山影の町から

山影の町から

2,200円 (税込)

11pt

4.0

アスファルトの世界を離れ、わたしは秩父へ移り住むことにした――庭と植物、自然と文学が絡み合う土地で、真摯に生きるための「ことば」を探す。練達の仏文学者による清冽なエッセイ集。

* * *

秩父の自然を綴るなかに、深い霧のような知の涼気が渡る。清しく果敢な精神のかたち。
――小池昌代

風や水のゆらめきを気配で感じとる耳には、歴史の奥に消された声さえ聞こえる。
――くぼたのぞみ

* * *

・窓から風に乗って流れ込んだ常山木の、爽やかで甘い濃厚な匂いに導かれて(「常山木」)。
・生命の表と裏を引き受ける誠実さの方へ(「巣箱の内外」)。
・経済活動からはこぼれ落ちる、豊かな交換の倫理(「ふきのとう」)。
・外来種という呼称がはらむ排外主義の芽と、植物がみせる「明日の風景」(「葛を探す」)。
・宮沢賢治が見上げた秩父の空(「野ばら、川岸、青空」)。
・鮮やかで深い青紫の花と、家の記憶について(「サルビア・ガラニチカ」)。
・切り捨てられた人間と動物がともにある世界へ(「車輪の下」)。
・都市優位の世界観を解きほぐす作家たち(「田園へ」)。
・見知らぬ女性からの言葉が届く場所で、わたしは届くはずのない文章を待っている(「消される声」)。
・空の無限、星の振動、微かに吹く風は、わたしたちに語りかける(「風の音」)。

……ほか珠玉のエッセイ、三十篇

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山影の町から のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    きっぱりとした言葉、美しく流れるような文章にうっとりします。力強く引き込まれる。
    帯にある「清冽」という漢字のとおり。

    一編の中、生活周りの段に加え、関連する本や音楽作品について書かれているものが多く有ります。セレクトが時代やジャンルや国が多岐に渡っていますが、秩父の自然や生活に馴染んでいて楽しい

    0
    2025年10月06日

    Posted by ブクログ

    とても丁寧に書かれた文章で、一つひとつの言葉を信頼できる。そして読書案内もしてくれる。秩父の暮らしが羨ましい 95

    0
    2025年06月01日

    Posted by ブクログ

    シジュウカラ用におうちセッティングしたいが、浸水問題気になるな。
    水もセッティングしたいが、招かれざる者(くまとかいのししとか)も来ないか心配。
    庭に食べ物埋めるのはしたいのは山々だけど、招かれざる誰かにめちゃくちゃ掘り起こされたから無理だ

    0
    2025年03月28日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

     年初の新聞書評(日経新聞)で知り興味を持った。
     秩父へ移り住んだ文学者(大学教授)のつづる田舎暮らし、地方と都会の対比のライトエッセイか? くらいのつもりで手に取ってみたが、いやいやどうして、なかなか骨太の一冊だった。

     書評子は、
    「決して大きな声ではない。だが、私たちは他人の注意を引こうと

    0
    2025年01月20日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    フランス文学研究者である著者の秩父への引っ越し、そこでの暮らしのエッセイ。秩父や庭の豊かな動植物の話、文学の話が印象的でちょっと梨木香歩さんに似ているが、繊細なようで芯がきちっと通っていて、梨木さんよりは文章が硬質で揺らぎがない感じがする。すっすっと線を引いていくような美しい文章の流れが読みやすく、

    0
    2025年10月15日

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