 (岩波ジュニア新書)』一海 知義著 「 つぎに、保革伯仲について。保革と省略したいい方はもちろん日本式ですが、「保守」という語は中国の古典『史記』などにすでに見えます。ただし、手にいれたもの(たとえば敵の城)を保ち守るという意味で、保守的とか保守主義ということばの原義を示しています。政治用語としては、日本産の「革新」とともに明治以後わが国で使われるようになったのでしょう。」 —『漢語の知識 (岩波ジュニア新書)』一海 知義著 「しかしながら、中国の文献に「孤・独」でなく「孤独」という熟語が、それも現代的な意味で使われるようになるのは、『孟子』から四百年もたった二世紀中頃以後のことだとされています。 といっても、中国人は「孤独」ということばだけで孤独を表白してきたわけではありません。『孟子』よりもっと古い時代から、必ずしも「孤独」ということばは使わずに、孤独な心情を詩にうたってきました。中国最古の詩集である『詩経』の詩(小雅・采薇の詩)に、我が心は傷み悲しむも我心傷悲我が哀しみを知るもの莫し莫レ 知二 我哀」 —『漢語の知識 (岩波ジュニア新書)』一海 知義著 「 「竹馬の友」のもとになった表現は、すでに李白より三百年も前の書物(『世説新語』という有名人のエピソード集)に、「竹馬の好」ということばとして出てきます。李白の「長干行」の「竹馬」は、「むかし竹馬であそんだ男同士の仲」という原義からはずれますけれども、私などが「竹馬の友」ということばからまず連想するのは、やはり李白のあの詩です。」 —『漢語の知識 (岩波ジュニア新書)』一海 知義著 「哲夫・哲婦の「哲」は、才智すぐれたという意味。「城」については、「日本の城と中国の城」でややくわしく説明しましたが、都会、首都の意。首都を支配するものはその国を支配しますから、「城」はときに「国」と同じ意味で使うことがあります。わが国で「一国一城の主」というときも、一国・一城は同義語のくりかえしかと思われます。さきの李延年の歌は、「一顧─傾城、再顧─傾国」とうたいわけて区別していますが、『詩経』の「傾城」は「国をほろぼす」と訳してもよいでしょう。 かしこい男は国をきずきあげ、かしこい女は国をほろぼす。」 —『漢語の知識 (岩波ジュニア新書)』一海 知義著 「ところで封建時代の中国には、女性をおさえつけおとしめることわざ・成語がすくなくありません。「牝雞之晨」(めんどりが時をつげると家がさびれる)などというのも、その一例でしょう。そのことは、過去の日本でも同じでした。ただ、日本のことわざ「女賢しゅうして牛売り損う」にくらべて、中国の「哲 傾レ (賢い女は国をほろぼす)」はさすがにスケールが大きいなと思います。」 —『漢語の知識 (岩波ジュニア新書)』一海 知義著 「食欲の秋、スポーツの秋、そして読書の秋、 これらのことばはコマーシャルなどにもよく使われて、いささか手垢のついたものになってしまいました。 ところで「読書の秋」ということばは、中国で生まれたわけではないでしょうが、秋は読書にふさわしい季節、といういい方は中国にもあります。ただし、冬こそ読書の季節、ということばもないではありません。たとえば儒家の古典である『礼記』という書物には、「秋、礼ヲ学ビ、 冬、書ヲ読ム」(文王世子 )とあります。この「書」はすこし特別の意味をふくみますが、「読書」であることにかわりはありません。また、三国時代(三世紀)の故事に、読書にふさわしい余暇の時間は冬・夜、そして雨の日だと見えます。それは「読書三余」という成語として伝えられ、「冬は歳の余、夜は日の余、降雨は時の余」だと説明しています。そういう余分な時間にたっぷり本を読めというのでしょう。そして多くの詩人が「冬夜読書」と題する詩を作ってきました。」 —『漢語の知識 (岩波ジュニア新書)』一海 知義著
勉強、落第、浪人、因縁、先生、首相、文化などの言葉が、いかに中国の漢語から遠く離れて日本語として独自の意味をもつようになったのか、説明は子供向けであるだけに大変分り易いです。「相」の字が「木偏」ではなく、「目偏」だという理由が全く新鮮でした。確かに「相」は木ではないですし、意味合いも木には全く関係が...続きを読むないですね。106白川静「漢字百話」中公新書11/20/06国語「眞」の恐ろしい元意。李白・杜甫・白楽天らの使った漢字の数が約4500文字であるなど。著者の本はおどろおどろしい宗教・呪術の説明が続くのは苦手ではありますが、後半はそういったことから離れて、日本における漢字の問題を取上げているので、後半は読みやすかったです。万葉時代の「思う」「想う」「念う」「懐う」などの意味の違いは微妙なニュアンスを使い分けていたわけで、そういったきめ細かさが失われていくのは、人の心にも影響していくように思います。
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