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Posted by ブクログ
[非熱狂の道標]時代とともに変化する性質とともに発展してきた戦争に関する倫理や思想。その流れを踏まえた上で、21世紀の国際社会が戦争について考えるために土台とすべき共通見解は何かを紡いだ一冊です。著者は、生命・環境等の倫理学を専門とし、ヘーゲルに関する研究で和辻哲郎賞も受賞されている加藤尚武。
戦争をめぐる思想史にも光を当てながら、なんとも重いテーマを前にして縦横無尽に思想を広げていく加藤氏の筆は圧巻。それだけに、執筆に当たっての時間が限られた中で、過去の作品の加筆・修正版を多く取り入れたためか、切り貼り的なつくりになってしまっているのは残念でした。
本書の中で特に興味深かったのは、東京裁判、特にパール判事の無罪論の真意を探ったところ。とかく感情論を避けながら、いわゆる「日本無罪論」とは何かについて論じている箇所は戦争倫理学そのものに興味がなくとも一読の価値があるかと思います。
〜世界中の「世論」が、戦争に向かって走り出したときに、踏みとどまって、世界が狂気に陥っており、自分こそが正気であると言えるために、私たちは自分自身の位置を正確に測定できるような、羅針盤を持たなくてはならない。それが「戦争倫理学」である。〜
なんとも新鮮な角度からの指摘でした☆5つ
Posted by ブクログ
一読して、「引用とそれに対する是非が多く、筆者の独自の意見が見えにくい」と感じたが、遡ってみれば反戦メールや巻末の詩など、筆者の立場を明らかにする要素は多かった。単に印象に残りにくかったというだけであろうか。
序盤で小林よしのりの著作が引用されているとのことで、筆者の態度、引いては本書全体の信頼性について警戒したが、いざ読んでみると小林よしのりの著述に対して強く批判的な立場を取っており安心できた。
戦争(/武力行使)容認派、無差別主義、憲法九条反対派……などなどの立場の者からは批判を受けるであろうが、実在する憲章条約、憲法、既存の反戦論や憲法解釈·意見など、人文学的知の集積や現行の法に立脚して「平和」また本書後半では「憲法(9条)」についても考えられており、評価に値する1冊であったと感じる。
一点だけ批判するならば、筆者は「現行の憲法では自衛権の言及がなくわかりにくいので(自衛権の有無、有るならばその発動条件について)言及するものに変える(改憲す)べき」と述べているが、改憲に当たっては憲法九条を疑問視する者が手をつける可能性が高く、「自衛権に言及する」だけでは済まないであろうと考えられ、交戦権の否定部分が削られる可能性などが高く危険であるため改憲は避けるべきであると思う。
全体として難しい単語やわかりにくい言い回しなどもなく、わかりやすく読みやすかった。
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
九・一一以後、世界は戦争に向かって地滑りを起こしているのかもしれない。
こうした状況にあって、ともすると人は、戦争が生み出す悲惨な現実に慣れてしまい、正気を失ってしまう。
まやかしの議論に乗せられないためには、戦争に関する最低限の議論を知っておかなくてはならない。
本書は、そうした重要論点を整理し、戦争抑止への道を探る戦争倫理学の試みだ。
同時多発テロに端を発する米国の軍事行動、ロールズの原爆投下批判、憲法九条問題などが取り上げられており、いま、戦争について冷静に考え、実りある議論をするための、重要な手がかりを与えてくれる。
[ 目次 ]
戦争に関する正気とは何か
戦争の二種類のルール―戦争目的規制(jus ad bellum)と戦闘経過規制(jus in bello)
連続テロに対する報復戦争は正当か―私の第一の反戦メイル
国家という猫には誰も鈴をつけられない―トーマス・モアの処刑とグローティウスの戦争論
アメリカの良心は「ヒロシマ」に「ノー」と言った―ロールズの原爆投下批判
ゲルニカを忘れないで―私の第二の反戦メイル
鉛の兵隊さんはどうして美しい制服を着ているのか―傭兵軍から国民軍への転換
カントの「永久平和論」
人は共和国のために命を捧げる―ヘーゲルの考えた国家と戦争の関係
戦争をした日本は有罪か―「東京裁判史観」と東京裁判の問題点〔ほか〕
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
戦争は無い方がいいですか?との問いに、あなたはどう答えるだろうか?「人がたくさん死ぬから無い方が良いに決まってる!!」と答えたあなた。では「目の前で誘拐されそうな友人を、実力で救い出してはいけないと思いますか?」との問いにはどう答えますか?
戦争に関する既存の「まやかし」の議論に惑わされずに議論するために、知っておくべき論点が提示されている。例えば、戦争をする権利やルール、第二次世界大戦における日本の罪、憲法9条の問題点等々、複数の観点から見ると浮かび上がってくる矛盾も示されている。
以下はメモ
12〜13頁:
この章はある引用から始まるが、これを読んで何を思っただろうか。どれほど残虐なものであっても「慣れ」が生まれてしまう。そこで著者は「正気の判断を維持するためには、『慣れ』に抵抗できる仕組みが必要である」という。
102〜123頁:
ここは8・9章に相当。カントやヘーゲルの考え方が出てくる。他の章と比べると(個人的には)、読んでもそれほどには興味を持てない部分だった。
183頁:
「改釈」の文化は憲法9条の「改釈」から始まったのではないか、と著者はいう。国産肉、安全な食品、危険な原子炉…
様々な解釈・趣旨に照らしていくと9条の不明な点が見えてくる。特に自衛権。
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ビジネス・実用
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