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会ったこともない人によって書かれたこと,作られたものであるのに,私たちは,古典の一冊やネットで話題のお取り寄せ食品を信じて暮らしている.たしかに信頼がなければ生きていけないが,しかし健全な不信がなければ,よりよく生きることができない.コミットメントという視点から,信頼と不信のメカニズムに鋭く迫る知的冒険の書.
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Posted by ブクログ
コミットメントを軸に信頼または不信を分析することにより、多面的でグラデーションを持つものであることがわかると同時に、自らが何を重視しているかという価値観を見つめることとなる。
信頼と不信についてのコミットメント説で、途中、議論についていけない部分もあるが全体として勉強になる。巻末の解説も参考になる。残念なことに著者のホーリーさんはすでに故人です。
おもしろかったし、普段当たり前に扱っている「信頼」について考え直すいい機会になった。巻末に読書案内があったのでそこから次の本を読みたい。
「信頼」とは何か? どうすれば信頼される人になれるのか? そんな問いに対する答えを、本書『信頼と不信の哲学入門』は深く掘り下げている。ただ「誠実でいればいい」という単純な話ではなく、「信頼を得るには、慎重に約束をすることが重要」 という視点が提示されている。 信頼されるためには、「できない約束...続きを読むはしない」ことが大事 本書を読んで特に印象に残ったのは、「信頼されるには、ただ約束を守るだけではなく、そもそも無理な約束をしないことが大切」だということだ。これは相田みつをの言葉 「できない約束はしないことだな」 にも通じる。誠実に見せかけるために何でも「できます!」と言ってしまうと、結局守れずに信頼を失う。 例えば、政治家が「消費税ゼロにします!」と大見得を切ったものの、実行できなかった場合、信用を失うのは当然だ。職場でも、「わかりました!」と勢いよく返事をしたものの、いざ仕事が進むと「あ、ちょっと無理かも…」となる人は少なくない。本書では、こうした「無謀な約束」が信頼を損なう原因になると指摘されている。 私の職場にもいる、「できる」と言いながらやらない人 私の職場にも、まさにそういうタイプの同僚がいる。その場では「はい、やります!」と快く引き受けるものの、結局は指示通りに動かない。指摘すると、「ああ、勘違いしてました」「そういうことでしたか」と言い訳をする。最初は「まあ、ミスはあるよね」と思っていたが、何度も繰り返されると、「この人の『わかりました』は信用していいのか?」と疑問を抱くようになった。結局、彼の言葉よりも「実際の行動」を基準に判断するようになった。 この経験を振り返ると、本書で述べられている「慎重に約束することの重要性」がよくわかる。信頼されるためには、口先だけの約束ではなく、「自分が本当にできるかどうかを考えた上で、約束すること」 が求められるのだ。 「慎重な人」は信頼される 本書では、「慎重に約束すること」が、長期的に信頼を得る秘訣だと繰り返し述べられている。たとえば、「この仕事、今日中に終わらせます!」と意気込む人よりも、「状況を見た限り、明日までかかります」と冷静に判断する人のほうが、最終的には信用される。慎重に判断し、確実に実行できることだけを引き受ける姿勢こそが、信頼を積み上げるのだ。 これは、個人の信頼だけでなく、組織や国家レベルの信頼にも当てはまる。たとえば、企業が「この製品は絶対に安全です!」と宣伝しながら、後になって不具合が発覚すると、顧客の信頼を一気に失う。同様に、政府が「この政策で経済が良くなります!」と約束したのに、何の効果も出なければ、国民の信頼は揺らぐ。信頼とは、短期的な誠実さではなく、長期的な一貫性によって築かれるもの なのだ。 「信頼できる人」を見極めるために必要なこと 本書では、「信頼を与える側の責任」についても触れられている。つまり、「信頼する相手を慎重に選ぶこと」 もまた重要なのだ。そのためには、人間の心理的なクセである「対応バイアス」に気をつける必要がある。これは、「相手の状況を考慮せずに、行動だけを見てその人の本質だと判断してしまうこと」を指す。 たとえば、会議に遅刻した同僚を「時間にルーズな人」と即断するのではなく、「電車の遅延があったのかも?」と考える余裕を持つことが大切だ。逆に、表面的な態度だけを見て「誠実そうだから信頼できる」と判断するのも危険である。 本書を読んで、「信頼される人になること」と「適切に信頼すること」はセットで考えるべきだと気づいた。無闇に信頼するのも、不信感を抱きすぎるのも、どちらも問題なのだ。 まとめ:信頼とは積み重ね この本を読んで、改めて「信頼とは長期戦」だと実感した。ちょっと誠実なことをしたからといって、すぐに得られるものではないし、一度裏切れば回復は困難。だからこそ、慎重に、そして着実に積み上げるしかない。 「信頼される人」になるために必要なのは、ただ誠実でいることではなく、 「できない約束はしないこと」 だ。そして、適切に信頼するためには、相手の状況や行動を慎重に見極めることが求められる。本書を読んで、仕事でもプライベートでも、この視点を忘れずにいたいと思った。 さて、この学びを活かして、まずは職場の「信用ならん同僚」への対応をどうするか考えてみるとしよう。 コミットメント、対応バイアス、一貫性。 この本にはとても重要なことが記されている。重要なのは「信頼」なのかそれとも「信頼に値すること」なのか。論理的に議論が展開されてゆく。なかなかに骨太で、一読しただけでは容易に理解出来なかった(私の理解力の問題) 一言で言うと「難しくてよく分からない」のだけれど、そうして放棄するには勿体ない内容なことは理解出来る。何度も読み返したい。 何故か?少なくとも自分が信頼している人から、信頼に値する人だと思われたいという欲望がひとつ。 もう一つは、組織内やその他社会で、信頼出来ない人間に対して「私はどの部分が信頼出来ないのか?」を客観的に確認したい(言語確認したい)。 たとえば政治家やコメンテーター、メディアやSNS、陰謀論や怪しげな自己啓発書。会社の乗車道標、地域社会でかかわる人。 信頼とは何か?改めて思考すべきと思う。
各章の内容が独立していて、信頼と不信とに関する話題が豊富であるとも言えるが、非常に散漫である。体系的な理論が組み立てられていくよりも、いろんな題材ごとに信頼と不信とについて著者が語っていく。「入門」というより「エッセイ」。そのなかでもキーワードは「コミットメント」。「コミットメント」はもはや日本語で...続きを読むあるとも言えるけれど、しかし、読者にもっと理解しやすくするために平易な日本語に訳すべきだろう。
様々な視点から「信頼」について論考されている。信頼と不信は、必ずしも対立して決まるものではない。そのあいだに揺らぎがある。
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信頼と不信の哲学入門
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キャサリン・ホーリー
稲岡大志
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